離れず
11話
最近、書く量増えて来ました。
「ま、立って話すのもなんだしこっち来て話そうよ。」
カヤと名乗った"自称"カウンセラーは僕の腕を軽く引っ張ってきた。
「や、やめて下さい。」
僕はこの不審者を前に出来る限りの声を出して拒否した。
カヤはポカンとした顔でこちらを見た。
するとカヤは少し考え込む様にカナタをじっと見た。
カナタは声を出したはいいもののその後どうすればいいか分からず立ちすくんでしまった。
数分の沈黙が流れた後、カヤは何かを閃いたかの様に手をポンと叩いた。
「じゃあ、ここで話そう。」
カナタの頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされた。
何を言っているのか理解出来ない。
僕は話す場所なんかどうでも良く、ただただこの不審者から離れたくて「やめて」と言ったんだ。
「ねぇ君、なんか悩んでるでしょ。」
カナタの疑問なんかお構い無しにカヤは話し出した。
「見た感じ、人間関係かな。当たってる?」
「いや、その」
「当たってそうだね。じゃあ聞くけど…」
「あの!」
さっきよりもカナタは大きな声を出した。
「あなた、なんなんですか。いかなり話しかけて来て、不審者ですか。とにかく僕に関わらないでください。」
カナタは自分でもびっくりするくらいスラスラと言葉が出て来た。
「じゃ。」
カナタは回れ右をするといつもの帰宅ルートへと戻って行った。
後ろで何か言っているが無視してカナタは歩き続けた。
帰宅後、母がいない為カナタは一人での食事を済ませて風呂に入っていた。
湯船に首まで浸かろうと昼間の事が頭について離れなかった。
あの人は一体なんだったんだろうとか、あのまま言われるがままにされていたらどうなっていたかか、色々な疑問がカナタの頭の中を飛び回った。
そして、ある一つの考えが浮かんだ。
『あの人がもし、僕の悩みを救えたら』
カウンセラーを自称するくらいだ、例え話すための口実と言えど何かそれに匹敵する何かがあるはずだ
。
それにまだ、カウンセラーじゃ無いと決まった訳じゃ無い。
本当にカウンセラーで何か悩みの一つを聞いてくれたのでは無いだろうか。
自分から切り離して置きながら随分と頭に強く残っている。
「もし、本当に。」
カナタは言わないとばかりにわざと口先まで湯船に浸かった。
カナタのもしもは泡の様に消した。
風呂から上がり寝る支度をしている時ふとアヤ先輩の顔が浮かんだ。
(アヤ先輩、大丈夫かな。)
カナタは静かに布団に潜り込んだ。
カナタ目線です。
そろそろアヤ目線に移ります。




