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伯爵令嬢はざまあされる。

 シーラが家族を、ざまあして約ほぼ一年。


 彼女は混乱の極みだった。


「なに、なぜどうして、どうなったの」


 彼女は優秀だ、伯爵領の運営は過不足なくできる。


 ただ、伯爵領に国家プロジェクトが入ってなかったら。


 まず、いくらかの事業の縮小を行おうとした。しかし、そうはいかなかった。まず、道路整備。他領地との兼ね合いもあるか、多少規模を縮小することはできると思っていた。しかし、それに着手すると宰相からの手紙が届いた。略すると、


「道路整備はあんたのところか中心となる一大プロジェクトの要になるから、下手なことしないでくれ。もし縮小するなら只じゃおかん」


 更にその一大プロジェクトも、


「伯爵領では、繊維製品を中心とした産業を、立ち上げると行った。ほっポリ出すなよ」


 と、こちらも釘を刺された。


 勿論、そのプロジェクト計画書も、残されていた。しかしその大枠はわかるが、細かい所はわからない。いや、担当者はいるが、どのように有機的にどうつながっているかわからない。



 綿花畑、生糸工場、繊維製品工場。更にデザイナー、販売商人、輸送網。それらをどう動かすか、上手くいかない。また、上手くいかないのは仕方ないとしても、だんだん損失かでてくる。


 こんなはずじゃなかった。


 ここで、ショウの実家の公爵家に手助けを求めた。しかし人員の補充かなされただけ。


「すまんが、王家が関わっているんだ。下手に手出しできん。元伯爵代行を呼んだほうがいい」


 だが、そう言われても困る。


 一応、何とか動き出しはしたが、後から後から問題がおきてくる。


 それに対応するだけでも一苦労だ。更にその処理で金がかかる。


 ショウも手伝う。があまり役には立たない。人海戦術で何とかしているものの、問題処理で手が出ない。


 ある時、二人は執務室で書類処理を、していた。シーラは難しい顔をして。その体は運動不足で横に大きくなっていた。ショウはそんな彼女を、笑顔でみている。たまに書類の内容の厳しさに顔をしかめるが、すぐに笑顔になる。


「……」


 不意にショウが言った。


「……義理父を呼び戻すかい」


 実は二人とも解決策はわかっている。ドレイク元伯爵代行、彼女の父親を呼べばいいのだ。しかし、


「駄目よ、勝手においだしたの。今さら戻って下さいとはいえ言えないわ」


「ああ、それに……」


 と公爵次男は笑顔で答えた。か、それは公爵令嬢をイラつかせる。


「あなた、変わった。私のこと、バカにしてるんでしょう」


「え、なんだい? 何でそんなことがててくるんだい」


 公爵次男は驚いた顔で言う。でも、その顔に笑みは残っている。


「そうでしよ、わたし、大見得切って領地経営してるけどうまくいかないし、貴方に迷惑かけてるし、どんどん太ってきたし」


「ああ、そうだね。でも……」


「でも、ずっと笑ってるじゃない。普通そんなことないでしょう? 何にも上手くいかない。そして貴方から笑われたらあたし、あたし、」


「……すまない、でも」


 と、ここで、外が騒がしくなる。


  次の瞬間、元伯爵代行が入ってきた。


 大勢の人をまとわりつかせて。


 呆然とする二人。そのあと、伯爵令嬢が怒った。


「なにしてるんてますか、お父様」


「なにしてるはこっちの台詞だ」


 ドレイクは、伯爵家の騎士や使用人、執事などを振り落として更に怒鳴る。


「お前ならもっと上手く出来るとおもったんだぞ。それなのになんだい、全然連携か取れてない。予定より遥かに遅れているし、損失も出てるだろう」


「は、はい」


「とりあえず、ここにある関連書類を見せろ。それと、この件に関する無条件の委任状を今すぐ書け。反論は許さん。三ヶ月でなんとかしてやる」


「貴方にそんな権限があるのか?」


 ショウがシーラを、かばってドレイクに言う、がドレイクは鼻で笑う。


「お前らに事態を収拾出来るのか。俺ならできる。万一出来なくとも責任を押し付けられる。まあ、どうでもいい早くしろ」


 と、いいながらドレイクはそこら辺の書類を、整理しながら読んでいく。そのあとシーラが書いた委任状を手にした。


「シーラ、財務状況を、教えろ」


 書類から、財務関係のものを手渡す。ドレイクは、それを一瞥すると、シーラとショウに怒鳴った」


「とりあえず、問題箇所から火消ししていく。シーラは俺についてこい。色々な状況を説明する。あと、ショウは伯爵領の事務処理を行え。俺が帰ってきたら監査する」


 そう言うと、ドレイクはシーラを連れて色々な所を回った。数箇所回り、そのあとは屋敷に帰ってショウの書類のダメ出しと添削。そして二人に宣言した。


「とりあえず三ヶ月間みっちりしごいてやる。そしたら何とか出来るだろう。あそこまでいい放ったんだから責任とって最後までついてこい。泣き言は聞かん。お前らのお陰でとれほどのひとが迷惑してるか考えろ」


 ここで、ルーザとリムルが屋敷にやって来た。


 ルーザはシーラを見て笑った。


「あらあら、やっぱりそうね。体型も崩れているし、お肌ののりも悪いわ。三ヶ月はちゃんと体調管理してあげるからあとは頑張りなさい」


「義理母樣、お願いします」


 シーラは力なく答えた。が、ここで、ショウが叫ぶ。


「シーラを苛めるな。彼女の気持ちも考えなくて」


「あら、私は伯爵令嬢として必要なことをしているだけですわ。シーラさんは太りやすいから、彼女の美貌を維持するのは難しいのよ。貴族としては当然のことよ。第一、貴方の好みが細い人だと聞いているけど」


 と、ここで、ショウが憤慨する。


「それは誤解だ。僕はシーラの小さい頃の体型が大好きなんだ」


「え、?」


 驚く三人。それにたいして怒ったままのショウは話す。


「小さい頃のシーラはまるで珠のように可愛い娘だった。それに笑って良くものを食べる可愛い娘だった。だから、父に言って無理矢理婚約者にしてもらったんだ。、しかしどんどん痩せてるし、お菓子とかもほんの少ししか食べないし、しかもメイドのようなことさせられてるし、お前ら虐待していただろう」


「失礼ね、私はシーラが伯爵令嬢として必要な体型を、維持するためにあえて運動させたのよ。それで絶世の美女と言われるようになったわ」


「僕はそんなことしてほしくない。シーラはシーラだ。彼女がしたくないことはしてほしくない。だから、シーラか昔の体型に戻っていくのが凄く嬉しくて」


 ここで、シーラはルーザに挑むように言った。


「わ、わたしも無理して痩せたくありません。美味しいもの食べたいし、伯爵令嬢として多少おかしい体型でも気にしません。ショウ樣が良いなら……」


 ここで、リムルは納得していた。


「なるほどね。だから、可愛い系の贈り物やドレスが多かったのね。手直しも胴回りが大きかったし。大丈夫、今の体型とかでも間違いなく可愛いとか、綺麗ね、とか、言われるコーディネートしてあげる、と言うよりさせて。ああ、創作意欲がわき出てくる」


 変なところでおかしなテンションになっているリムル。それを聞き慌てるルーザ。


「ま、待ちなさい。体型が崩れたら、それだけで他の方に白い眼で見られるのよ。だから、心を鬼にして色々してたのに」


 が、それを尻目にシーラははっきりした口調で宣言した。


「私はショウを優先します。ショウのためなら笑われても構わない」


「シーラ……」


「ショウ……」


 二人の世界に入るシーラとショウ。


 それを唖然としてみているルーザ。


 生温かく見守るリムル。


 我間ぜずと静観していたドレイク。かここで、彼は動いた。


「まあ、これから忙しいぞ。お前ら。じゃ、こいつは連れていく。覚悟しろよ」


 そして、鬼は犠牲者を連れて行った。


 そして三ヶ月が過ぎた。


 領内は平常に戻り、繊維産業のプロジェクトも軌道に乗った。ショウは伯爵領を、回せるようになり、シーラはプロジェクトの全体像を把握して進めることが出来るようになった。因みにショウの父親は、半年したら手を出す予定だったらしい。と、言うより時間が作れなかったそうだ。ドレイクが感謝されたのは言うまでもない。


 ルーザは、館の維持管理と、シーラたちの健康管理をしていた。ついでに領内の魔道士たちの指導も。


「以前に比べたら楽だわ」


 とか、言いつつも少し物足りないらしい。


 リムルは、シーラをコーディネート。お陰で笑われるより最新のモードとして評価されたらしい。このあと、少し太った女性が美人となっていく風潮になるのだが、それは別の話。


「もっとお話していれば良かった」


 と、休憩中にお茶しながらリムルと話すシーラ。


「でも、あたしのほうとしてもバリバリ平民だし。いや、母さんから色々仕込まれていたけどさ、パーティーとか頑張って猫被ってたし。もう、伯爵家のさ、義理娘としてもあんまり粗相は出来ないな、と、結構一生懸命だったんだよ。母さんは、意外と美容や服装方面は弱いとこあるし。あたし、必死で勉強したんだよ」


 と、リムル。


 実際、これまでシーラもリムルも話が合わないと思ってあまり接触してなかったのだが、意外と馬が会うようになった。よくスイーツとか好きな小説の話でもりあがる。


「やっぱ、話し合いって必要だね」


「そうね」


 二人は反省した。そして、シーラとショウがドレイクに連れていかれるまでしゃべるのであっる


 そして三ヶ月後。


 今朝はドレイクの呼び出しがない、とシーラもショウも安堵した。が、次の瞬間、何となく意図を察してシーラはドレイク達を探した。しかし屋敷にはいない。彼女はドレイクの城になっていた執務室に突入する。そこには色々な書類と手紙があった。


 手紙の内容は、簡単に書かれてあった。


「もう、二人で何とか出来るだろう。頑張れ。必要な書類は準備しておいた」


 これを読んで二人は顔を見合わせる。そして呟く。


「……逃げたわね」


「……逃げたな」


 そう、ドレイクは後のことをほっぽり出したのだ。あとは二人でできるだろうと。


「でも、何の見返りもないなんて」


「甘いわよショウ、父は、ちゃんとお金は確保してるわ。多分、いろんな領収書にまぎれこませてね」


 憤慨するショウ。しかしシーラは笑みをうかべた。 


「お父様、あなたは間違いを犯しました。必ずお返しさせていただきますわ」


 それは、シーラの宣戦布告であった。


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