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7疑問


 【王子の婚約者など辞めてしまいたい】 

そう書いてあったのは、おそらく持ち主の本音だろう。

やめちゃえばいいのに・・・。


でも、これじゃちょっとおかしいんだよね。

こんなにびっちり見張りを付けられてて、しかも周りに友達もいないのに、誰かをいじめたりしたらすぐにばれるんじゃないの?

アンナはそんな疑問を感じた。


そういや、例の子爵令嬢はもういるんだろうか?

だとしたら、いじめないように言わないと。

「子爵令嬢の名前って何だっけ」

歴史書を探していると、  イレーネ=シュルツ子爵令嬢 の記載があった。

「この人だ、この人って、最後どうなったんだろう?」

気になってしまい、他の歴史書を探してみると、愛妾イレーネ とあった。

「ああ、愛妾になったんだ、でもすごく早くに亡くなってんだ」

愛妾となってから半年くらいで死亡しているようだった。


【イレーネ子爵令嬢をいじめていませんか?】

【見張るように命じたのは、王様か、王妃様か、もしくは婚約者様だと思う。

それ以外に、助けを求めて大丈夫な王家の人にこっそり現状を話してみたらどう?】


*******


「イレーネ子爵令嬢って、この間編入してきた子の事よね、あまり接点もないのにいじめるわけないわよね。

失礼なアンナちゃんだわ」

クッキーをクロにあげながら、ノートを見たエリザベートは頬を膨らませた。


子爵家の庶子であるイレーネが編入してきたので、しばらくの間面倒を見るように、と学院から依頼があった。

女子ということで、エリザベート達がお世話をする予定だったのだが、何とイレーネ本人が嫌がったのだ。

いわく、自分は女子に嫌われやすいから、男子生徒にお願いしたいと。


「嫌われやすいって、会ってもいないのにいきなり嫌いにはならないと思いますが」

「そう思うんだけどね、まあ、慣れるまでってことで、誰か男子生徒にお願いしようかと、

そんなことに関わるのも面倒だからね」

生徒会の顧問はそう言って、書記のジャンを指名した。

ジャンは子爵令息で、家柄も同じだし、ちょうどいいから、と。

「ジャン様、よろしくお願いしますね。女子は嫌だと言われてしまって・・・」

「大丈夫ですよ、学園に慣れるまで2,3週間もあれば大丈夫でしょう」


そう言って彼女をお世話すること3日目、ジャンが生徒会室に来ると、イレーネも入ってきた。

「ジャン様?後ろの方は?」

生徒会役員の一人がそう尋ねると、ジャンが後ろを振り向いて驚いていた。

「イレーネ嬢、どうしてここに?帰宅したはずじゃ」

「あら、私、用事があるとおっしゃったから、何だろうと思って付いてきちゃいました」


生徒会室の全員が驚いて沈黙した。

「イレーネ嬢、ここは生徒会室です。部外者は立ち入れないんですよ」

「え~っ!だってジャン様は私のお世話をしてくれてるんでしょ?だったら関係者よ」

「はあ?」

ものすごい暴論に誰も反論ができなかった。


結局、ジャンがイレーネを送っていくことで、何とか部屋からは追い出すことができた。

エリザベートが会ったのはその時くらいだ。


【アンナちゃん、イレーネ様をいじめるなんてありえないわ。

だって、1回しか会ってないもの】


「さてと、陛下か、王妃様か、まさかブライド様?誰の命令なのかしら?

それとも3人の総意?とか・・・。あの3人以外で話ができそうな人物、お父様に聞いてみないといけないわ。また作戦を立てなきゃ」


~えりー、たのしそぉ~

「あら、そうね、秘密の作戦、ちょっと楽しいかも」

実際、雁字搦めの生活だったため、お転婆だった自分が出てきたみたいなのだ。


そうだ、これも書いとこう。

【アンナちゃん、私、いじめなんてつまらない事しないわ。やるなら堂々と反撃するわよ】

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