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ぼくはだれ
うわつ。強い日差しが僕のまぶたを突き刺した
まぶしい。
なんてまぶしいんだ。
これじゃ、おちおち寝ていられないよ。
いやいや。
おかしいぞ。
自分はだれなんだ。
まったく自分の記憶がない。
いったいどうなってるんだ。
「さあ行こう。ブルン。お出かけだよ」
元気な男の子の声がぼくの耳に飛びこんできた。
気づけば僕はその声の主に抱えられ青空の広がる田園を
目にしていた。
男の子は僕を自転車のかごに乗せ風を切りながら突っ走っていたのだ。
自分はこの子にかわいがってもらっているようだ。
なんとなくそれはわかった。
でも、僕はどんな存在なんだ。
まだまだわからないことだらけだ。
ひとまずこの子に身を任せよう。
どうやら自分は一人では自由に動くのは難しいようだ。