七行詩 891.~900.
『七行詩』
891.
約束を一つ しませんか
貴方が目を閉じ 眠る間に
私は声をかけている
貴方が目覚めたら 知らせてください
今日の調子はどうですか
楽しそうに 話す貴方を浮かべながら
私は貴方を呼んでいる
892.
青空 風吹く 空中庭園
春の陽気は 貴方にとって 優しいだろうか
笑って欲しいと願うなら
私が笑わなくてどうするのか
溶かした砂糖で 茶葉の苦味をごまかすような
そんな時間ではなく
光溢れる 穏やかな午後を
893.
優しさは この手から離れ
伝わる瞬間に優しさとなる
優しい人間になれなくても
優しい音楽を奏でられるようになりたい
いつか貴方を癒せるように
優れた絵画ではなく
不器用に 欠けたものばかりの 愛しき姿
894.
今こそ 繋がり合う時だと
出会いは 私に示している
まるで計らったかのように
この時に私達はぶつかった
それは いつか欲した救いであり
また新たな試練を迎えての
大切な絆となったのです
895.
お見舞い代わりに文を送る
一羽の鶴を折るように
貴方のもとに羽ばたいて、と
封をし 崩れぬ 祈りを込めて
どこかの町に いる貴方へと 飛ばしましょう
もう貴方の前で 辛いとは言わない
貴方が強く 生きているから
896.
何かを始めようとする度
新しいノートを用意するけれど
二冊目に辿り着く挑戦は
結局 そんなに多くはない
けれど 新しい手帳は埋まっていく
二度と戻らない 日々の予定は
戸惑いながらも 確かにこのペンで埋めている
897.
真っ直ぐ歩くばかりではいけない
やがて草花の園に辿り着き
踏み折り進むのが 勇敢ではない
その優しさで 避けて回り道をするのは
足を持つ者の使命でもある
そして 足を奪う泥濘の道を
態々 辿ることもない
898.
傷を忘れることはない
欠けた部分を埋めるように
行き場を失った愛は
生きて振り撒く 癒しの涙に変えましょう
次の出会いの 土壌を肥やし
誰かを包み 守るために
そこは 縁が円となり 結ばれる場所
899.
憶えていますか 初めて覚えた感動を
それは今 貴方を作る
大事なものになっている
ふとした瞬間に甦り
全てはそこに 帰結する
私の腕が汚そうとも
決して奪えない その魂よ
900.
私は思い知るでしょう
世界を広げるために
貴方の代わりで埋めるには
世界はこんなに広くなくてはいけなかったのだと
静かなのは 眠る間だけで
光溢れる 激動の地にて
私は今日も生きているのだと
これにてひとまず投稿は一区切りとさせていただきます!ありがとうございました!
残りの101篇はきっと忘れた頃に来ますので、またぜひよろしくお願いいたします!m(_ _)m