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生徒会の言う事をききなさいっ!

 ある朝の事だった。アルスと弓彦が学校へ着き、下駄箱で靴を履き替えていた。その時、アルスが人だかりを見つけた。


「ん?なんか人がたくさんいるな」


「なんかあったのか?」


「おーい‼弓彦、アルスちゃん‼」


 浦沢が慌てながら、弓彦の所に近付いてきた。


「どうした?そんなに慌てて」


「大変だよ!とりあえず、掲示板を見て来いよ‼」


「?」


 浦沢の言うとおりに、弓彦は人だかりができている掲示板へ向かった。そこには、生徒会からのお知らせと書かれた紙が貼られていた。


「えーっと何々……本日放課後、1年3組の崎原弓彦とアルス・ロトリーヌは生徒会室に来るように……ええええええええええええええええええ!?」


「何を騒いでいる?」


「大変だよ……俺ら、生徒会に呼ばれた」


「生徒会?何だそれは?王より偉いのか?」


 その後、弓彦はアルスに生徒会という存在が、どんなものかをアルスに説明していた。話を聞き、納得した。


「そうか、生徒の中で偉い存在か……」


「あ~、俺ら何もやってないよな~」


 頭を抱え、考え込んでいる弓彦を見て、浦沢はこう言った。


「いろいろやっただろ、他校との野球の練習試合の爆発騒動、剣道部でのバトル。そんでもって、この前はどんな手段を使っても購買部のパンを買うぞ同好会の騒動。ほぼ二人が絡んでんじゃねーか」


「野球と剣道の方は世界が騒動を起こしたんだけどな……」


「同好会の方はアルスちゃんが手を貸したんだろ?」


「うん」


「まーいい。とりあえず放課後にそこに行って話を聞けばいいんだな」


「多分お説教だろうよ」


 溜息を吐き、弓彦はこう言った。




 放課後。アルスと弓彦は、生徒会室の前にいた。


「あぁ……どんなこと言われるんだろう……」


 恐怖と緊張で、弓彦の顔色は悪くなっていた。そんな弓彦を見てか、後ろにいた世界が現れてこう言った。


「大丈夫よ弓彦君。何かあったら、私があなたを守るから」


「いやいい。行くぞアルス」


「うむ」


 アルスが扉をノックすると、中から「どうぞ」と少女の声が聞こえた。


「失礼します」


「し……失礼します!」


 アルスはいつも通り、弓彦は緊張しながら生徒会室の中に入って行った。


 中には三人の生徒が机に座っていた。中央の机には二人、男子と女子。そして窓側に置かれている大きな机には、小さな少女が椅子に座っていた。緊迫な空気に負け、弓彦は嗚咽した。


「そんなに硬くならなくてもいいわ、弓彦君」


「は……はい!」


 アルスは察した。小さな少女が馴れ馴れしく弓彦の名を呼んだため、世界が怒り出して中に入ってくるんじゃないかと。だが、世界は入口からこっそりとこちらの様子を見ていた。その顔は、とても緊張していた。


「で、横にいるのが今噂のアルス・ロトリーヌさんね」


「は、はい」


 名前を呼ばれ、アルスは驚きながら返事をした。


「あなたと会うのは初めてね。まずは自己紹介から始めましょう」


 小さな少女がそう言うと、中央の椅子に座っていた男子生徒が立ち上がり、アルスに近付いてきた。そして、アルスの手を取りこう言った。


「俺の名は八幡雍也(やはたようや)2年2組に在籍だ。君みたいな美しいお嬢さんと知り合えて光栄です。あ、ラインのID交換しませんか?それともこの後コメ○でコーヒーでも飲みませんか?」


「ナンパはよそでやれや‼」


 中央に座っていた女生徒が雍也に回り蹴りを喰らわせた。その後、倒れている雍也の上に立ち、女生徒が自己紹介を始めた。


「私は副会長の南野(みなみの)日枝(ひえ)と申します」


「あ……ああ。よろしくお願いします」


 アルスと日枝は握手を交わした。そんな中、踏まれている雍也は顔を上げ、こう言った。


「あ……今日の日枝ちゃんのパンツは黒なんだね。セックスィ~」


 その後、日枝のかかとが雍也の後頭部に命中した。


「失礼。そして……あそこにいる可愛くて美しくてプリティーなお方が」


「いいわ。自己紹介位私でするわ」


 女生徒は椅子から降り、アルスに近付いた。


「私は生徒会長、(まだら)御代(みよ)です。今後ともよろしく」


 御代はアルスを見上げ、こう言った。


「あの……どうして俺らを呼んだんですか?」


 弓彦がこう聞くと、御代は自分の机に戻り、上に置いてある資料に手を伸ばそうとしていた。


「アルスさんが起こした騒動についてのお話。私達生徒会にも伝わっています。フンッ‼」


 何度か手を伸ばしたが、小さな御代の体では、机に置いてある資料まで手が届かなかった。


「噂では……フンッ!フンッ‼何もない所から剣を出す……フンッ‼届け畜生……空を自由に飛ぶ……フンッ‼フンッ‼……ハァ……ハァ……」


「あの、俺が資料を持ってきましょうか?」


 弓彦が疲れ果てている御代にこう聞いたが、日枝が弓彦に睨んでこう言った。


「邪魔しないでください‼生徒会長が頑張って資料を取ろうとしているんですよ‼」


「でも時間がかかって……」


「時間なんてどうでもいいの‼頑張って、会長!あと少し、ほら、あと少しで手が届きますよ‼」


 弓彦は溜息を吐き、机に近付き、資料を取った。


「どうぞ」


「何すんだ腐れチ○コ野郎がァァァァァァァ‼」


 日枝の裏拳が弓彦の顔面に命中した。


「会長の経験値がパーになっちまっただろうがァァァァァァ‼あと少しで人としてのレベルが上がるかもしれねーのに、邪魔すんじゃねーぞグルアァァァァァァァァ‼」


「そこのド腐れメガネロリコンレズ痴女‼私の弓彦君に会心の一撃喰らわせてんじゃねェェェェェェェェェ‼」


 世界が叫びながら生徒会に乱入してきた。世界は日枝に向かって飛びあがり、急降下キックを当てようとした。


「一年の桂川世界さん。あなたにも話を聞きたいと思っていたところですよ。この前の野球の騒動と剣道部の騒動、あなたも絡んでいたと報告がありましたからねぇ」


「話を聞きたいんなら……まず私の弓彦君に謝ってからにしなさい」


「会長の邪魔をした男に下げる頭など存在しません」


「そう……なら、力づくでやってあげるわ‼」


「できるものならやってみなさい‼」


 世界と日枝、二人の周りからオーラのようなものが現れた。そして、二人は宙に浮き、殴り合いを始めた。


「何これ?ドラ○ンボールかよ!」


 弓彦は、激闘を始めた二人を見て、こう叫んだ。そんな中、雍也が再びアルスにナンパしていた。


「この後、どこか行きませんか?」


「貴様のような軟派な奴が私に話しかけるな。私は貴様のような軟弱物の相手はしない」


「……そんなきつい事言わなくてもいいじゃない……」


 振られ、そしてきつい事を言われ、雍也の心は木端微塵に粉砕された。そんな中、雍也は世界と日枝の戦いに巻き込まれてしまった。


「オラオラオラオラオラオラオラオラ‼」


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄‼」


「ちょ、それ○ョ○ョじゃん、ドラ○ンボールのパロディじゃなかったの?」


「「黙れ軟派野郎‼」」


 世界と日枝の拳が、雍也の頬に命中した。雍也は「ヤッターバァァァァァァァァ‼」と、悲鳴を上げ、窓から落ちて行った。その様子を、丁度グラウンドで走っていた野球部員が見つけた。


「せんせーい、生徒会の軟派な人が落ちましたー」


「ほっとけー。これギャグ小説だから死にはせーん」


 生徒会の教室での騒ぎは、段々とうるさくなってきた。戦いを続ける世界と日枝、落ちたけどまた立ち直ってアルスにナンパする雍也、弓彦は静かにしろと言おうとしたが、先に御代が大声で叫んだ。


「静かにしなさァァァァァァァァァァァァい‼」


 突然のシャウトの後、御代は泣き始めた。


「ウェ~ン、なんでみんな勝手に暴れまわるの?なんで誰も話を続けようと思わないの?」


「会長‼申し訳ありません‼」


 日枝は世界との戦いを辞め、何度も御代に土下座をした。ボーっとしているアルスたちにも、土下座をしろと言い、結局御代の機嫌が直るまで、皆で土下座をしていた。




 数分後、機嫌が直った御代は、話を再開した。


「では、話に戻ります。アルスさん。あなたは何もない空間から剣を出し、○空のように空を飛ぶという、チートのような能力がありますね」


「チートではない、魔法だ」


「魔法でも何でもいいわ」


 御代は椅子から降り、アルスに近付いた。


「あなたに命令です。今後一切、魔法を使うことを禁じます」


「なっ……」


 魔法の使用を禁止。それは、アルスにとって痛い事なのだ。


「魔法は便利です‼魔法さえあれば、遅刻しそうなときに空を飛んで一気に移動できますし、セイントシャインなら包丁代わりになります‼」


「お前聖剣を何だと思ってるんだよ!?」


「いいですか?あなたが魔法を使うたびに、学園の騒動が広がります。騒動は魔法を使わなくても解決できます。我々は、自分たちの力で解決してきました」


 この言葉を聞き、アルスは困り果てた。その時、御代は手を叩いた。


「出てきなさい、三毛!」


 天井から、何者かが降りてきた。


「うわっ‼誰だ君!」


「私は浦野(うらの)三毛(みけ)。一年、これでも生徒会の人間だ」


 御代は三毛の横に移動し、アルスにこう言った。


「これから一ヶ月、学校内では三毛があなたを監視します‼何かあったらすぐに私の方に連絡が来るので、承知いしてください‼」


 御代はこう言った後、アルスに勝ち誇った顔を見せた。アルスと弓彦は、三毛の顔をみえて、困った顔をしていた。

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