野望というか、欲望の為に……
己の性欲を満たすため、ショーミは世界と共に学校へ向かっていた。そんなことを知らず、アルスは弓彦と共に弁当を食べていた。
「そういやあ、世界の奴もどっかいったっきりだな」
「あの変態と手を組んでこなければいいが……」
アルスは箸で卵焼きをつまみながらこう言った。その時、グラウンドから大きな声が聞こえた。
「勇者ー‼グラウンドに降りてこい‼出てこなければ、この学校を吹き飛ばす‼」
「弓彦君も一緒にね‼」
その声はショーミと世界だった。呆れ果てたアルスは窓を開け、そこから光魔法で作った矢をショーミに向けて投げた。矢はショーミに命中し、爆発した。
「さて、飯の続きだ」
ショーミの悲鳴を聞きながら、アルスは弁当を食べだしたが、ボロボロになったショーミが壁をよじ登り、アルスのクラスの窓から顔を出した。
「ねぇ、本当に降りてきて‼こんな決着の仕方、我は嫌だ‼」
「黙れ変態外道が‼」
アルスはドロップキックを放ち、ショーミを蹴落とした。それを見た三毛が、一言呟いた。
「ナイススマッシュ」
地面にめり込んだショーミは、世界の手を借り、地面から立ち上がった。
「やはり直接行くのは難しいか」
「少し作戦練りましょう」
「だな」
その後、馬鹿二人は作戦会議を始めた。で、こんな結果になりました。
アルスをおびき寄せて、背後から性的に襲う。で、アルスとショーミが百合百合な関係になり、ボッチになった弓彦を世界が慰める。で、結婚。
これでうまくいくと、二人は確信した。
その後、世界は教室に戻り、アルスに近付いた。
「アルスさーん、一緒にトイレに行きませんかー?」
「嫌だ。お前何か考えてるだろ」
アルスはそう言うと、三毛の元に戻って行った。世界は舌打ちをすると、廊下の所でスタンバイしているショーミに視線を合わせた。で、二人はハンドサインで合図を送り、新たな作戦を決行した。
「アルス、あの魔王が廊下にいるわ‼」
世界は大声でアルスにこう言った。この言葉の直後、ショーミはアルスのクラスの前に近付いた。その姿を確認したアルスは呆れて溜息を吐き、こう言った。
「おい変態、直接学校内に入ってくるなよ……」
「ふはははは‼勇者アルスよ、我を倒したければ追ってくるがよい‼」
ショーミはそう言うと、廊下を走りだした。だが、アルスはショーミの後を追わなかった。
「ねぇ、あの変態の後を追わないの?」
三毛がこう聞くと、アルスはこう答えた。
「どうせ変なことを考えているんだろ。世界もつるんでるようだし……」
アルスの言葉が耳に入り、世界の額に冷や汗が流れた。
「うーん。どうして追ってこないんだー?」
屋上にて、ショーミは胡坐をかいてアルスの到着を待った。だが、いくら待ってもアルスは来ないし、来る気配もなかった。
しばらくし、世界が息を切らせながらショーミの元に走ってきた。
「ん?どうした?」
「アルスが計画を察知しているみたい」
「ええ~?じゃあどうする?」
「うーん……」
二人は考えた。で、その結果、二人はこんな結論に至った。
来ないなら、こっちから行こう‼
数分後、世界とショーミはアルスがいる教室に来ていた。
「やっぱり二人で悪だくみを企てていたか」
「こいつら……」
同時に教室に入ってきた二人を見て、やはりと思ったアルスと弓彦は呆れて溜息を吐いた。
「ねぇ、どうするの?」
三毛はアルスにこう聞くと、アルスはセイントシャインを呼び出し、ショーミにこう言った。
「倒すしかないな。世界も含めて」
剣を構え、アルスはショーミに外に出るように指示したが、チャイムが鳴り響いた。
「……授業が始まる。続きは放課後だ」
「嫌だ‼今やる‼」
ショーミはアルスの手を引き、空に飛んで行った。
「あ‼クソ‼授業が始まるっつってるのに‼」
アルスは浮遊魔法を使い、宙に浮いた。そして、発情して興奮しているショーミに剣を向いた。
「すぐに終わらす‼」
アルスはセイントシャインを光らせ、ショーミに向かって突進していった。だが、世界はアルスにこう言った。
「アルス‼弓彦君がどうなっても言い訳?」
世界はどこからか用意したか分からないが、回転ベッドの上にいる弓彦の上にまたがっていた。
「世界‼お前こんなもんどこから持ってきたんだよ!?」
「フフフ……弓彦君のDTを貰っちゃうわよ?校内でとんでもないことをして、退学になっちゃうわよ~」
「クソッ‼弓彦を人質に取ったか‼」
「その通り……」
ショーミはアルスの背後から近づき、胸を揉み始めた。
「うわっ‼貴様……」
「ぬふふふふふ~。こうなることを我は望んでいた~」
「あ、クソ!おいやめろ、落ちるから、落ちるからって……」
「暴れんなよ、暴れんなよ~」
空中でとんでもない光景が繰り広げられている。そのせいか、授業は中断してしまった。
「お前のせいで学校中がパニックになってるだろうが。やめろよ」
「そんなの関係ない。我は自分のムラムラを収めたいだけだ‼」
「だから胸揉むなって……あ」
その時、アルスは浮遊魔法を解いてしまった。その結果、二人ともグラウンドに落っこちてしまった。
「ショーミさん!?」
下着姿になって弓彦に迫っていた世界は、驚いて窓の下を除いた。その隙に、弓彦は急いで服を着て席に戻った。その時、教室にいた先生が世界にこう言った。
「桂川、服を着て席に戻れ。後放課後に職員室に来い」
「つつつ……あと少しだったのに……」
ショーミは落下の際に痛めた腰をさすりながら、立ち上がろうとした。が、自分の鼻に何かが当たった。それは、セイントシャインの剣先だった。
「覚悟はいいか?」
先に立ち上がっていたアルスが、殺意の眼差しでショーミを見つめた。この目を見て、ショーミは恐怖で震えあがった。
「いや……止めて……殺さないで……」
「殺しはしない……ただ、半分ぶっ殺す‼」
「あー‼やっと見つけた変態魔王‼」
「ショーミ様、何やってんですかあんたは!?」
丁度校内に入って来たムーンの魔法と、イータの飛び蹴り、そしてアルスのセイントシャインの剣技がショーミを襲った。
「いぎゃあああああああああああああああああああああああああああ‼」
ショーミは攻撃を受け、空高く吹き飛んでしまった。
「ったく、迷惑な魔王だ……」
ショーミを吹き飛ばしたアルスは、そう言うと教室に戻って行った。
「あー……またあの魔王の後を追いかけないと……」
「大変ですね」
イータとムーンは、用を終えて校内から出て行った。
騒動が終わり、授業は再開された。だが、とある1年の生徒がこの光景をずっと見ていた。
放課後、アルスと弓彦は剣道部の部室へ向かっていた。その時、あの1年の生徒が二人を呼び止めた。
「あの、隣のクラスのアルスさんですよね?」
「ん?誰だお前は?」
アルスは立ち止まり、その生徒にこう聞いた。
「僕は1年の青池岳人と言います」
その名前を聞いた弓彦は、マジかよと呟き、後ろに引いた。その反応を見たアルスは、弓彦に聞いた。
「何でそんなに驚くんだ?」
「風紀委員長だからだよ。俺らと同じ1年だけど、あまりにも頭が良すぎてすぐに風紀委員長になった奴がいたと聞いたけど……」
「アルスさん、直球に話します。風紀委員に入ってくれませんか?」
この言葉を聞いた弓彦は、驚きの声を上げた。
その頃、ぶっ飛ばされたショーミは立ち上がって周囲を見回した。
「ててて……ここはどこだ?」
街中だと察したショーミは、にやりと笑って、走り始めた。
「街中だ‼女はどこだ?我と交わって‼」
その時、誰かがショーミの肩を掴んだ。誰だと思い、ショーミは後ろを振り向いた。
「私、低町はのな。少し……頭冷やそっか……」
というわけで、ショーミは再び警察の御用となりました。




