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どうしてルールを守らないイレギュラーは発生するんだろう?

 第33回校内美少女コンテストの会場はグラウンドにあった。参加者らしき女生徒が数名おり、皆マントを羽織っていた。アルスの姿を探していると、何やらやっているアルスの姿を見つけた。


「弓彦、見に来てくれたのか」


「お前、これがどういう大会か知ってるのか?」


「誰が一番可愛いかだろ。今説明してもらった」


 弓彦が周りにいる参加者らしき女生徒を見てみたが、どの女生徒もかなり綺麗かつ、可愛い女生徒ばかりである。いくらグラビアアイドルみたいな体をしているアルスでも、票が入るかどうかぐらいレベルが高い。


「これは誰を選ぶか迷うな……」


「そうか?」


「だけど、一番になるのはこの私よ‼」


 と、御代が現れこう言った。弓彦は周りの女生徒と、御代を見比べた。そして、可哀そうな人を見る目で御代を見つめた。


「何よその目?まさか私が負けるって思ってんじゃないでしょうね?」


「さぁ……」


「弓彦さん。ちょっと」


 ここで日枝が弓彦を舞台の裏へ連れ出した。


「どうかしましたか?」


「あなたの言うとおり、今の状況では御代会長はこの大会で勝てません」


 弓彦は日枝の性格をよく知っている。御代の事が好きすぎて、彼女の事になるとムキになる。全ては御代の為に生きている人だ。そんな彼女が、御代が負けると言う事を察している。まさか、日枝からこんな言葉が出てくるとは弓彦は思っていなかった。


「まぁ、身長もスタイルも他の生徒が上ですし……御代会長への票が集まりにくいと思います」


「だから、これを持ってください」


 日枝は弓彦にハンドガンを渡した。


「……これエアガンですよね」


「本物よ」


 本物の銃を渡され、弓彦は慌てながら銃を日枝に返した。


「何考えてるんですかあんた!?つーか、それで何をするつもりなんですか!?」


「御代会長に票を入れるように脅すつもり」


「そんな事したら警察に捕まりますよ‼」


「ちぇー、やっぱりダメか……あとでお父さんに渡そ」


「つーか先輩の父親って何やってるんですか?」


「警察官よ。ヤーさんじゃあないから安心して」


 その後、話を聞いた日枝の父親が来て、銃を回収した。




 数分後、ついにコンテストが始まった。


「待ちわびたか野郎ども‼今から第33回校内美少女コンテストを始めるぞォォォォォォ‼」


 司会者の怒声と共に、観客(主に男衆)の声が上がった。


「まずは一人目‼高校生とは思えないけしからんボディ‼3年の盛宗与瀬だ‼」


 カーテンが開かれると、そこには本当に高校生かと聞きたくなるような体の持ち主、盛宗がビキニ姿で立っていた。


「こんな寒い中、よくビキニで出てくるな。偉いぞ‼」


 司会者が鼻血を垂らしながらこう言ったが、舞台裏で何かに気付いたアルスが盛宗を呼んだ。


「おい、両胸の大きさが違うぞ」


「え?あ、ヤベ」


 盛宗はアルスからの指摘を受け、ちょっと待ってくださいと言い、舞台裏に戻った。戻った直後、彼女はビキニの中に潜ませてあった風船の調整を始めた。それを見て、御代は声を上げた。


「ちょっとー‼それずるくない!?」


「勝つためには、手段を選ばないのよ~」


 と言いながら、盛宗は戻って行った。そんな彼女の態度を見て、御代は怒り出した。


「何よあの女‼風船を使わなければ私と同じくらいの胸の大きさなのに!」


 その時、御代は何かを思いついた。アルスに近付き、御代は耳打ちをした。


「アルス、あの女の胸にある風船を魔法で割ることは出来ない?」


「分かりました。やってみます。私もあの女の態度が気に食わなかったんですよ」


 アルスは光の魔法を発し、小さな矢を作った。そして、それを盛宗のビキニに標準を合わせ、放った。小さな矢は音もなく盛宗のビキニに向かって飛んでいき、風船を破裂させた。


「……はへ?」


 隠していた風船が割れ、盛宗の頭の中が真っ白になった。この光景を見ていた司会者は、大声で叫んだ。


「おっとー‼盛宗さんの胸は偽物だったー‼本当の胸は、ペッタンコだー‼見事なまでのまな板だー‼」


「ちょっと‼馬鹿‼そこまで言わなくてもいいじゃない‼うわーん‼」


 盛宗は外れたビキニを片手で隠しながら、泣いて去って行った。走り去る森胸を見て、御代は悪魔のような笑顔を作っていた。




 その後も参加者の紹介が行われたが、そのたびに毎回毎回アクシデントが起こっていた。そのせいで、参加者の大半が失格扱いとなってしまった。


 で、結局残ったのはアルスと御代になってしまった。


「えー、なんかいろいろとアクシデントが発生しましたが……もう二人参加したいという無謀者が来ましたので、その方の紹介をしたいと思います」


 この直後、弓彦の背筋に悪寒が走った。そして、彼は察した。この大会に世界がいると言う事を。


「では紹介します!恋する危ないメンヘラ少女、桂川世界‼」


「ちょっと、その紹介は何よ!?」


 と、怒りながら世界が現れた。世界は嫌な顔をしている弓彦を見つけ、笑顔を見せた。


「弓彦くーん‼この大会が終わったら私の部屋で(ピー!)しましょうねー‼」


「大勢の客がいる中でとんでもねーこと言うんじゃねェェェェェェェェェェ‼」


 世界の声を聞いた観客は、弓彦を見て、憐みの目で見つめた。


「何ですかその目は……」


「坊主、頑張りなよ」


 と、弓彦の横にいたおっさんが、元気出せと言いながら肩を叩いた。


「で、もう一人なんですが、うちの生徒ではありません。一般の人の参加です!」


 この直後、アルスの背筋に悪寒が走った。


「紹介します。えー……魔王ショーミさん、お願いします‼」


「はーっはっは‼美少女はどこだ?一発ヤらせろ‼」


 と、紐の水着姿でショーミが現れた。ショーミは脱落した女生徒を見つけ、よだれを垂らしながら近づいた。


「嬢ちゃん、私とやらないか?おお!そこのお嬢さんも私とやらないか?もう皆まとめてやらないか!?」


「やらせるか!」


 イータの渾身のかかと落としが、ショーミの後頭部に命中した。攻撃を喰らった後、ショーミは頭を抱えて痛みに耐えていた。しばらくし、イータに向かって叫んだ。


「お前!ツッコミをするときはもう少し優しくしろ‼そして頭に攻撃するな、馬鹿になるだろうが‼」


「あんたは元から馬鹿じゃないですか‼」


「あまり馬鹿とか言うな‼泣くぞ‼」


「あのー、口喧嘩は舞台の裏でやってください」


 その後、ショーミとイータの口喧嘩は舞台裏で行われることになった。で、紹介はついに最後を迎えていた。


「では次の候補者。我が校の生徒会長……斑御代です!」


 紹介の後、御代はスク水姿で舞台に現れた。


「会長!スク水を選ぶとはサスガダァ……」


 御代のスク水姿を見た日枝は、興奮して鼻血を出しながら倒れた。だが、他の客の反応は、全然なかった。


「ちょっとこらー‼何か言いなさいよ‼特にロリコンの奴ら‼」


 自分のスク水姿に興味を示さない客の態度を見て、御代は怒り出した。しばらく御代は怒り叫んでいたが、一部の客がこう言った。


「お前は選ばれなかった」


「帰れ‼」


「去るがいい‼」


 それから帰れのコールが始まった。コールを受け、御代は泣きながら舞台裏に去って行った。


「あの、会長!」


「うわーん‼」


 アルスが引き留めようとしたのだが、御代は去って行った。その時、舞台裏のスタッフがアルスに近付き、そろそろスタンバイしてくれと言われた。


「おっと。分かった。では行ってくる」


 アルスはステージの上に立ち、自身の出番を待った。


「では最後の紹介となります‼異世界から現れた美少女勇者、アルス・ロトリーヌ‼」


 紹介の後、カーテンが上がった。観客がアルスに注目する中、アルスは司会者にこう聞いた。


「おい、この後はどうするんだ?」


「何かアピールをお願いします」


「アピールか……こんなもんか?」


 アルスは右手を上げ、光を放った。魔法を見たことがない観客たちは、いきなり現れた光を見て驚いた。


「ほう。じゃあこれは?」


 アルスはセイントシャインを出し、装備した。


「剣が出てきた!」


「どこから出てきたんだ?」


「すげー‼マジでスゲーよ‼」


 アルスの魔法や剣を見て、観客たちのテンションは高くなっていった。その時、舞台裏からショーミが再び現れた。


「では皆さま‼これより我と勇者のエロい百合百合ショーをご覧に」


「見させねーよ‼」


 アルスはセイントシャインを構え、ショーミに斬りかかった。間一髪のところで、ショーミは攻撃をかわした。


「勇者よ、我はこの前とは違う‼それなりに防御策を考えたんだ‼」


「ほう。なら見せてみろ、その防御策とやらを‼」


 その後、アルスとショーミの戦いが始まった。激しい戦いを見ている観客たちのテンションは、最高に高まった。だが、戦いが激しくなってしまったので、弓彦とイータが何とかこの場を抑えた。


「で……では次に投票に入ります‼観客の皆さん、票を入れてくださいね~」


 と、司会者が言った後、カーテンはしまった。




 数分後、御代と脱落者を除いた参加者が、ステージの上に立っていた。


「では結果発表です‼今大会で選ばれた美少女は……」


 少しの間を置き、司会者は大声で叫んだ。


「アルス・ロトリーヌです‼おめでとう、おめでとうございます‼」


 その後、アルスはスタッフから、トロフィーを受け取った。観客席からは、無数の拍手の音が、アルスを祝っていた。


 生徒会室。日枝が窓からその光景を見ていた。


「あ~……何で受けなかったのかな~?」


 御代はスク水姿で、椅子に座っていた。中央の机でタコ焼きを食べている雍也がぽつりとつぶやいた。


「会長のスク水姿なんて見ても誰もうれしくないですよ」


「一回死ね」


 日枝は雍也を掴み、窓を開けて外に投げ捨てた。その時、御代は何かを思い出した。


「そうだ‼まだあれがあったんだっけ」


「あれとは?」


「忘れたの日枝?文化祭最終日に男女で屋上で抱き合うと結ばれる伝説。あのせいで、毎回毎回屋上に入ろうとする生徒がいるじゃない‼基本的に、うちの高校は屋上に入るの禁止じゃない」


「……そうでしたね」


「仕方ないわ。アルスや三毛は文化祭を楽しんでいるようだし、私と日枝で対策を考えましょ」


 その後、二人は翌日の事について、話を始めた。

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