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思惑が交差しまくる文化祭

 生徒会室。御代と日枝、雍也が真剣に何かを話していた。


「では、これより来月行う文化祭について、話をしたいと思います」


「ついに来ましたね……この話題」


 雍也はにやりと笑い、こう言った。


「他校の生徒も来る可能性が多い。それは……他校の女子をナンパするチャンス」


「おいてめーふざけんなよ」


 日枝が立ち上がり、雍也の後頭部を掴んだ。


「すみませんすみません。ちょっと止めて、なんかメキメキって鳴ってる。頭が痛い!」


「日枝、おふざけは止めなさい」


「これおふざけってレベルじゃないよ。日枝ちゃん、確実に俺を始末するつもりだったよ……」


 雍也は痛む後頭部をさすり、呟いた。御代は咳ばらいをし、話を戻した。


「で、来月に文化祭が開催されるわ。他校の生徒はもちろん、一般の人達もたくさん来るわ。で、中には常識がないヤンキーや、見た目はおっさんだけど頭脳は幼稚園児のしょうもない大人も来る恐れもある。去年、そういった輩は無視してきたけど、今年はどうなるか分からないわ」


「そうですね……そう言う時は先生方に対処してもらいたいんですけどね……」


「ま、大人の喧嘩は大人でどうにかするのが常識ですよね」


「その問題以外にも、他校の生徒が来るのよ。変な騒動が起きて、この学校は変な連中がいると思われたくないわ」


「プライドの問題ですね」


 日枝はこう言うと、少し考え事を始めた。問題を起こしそうな奴を一人知ってるからだ。


「桂川世界はどうしましょうか」


「あいつね。確かに何か起こしそうだわ。そいつの対処はアルスに任せたいんだけどな~」


「アルスちゃんは生徒会の人間じゃないしね~」


 雍也は回転いすを回らせながら、スマホをいじっていた。


「何やってんのよあんた?」


「女友達からの返事を返してる。イエー」


 と、雍也は自撮りをし、スマホをいじっていた。それが気になった日枝は、雍也からスマホを奪い取った。スマホには『生徒会で会議CHU』と、書かれた文章と、猫耳を装着されてるように加工された日枝と御代の写真が写っていた。


「遊んでるなら、殺す」


 日枝は殺すと心の中で決めたら、その時すでに行動を終わらせそうな目をしていた。雍也は悲鳴を上げ、スマホをしまった。


 その時、御代は何かを決めた顔をし、こう言った。


「そうだわ。一部の頼れる生徒に、見張りを頼みましょう」




 翌日。アルスは武道場で剣道の部活を行っていた。その時、チャイムが鳴り響いた。


『アルス・ロトリーヌさん。生徒会から話があるので、生徒会室に来てください』


 このチャイムを聞き、アルスは動きを止めた。他の生徒が、アルスにこう聞いた。


「何か騒動起こした?」


「いや。何も起こしていないが」


 その後、アルス以外にも弓彦や他の生徒の名前が呼ばれた。どうしたんだろうとアルスは思いながら、生徒会室へ向かった。


 生徒会室。アルスが部屋の中に入ると、すでに弓彦が到着していた。


「アルス、お前何かあったか知ってるか?」


「全然」


「皆を呼んだのは叱るためじゃないわよ。頼みごとがあるだけ」


 机に座っている御代がこう言った。御代は二人に皆が車で座って待っててと言われ、ソファーに座り、他に呼ばれた生徒が来るのを待った。


 数分後、他に呼ばれた生徒達が到着した。皆、運動系の部活で優秀な生徒だった。


「では、話をします。皆さんに頼みたいのは、来月行われる文化祭での見回りです」


 この事を聞き、他の生徒は何だ、それだけか。叱られなくてよかった。と呟いた。


「文化祭では頭の悪い大人やDQNが来る恐れもあります。連中を取り締まるのは先生の仕事ですが、周囲にいないときはあなた達が取り押さえてください」


「任せてください会長!」


「俺達の筋肉が悪を滅しますよ‼」


 と、筋肉ムキムキの他の生徒は、筋肉を御代に見せつけながらこう言った。


「ま……まぁ、この位力があれば、変な連中は黙るでしょう。当日よろしくお願いします」


「ラジャー!」


 そう言って、筋肉ムキムキの連中は戻って行った。アルスは何かを考えながら、御代にこう聞いた。


「何で私も呼ばれたのだ?」


「馬鹿どもがいたら、魔法でやっちゃって」


「いや、確実に死人が出ます」


 御代に対し、弓彦はこう言った。で、何かに気付いた弓彦は、御代にこう聞いた。


「何で俺も呼ばれたんですか?」


「いやー、何かボケが起こるかもしれないからツッコミ役で」


「何ですかそれ!?」


 弓彦のシャウトが、生徒会室に響いた。




 その後、アルスと弓彦は家に帰った。帰る途中、アルスが話を始めた。


「なぁ、文化祭ってなんだ」


「んー……学校でやる祭りだな」


「ほう‼楽しそうだな‼じゃあ全裸で炎の中を走り回ったり、極寒の地で全裸で氷の上にどれだけ座れるか競ったり、全裸でドラゴンに挑んだりするんだな‼」


「それ祭りじゃなくて拷問」


 クリスルファーの祭りって酷いなー。弓彦は心の中でこう思った。その途中、ショーミが空から降りてきた。


「さぁ勇者‼今度こそ我と交わって‼」


「断る‼」


 アルスは強烈なアッパーカットで、ショーミを殴り飛ばした。馬鹿を殴った後、アルスは話に戻った。


「そう言えば、うちのクラスで何か出すって言ってたな」


「喫茶店をするって言ってた。だけどアルスは見張りだろ」


「あの後御代会長が見張りは時間で交代制だと。見張りじゃない時間は店番するよ」


 地面にめり込んでいるショーミは、こっそりとこの話を聞いていた。




 文化祭が近付くにつれ、生徒たちの話題は文化祭一色になった。どのクラスがあんな出し物をやるとか、あのクラスがこんなことをするとかそんな話が廊下や教室内で聞こえる。


 で、アルスのクラスでも文化祭の事が話題になっていた。


「いや~、アルスちゃんのメイド姿が楽しみだな~」


 浦沢が鼻の下を伸ばしながらこう言った。呆れた弓彦は、浮かれているともにこう言った。


「あまり期待すんなよ。エロいことを考えてるとひどい目にあうぞ」


「じゃあ……今日だけはあなただけのメイドよ。エッチな事……考えてもイイゾ」


 と、弓彦の目の前に際どいエロメイド衣装の世界がいた。この姿を見て、一部のスケベ野郎が世界に見惚れた。


「うふふ。今日、さっそくラ○ホでやっちゃう?」


「やらねーよ。制服に着替えろ」


 弓彦はそう言って席から出て行こうとしたが、世界が泣きながら弓彦に抱き着いた。


「まって~。無視しないで、この服で学校来るの意外と恥ずかしかったんだから~」


「これで学校に来たのかよ!ある意味スゲーな‼」


 この話を聞いていたアルスは、弓彦にこう聞いた。


「なぁ、メイド服とやらって男子に受けるのか?」


「一部の奴だけだな。とくに浦沢みたいなやつに大人気」


「弓彦、そういういい方はなくない?」


 浦沢は弓彦に泣きながらツッコミを入れた。その時、窓からショーミが現れた。突然の闖入者の登場に、生徒たちは驚いた。


「ふはははは‼魔王登場‼」


 アルスは無表情で、ショーミを窓から蹴り落とした。


「何だ今の姉ちゃんは!?」


「アルスがいた世界の魔王。見ての通り、ただの変態」


 弓彦は簡単に魔王ショーミの事を説明した。




 そして時は流れ、文化祭前日になった。どのクラスもどの部活も、文化祭の準備で慌てていた。弓彦がクラスの模様替えを行っている中、クラスの女子の会話が耳に入った。


「ねー知ってる?文化祭最終日に屋上で男女が抱き合うと、必ず結ばれるって」


「何それ胡散臭い」


「本当らしいよ。現に私のパパとママもそれやったら結ばれたんだよ」


「他の人の話も聞いたの?」


「うん。どうやら、結構周りでそれやって結婚したとか付き合ったとかそういう話を聞いた」


 この話を聞き、弓彦はラブコメみたいだなと思った。だが、この言葉を聞いていた世界と、窓の外からアルスを見ていたショーミがこの言葉を聞いていた。


 で、生徒会室。御代は机の上に立ち、日枝と雍也に話をしていた。


「いいか?明日は文化祭‼どんな騒動があっても、我ら生徒会と選ばれし勇者が、学園の平和を守るんだ‼」


「はい‼私が会長の剣となり盾となります‼何なりと言って下さ~い!」


 日枝は御代に抱き着きながらこう言ったが、雍也はスマホをいじってこう言った。


「すんません。俺はナンパしますんで」


「テメーも文化祭を守るんだよこの軟派野郎がァァァァァァァァァァァァ‼」


 日枝の強烈な飛び蹴りが雍也に当たり、外にぶっ飛ばされてしまった。そのまま、雍也はアルスのクラスの窓にへばりついているショーミに命中し、二人は地面に落ちて行った。地面に落ちていく馬鹿二人を見て、弓彦は思った。無事に文化祭が終わってくれと。

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