買い物
孝明を乗せて、商店街を抜けた。今日の夕飯の材料を買おうと思った。
「孝明、今日はなにが食べたい??」
後ろの孝明に問いかける。
「なにー!?
聞こえないよー!!」
風切り音が声を邪魔してるようだった。だからもう一度、大きな声で聞いた。
「今日はなにが食べたいー!!??」
「ハンバーグー!!!」
ハンバーグか。確か今日買った料理本に作り方が書いてあったな。
バイクを商店街の駐車場に停めた。今日の夕飯はハンバーグに決めた。
まずは肉屋に行った。
ハンバーグということは挽き肉か。
「牛挽き肉ください」
「はい!!何グラム差し上げましょうか!?」
しまった、量を見てなかった。一人前どんくらいだ??びっくりドンキーの量を思い出した。確か、二百グラム、三百グラム と選べたはずだ。
ということは一人だいたい二百グラムくらいか。三人だから、ええと、六百グラムか。
「六百グラムください」
「はいただいま!!」
店長とおぼしき、中年の男性は、挽き肉を計りにのせ、包んで、義人に手渡した。
「ちょっとオマケしといたから」
男性は微笑んで義人に言った。
義人はそれを、ありがとうございます、と言って受け取り、代金を払った。
また人との温かみに触れた気がする。
多分誰にでもするサービスかもしれないが、そんな気遣いを受けたことない義人は、素直にうれしかった。
次は……玉ねぎかな??
確かハンバーグに入っていたはずだ。
ついでにレタスとトマトを買ってサラダを作ろう。なにやら楽しくなってきた。
孝明に荷物を持たせて、八百屋に向かった。
ドラマで見たような、ナンバープレートのようなものがつけいた帽子を被った男性が、エプロンをつけて、らっしゃいらっしゃい、とやっていた。
「レタスと玉ねぎ一つ、トマト三つください」
「はいはい、毎度ぉ!!
うちの野菜は新鮮だから美味しいよぉ!!」
そう言って肩を叩かれた。
袋をもらい、苦笑いをする。
このノリにはついていけないものがあった。
こんなもんか、考えながら頷いて、商店街の駐車場に向かった。