今後の話し合い
細かな話は、孝明が寝てからしよう、ということになった。
なにか、心のモヤモヤとしたものがとれた気がした。
そんな気分だったので、テレビを見ていた孝明を抱えあげて、遊んだ。
初めはテレビを見たがって嫌がったが、三分もしないうちに大声をあげて笑い始めた。
肩車をしてぐるぐると回っている時、我が子の成長に気づいた。ずっしりと、重みを感じた。その重みを感じた時、父親としての幸せを感じた。
孝明が疲れて眠ったころに、美智子と今後のことを話し合うことにした。
「さて、美智子が仕事するのはいいとして、今後の俺のことだけど」
「え??私の代わりに家事してくれるんじゃないの??」
「いや、それはもちろんだけど、ずっとそんなことしてる訳にもいかないだろう」
「そうかしら??」
美智子は不満満々な顔をした。
「だって私は仕事を辞めた時、一生主婦で生きていこうと思ったわよ??」
「まぁそうかもそれないけどさ、男の俺がこのまま主婦をする訳には…」
「それって男女差別」
美智子は口を尖らせた。
「ちがうよ。世間体の問題」
「うーん……
でも、仕事を探すにしろ、焦って探すことないわよ。
この不景気の中で焦ってつまんない仕事に就くより、ちょっと落ち着いたときに仕事探す方がいいんじゃないの??」
確かに。つまらない仕事は長続きしない。
「まあね。
じゃあ景気が回復し始めるまで、家事に集中する。
俺の仕事が決まるまでは、情けないけど、頼むよ」
頭を下げた。
「任せて」
美智子はそう言って笑った。
「ところで仕事はいつから??」
「さっき返事したら、来週の月曜日からだろうって」
全くいつの間に。行動が早い。
「そっか。がんばってよ」
「うん」
そのあとは、美智子の仕事に対する希望を、ビールを飲みながら聞いていた。
布団に入ったのは十二時を過ぎてからだった。
その日は四日ぶりにセックスをした。
最初はそんな気分ではなかったが、美智子がその気だったで、こっちもその気になってしまった。
美智子に上に乗られた時は、夫婦間の暗黙の力関係が逆転してしまったのではないかと、一瞬不安だったが、そんな不安は気持ちよさで吹き飛んでいた。