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学院への通過点《Passing point to the Institute》

ごめんなさい、本当に時間が足りないんです。

……受験生やめたい

「ところで、どうしてこんなとこにいたんだ?それと変態さんとは?」


俺は聞きたくて仕方のなかったことを質問した。


「その、道に迷ってしまったので上から見ようと思ったんです……そしたら操作を誤ってしまって」


少女はどこか言いづらそうな表情で言った。それもそのはず、魔術師にとって魔素操作の甘さというのは命の危険に繋がりかねない。


後方支援が主な術者は剣士ほどに体を鍛えない為、今回のような飛行魔術の強制中断の場合は着地に失敗したら一環の終わりなのだ。


「まあ、なんだ、怪我はしなかったか?」


「はい、怪我は大丈夫なんですが……」


少女は体の後ろで手を組んでもじもじとする。そのどこか恥ずかしげな様子はかっちりとした彼女の服装とのギャップがすごい。


「……道行く人が僕の下着をまじまじと」


「それは、大変だったな……」


俺には、苦笑いしながらその言葉を紡ぐのが精一杯だった。






「うきゅうううぅうっ!?」


俺は少女の肩と膝の下に腕を入れて 抱き抱える。所謂、お姫様抱っこってやつだ。

それにしても随分と変わった悲鳴だな…


「ちょ、暴れるな!お前からやれって言ったんだろ!?」


目をきつく閉じ手足をばたつかせる。


俺も彼女も慣れない経験なのか慌てふためく。なんか、もう少しロマンチストな行為なのかと思っていた……


「すすすすすみませんっ、初めてだったんで」


「い、いや、いいけど。ほら、降りるぞ!」


俺は緊張と焦りを誤魔化すために大声でそう言う。

人が来ないうちに降りないと色々とまずそうだ。


「うきゅ……」


どこか諦めたような声を漏らした。

安心しろ、必ず地上まで届けてやる。

俺は屋根の上から飛び降りた。体を襲う浮遊感、頬を優しく撫でる風、うん、悪くない。


衝撃をうまく殺しつつ着地する。

勿論少女への配慮も忘れていないつもりだ。


「っと」


こつん、と軽い音が鳴った。そう、地面へと着地したのだ。


「ふぅう……」


少女は俺から降りるなりへたりこんでしまった。余程高所にいた事が堪えたのだろう。飛行魔術は高所恐怖症が使っちゃならんな。


「ほら、大丈夫か?」


「は、はい!ありがとうございます!」


少女はびくつきながらもお礼を言う。

しかし、足取りは未だにふらふらと覚束無い。


「それで、もしかしてバラスト学院の生徒か?」


俺はそんな少女へと問いかける。

学院に対する情報が不足しているのだ。場所こそわかれどルールや常識についてはかけているかもしれない。


「はい、王立バラスト学院二年のスノウ=ロザリテです!」


先程までの覚束無い様子は見る影もなく、びしりと挨拶を決めた。

因みに少しドヤ顔気味だった。


「それじゃあ、案内している間に色々と教えてもらえないだろうか?」


「全然大丈夫です!えと……」


少女もといスノウは戸惑う。俺は彼女が何に迷っているのか分からず暫く、と言っても数秒間だが思案した。

……ああ、名前か


「エリックだ。エルとでも呼んでくれ」


「じゃあ、エルさん。僕の案内と護衛をよろしくお願いします!」


へ?






「ふ〜ん、ふ〜ん♪、ふふ〜ん♪」


これは一体どういう状況だろうか。

スノウは鼻歌を歌いスキップしながら鬱蒼とした森の中を平然とした様子で歩いていた。


ズシャっ


まただ、木の上から猿の魔物が襲ってきた。

動きは単調だし体は柔らかいしでそこまで手間のかかる奴では無いが、無駄に速いでスノウの方に行かれたら困る。

彼女曰く自身の戦闘能力は一のこと……


俺は一足で落ちてきた猿へ肉薄し、躊躇いなく斬り捨てた。肩から袈裟斬りにされ二つに裂けた猿野郎は断末魔すら残さずにただのものへと存在を落とした。


「エルさんのお陰でこんな森でも安心安全ですよ〜。」


まあ、そこまで強い魔物はいないからそれなりに経験を積んだ冒険者なら苦戦すらしないでここは乗り越えられるだろう。


意気揚々としながら道もわからないくせして先を歩くスノウの後を俺は口元に苦笑を浮かべ、げんなりしながら追っていくのだった。


……それにしても、どうやってアリステインまで辿りついたのだろうか。

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