No.29
-2023年2月-
2月15日。
猟期の終了の日である。
正確には、イノシシと鹿だけ1ヵ月延長され3月15日までである。
しかし、銃を持たない俺がイノシシや鹿を罠で獲っても、安全に止め刺しする術がない。
なので、今年も俺は今日までとする。
「さ、仕掛けた罠の回収に行くか」
夜、俺は車に乗り、走り出す。
まずは、一番遠くに仕掛けた箱罠を回収する。
アライグマを狙って仕掛けたのだが、結局今年もかかることはなかった。
「場所か?
いや目撃情報があったからにはいるはずだ。
いったいなぜに獲れなかった???」
俺はアライグマを今年も撮れなかった悔しさをしり目に、箱罠を片付け跡をきれいにしてその場を去る。
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「ここはテン以外ではタヌキを目撃してたが、結局タヌキ獲れずじまいだったな。くそぅ」
テンを獲った場所に引き続き仕掛けていた。
あれから1ヵ月以上経ったころに撒き餌を持っていくタヌキを目撃していたのだ。
だがそこで警戒したのか、タヌキは結局今日まで入らなかった。
そこの箱罠を撤収した後、その上の場所に行く。
「ここもタヌキが1頭かかっただけで終わったな」
次に来たのは、タヌキを1月の終わりに獲った場所だ。
タヌキがいれば何か通るだろうと思い、ずっと仕掛けていた。
しかしその後撒き餌を盗られるだけで中に何も入ることはなかった。
昼間に見回りしたときに、カラスが上空の木に何羽も止まっていたから、そこで察した。
「ここもダメだったかぁ」
手早く箱罠を回収し、次の場所へと向かう。
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「ここはヌートリアの姿を確認したが、結局目撃した個体はかからなかった。
悔しいのう悔しいのう」
俺は最後の箱罠ポイントの野池に着き、箱罠を引き上げて中を確認した。
ここは、猟期中に真夜中に別の場所に仕掛けた箱罠の見回り中に偶然ヌートリアがいたのを目撃した場所だ。
ヌートリアがいることを知らなかった俺は、ヌートリアがいたのを確認してすぐ箱罠を設置した。
しかしここにいたヌートリアの警戒心がヌートリアと思えないほど異常に高く、結局撒き餌すらほとんど盗られることなくジ・エンドとなった。
「いずれこの雪辱は絶対晴らす」
俺は決意を新たに、箱罠を持ち帰る。
仕掛けていた箱罠を全て回収し、家に帰る。
猟期の終わりに合わせて箱罠を日に1台ずつ事前に回収していたため、今日回収した箱罠は数台だ。
車に載せた箱罠と狩猟道具を全部降ろし、倉庫に詰め込む。
「さて、庭に仕掛けた箱罠も片付けよう」
俺は車の中を空にして倉庫に入れた後、庭に仕掛けていた箱罠の片づけを始める。
箱罠の片づけを終え、俺は倉庫に入れて箱罠の数を数える。
「よし、壊れた箱罠以外全部あるな。道具もなくなってない」
俺は箱罠を全部回収したことを確認し、道具の種類と数も確認する。
全部問題ないことを確認し、倉庫の扉を閉じる。
ちなみに、箱罠が今期買ったものが1台使用不能になり、処分をした。
どこかで箱罠を買い足すつもりではある。
「はあ。今期も終わりか。
でも、今期はヌートリアが大量に獲れたからな。
満足は満足だ。狩猟を始めた本来の目的を遂行できた。
また復活したときは、今以上の物量作戦で獲りまくるぞ」
俺は倉庫の鍵をかけたあと、部屋に戻る。
翌日、俺は県庁へ狩猟者登録証を返納し、今年の猟期は終わりを迎えた。




