番外編 コミックマーケット初参加
C101で初めてサークル参加したときの話です。
-2022年12月-
年末まであと4日。
「よし、荷物は全部あるな。それじゃあ行こうか」
深夜4時前。
俺はある目的で東京へと向かうため、車に乗り込む。
「ETCカードを差して、出発」
俺は車をインターチェンジ方向へと走らせる。
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岡谷、碓氷峠鉄道文化むら、某走り屋漫画の聖地を経由し、高崎へ到着する。
「1日目は何事もなく来れたな。明日に備えて早めに寝よう」
車でホテルに到着した俺は、荷物を部屋に入れた後、明日の準備をしてすぐに床に就く。
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翌日。
「いらっしゃいませ」
俺は、車である店に来ていた。
「トレーラーの引き取りにきた山田です」
「あぁ、山田さんですね。こちらにどうぞ」
店に入ってすぐ、席を案内され、座る。
諸々手続きを終え、車が工場へと回される。
そこでお店の店長と雑談をしながら、ヒッチメンバーの取り付けを見学する。
ヒッチメンバーの取り付けが終わり、トレーラーの説明を受けたあと、購入したトレーラーを車の後ろに連結する。
「ありがとうございました」
俺はお店の人に挨拶をして、お店を出る。
「さ、牽引免許取って初めてのトレーラーの運転。
鈍ってなければいいが」
ちなみに牽引しているトレーラーは、牽引免許不要のタイプだ。
このトレーラーを買った理由は一部狩猟が関係している。
今の車に乗って狩猟に使ってみて、幾度も思ったことがある。
積める箱罠が少ない、と。
その解決手法を模索した結果、ひとつの解決方法として導入してみることにしたのだ。
もっとも、最大の理由は別にあるのだが。
「使うことあるかというとそうでもないと思うが、あるに越したことはないだろう」
俺は少し考えつつ、トレーラーを引っ張っていく。
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途中のコンビニでトレーラーバックが下手になってたのにヘコみつつ、東京のホテルに到着する。
「すみません、今日からでホテル予約してる山田ですが」
「はい、少々お待ちください」
受付の人に言って手続きをする。
「えっと、今日は2台、トレーラーでお越しとのことですが」
「ああ、はい、あんな感じで」
防犯カメラのモニタにちょうど写った俺の車とその後ろに繋がれたトレーラーを指さす。
「あ……はぁ。ご案内します」
恐らくあまり理解してない感じでそう言って、駐車場所を案内するために外に受付の人が出る。
俺も一緒に行き、その場でトレーラーを切り離して別々に駐車スペースに入れる。
「必要な時はお声がけください」
「あ、はい」
駐車スペースに2台入れた後、通常のチェックインをして、部屋に入る。
「ふふ、明日は前哨戦。明後日が本番。あー楽しみだなー」
俺は手元にあるチケットを見ながら笑う。
そう、俺が東京まで来た目的、それはコミックマーケットへの参加だ。
それも、今回参加するC101では1日目は一般参加、2日目にサークル参加だ。
8月のC100を一般参加で体験し、このエッセイを本にして出そうと思いついた。
まーどうせ抽選落ちるだろう、そう思ってC100参加直後にサークル参加の申し込みをした。
しかし予想は大外れし、2日目に枠が割り当てられたのだ。
俺は驚いて、大急ぎでこのエッセイを紙本用に改稿し、狩猟免許取得から最初の狩猟シーズンまでを紙本化した。
大急ぎで作ったため、とりあえずイラスト用の紙や装丁で発注したら、文字しかない本なのに結構な製作費がかかった。
「10部くらい作ったけど、まーこういう文字ばかりの本は特にコミケだとウケ悪いからなぁ。
1部売れたらいいとこでしょ」
俺はチケットの隣にある、人生初の同人誌である本エッセイの書籍版を見つつ、ホテルの部屋でぽつりつぶやく。
「さ、明日は午前からといえど、割と早めに行っとかないといけないからな、寝よう」
俺は明日の用意をそこそこに、俺はベッドに入る。
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年末。
2022年最後の日。
「チケットよし、商品よし、あれやこれや、ヨシ!」
C101の1日目を楽しんでいよいよ本番の2日目。
「忘れ物確認ヨシ!それじゃあチェックアウトするかね」
俺は荷物全部持ったことを確認し、部屋を出る。
受付の人に駐車場を操作してもらい、車を出す。
トレーラーを連結し、トレーラーに荷物を乗せ、駐車場へと向かう。
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思わぬトラブルが起きたが、なんとか車とトレーラーをコインパーキングに置いて、りんかい線で東京ビッグサイトまで行く。
東京ビッグサイト最寄り駅に到着後、サークル参加の案内表示に従い、サークル参加受付に行き、受付する。
自身の出店スペースに到着後、すぐに出店準備にとりかかる。
しかし、最低限で来たこともあって、10分足らずで準備が完了してしまった。
仕方ないので、食事を摂ったりしていると、左隣のサークルのメンバーの人が来る。
「こんにちはー」
「こんにちはー」
お互いにアイサツをする。
アイサツをされたら、返さねばならない。
古事記にも書かれている。
「○○です、よろしくお願いします」
「山田です。よろしくお願いします」
左隣のサークルの方々に挨拶をする。
その方と話してるうち、右隣のサークルの方がわたしの隣に来る。
「おはようございます。よろしくお願いします」
「ああはい、よろしくお願いします」
互いにアイサツを終る。
俺は右隣りのサークルの主の人に訊きたいことがあったため、主の人が準備を終えてすぐ尋ねる。
「狩猟なさるんですね?
何をメインで獲ってるんですか?」
「メインは鹿ですね」
「へー鹿!獲り方は何ですか?」
「銃で」
「えー羨ましいッス」
隣のひとと狩猟の話で盛り上がる。
どこでやってるのか、どんなスタイルなのか、どんな獲物を獲ったのか。
そんな話をしていると、アナウンスが流れる。
「これより、コミックマーケット10を開催します」
出店者の拍手とともに、コミックマーケットが始まった。
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「うーんやっぱり難しいよね~」
開場から1時間、予想通り誰も来ない。
なにせジャンルがジャンルだしな、そう思いながら立ち続ける。
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昼過ぎ。
結局午前中は1冊も売れず、昼になる。
すると、一人の参加者が俺がいるブースの前に来る。
本をちらっと見た後、その人が言う。
「1冊ください」
「は、はい、ありがとうございます」
人生で初めて作った同人誌の人生最初の購入者が現れた。
そのことに感嘆しつつ、対応する。
そのひとが俺の同人誌を手に去って行って少しして、俺のブースにまた参加者が現れる。
「狩猟やってるんすか?」
「あ、そうです」
参加者の方から話しかけられたので、対応する。
すると、俺がブースに掲げた張り紙を見て反応する。
「理解がない人は来るな、まぁそうなるわね!」
「ですね。ただですら、割と一部から反感を買う行為ですのでね」
参加者から欲しい反応をもらった俺は、内心うれしくなる。
「また機会があったら買うわ~」
「はい、よろしくお願いします」
少し話をして、参加者の方が去っていく。
その後、15時半までブースを開いたが、最終的に3冊お買い上げいただいた。
後々のことがあるため、早めにブースを畳んだ。
「さて、帰りますか」
ブースを畳んだ俺は、足早に東京ビッグサイトを去る。
その後、トレーラーと車を回収して、予約してたホテルに向かう。
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翌日。
「さて、帰るか」
俺はホテルをチェックアウトし、駐車場に停めていた車とトレーラーを連結する。
給油した後、深夜割引が適用されるギリギリの時間にETCゲートを通過する。
「ゆめゆめ事故らないように、休み休み走ろう」
後ろのトレーラーの動きを気にしつつ、家を目指す。
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「着いたあ」
左バックで家の駐車場にトレーラーを入れ終わった俺は、トレーラーを切り離して車を停めた後、安堵する。
「しかし、あの夢のような空間がもう終わってしまったんだって痛感するな」
車から荷物を降ろつつ思う。
あの人だかり、参加者の情熱、雰囲気。
どれも、コミックマーケットでなければ味わうことができないものばかりだった。
「また出たい、強く思わせる魅力が、あのイベントにはある。
次も出たいな」
荷物を全部家の中に運びこんだ後、俺は強く思った。
て思ってたのですが、事情が変わっておいそれと参加できない状況になりました。
C102はどうしても無理になったため、C103は参加したいと思ってますが、どうなるかはわかりません。




