No.20
アラホールは使っていいのか、ダメなのか。
それが問題だ。
というテーマの回です。
-2022年10月-
今年始まっていきなり会社都合で遠距離に飛ばされた俺だったが、強引な手を使ってなんとか戻ってくることができた。
ただし、高い代償を払う羽目になったが。
それでも戻らなければならない理由が、俺にはあったのだ。
「よし、県庁に行ってくるか」
俺は狩猟者登録証の申請をするため、車の鍵を手に取る。
「ん、忘れてた。これ持っていかないといけないんだった」
その瞬間、俺は忘れ物を思い出し、忘れ物を探してカバンに入れる。
それから、家を出て車に乗り込む。
そしてしばらく車を走らせ、県庁に着く。
「すみません、狩猟者登録証の申請に来たのですが」
もはや毎年恒例行事である。
しかし、来てすぐ、俺は気づいた。
狩猟者登録証の担当者が変わっていることに。
しかし、俺はあえてそこには触れずにいつも通り手続きをする。
手続きを終わった後、狩猟者登録証の申請の対応をしてもらった人に質問をする。
「ありがとうございます。
あ、質問をひとつよろしいでしょうか?」
「はい、どうぞ」
「この猟具の使用について、アウトかセーフか判定してください」
俺はカバンから、ある猟具を取り出す。
それは、アラホールである。
県庁に出かける前にあやうく忘れかけていたのはこれだ。
1ヵ月くらい前にその存在を知り、対アライグマ用として試しに買ってみた。
しかし後々調べてみると、都道府県判断でストッパーがない場合は違法罠と判断されるという情報を手に入れた。
なので、俺が今住んでいる県での使用はどうなのかと思って今回ついでに持ってきたのだ。
「ん?あー、えっとちょっと待ってください」
担当者が別の人間を呼びに行く。
そして担当者が呼んできた人が即座に答える。
「あーストッパーある?」
「ないです」
「アウトですね」
あーアウトかー。
俺は正直そう思った。
OKだったら、小型軽量で捕獲率や強度もアメリカで実証済みだから戦力化できると思っていたのだが。
「これ、イタチ捕獲機みたいややつやな」
「あー、言われてみればそうですね。
これ、くくり罠の一種だとわたしは思うのですが」
「いいや、これはただの罠だな」
「?」
「だってこんなものが存在することを法律が想定してないもん。
恐らく最近出てきたでしょ?これ」
「そうですね。アメリカでは昔から対アライグマ捕獲専用で使われてますが、日本では最近になって
一部の業者が販売を始めて注目されるようになったやつですね」
「なるほどねぇ。
しかし、こうも色々なものが入ってきたら、法規制とかどうするって議論にいずれなるだろうね」
そんなことを、担当者とその人とで少し話をした。
話を終えてすぐ、俺は県庁から自宅へと戻る。
「くそぅ。
なら、これを基にしたくくり罠を設計するしかないってことか。
もしくはイタチ捕獲機の改良型で作るかだな」
俺はアラホールのようにアライグマの前脚を狙ってくくるくくり罠を作るため、まずはポンチ絵を描き始める。
そしてその日は、ポンチ絵を描くので日が暮れた。




