No.14
-2021年12月-
猫の連続錯誤捕獲から幾日か経った
「今日もかかってないっ」
深夜、池に仕掛けていた箱罠を見てひとり呟く。
箱罠の周囲に置いた撒餌すら食べられてないあたり仕掛けた場所が悪いようである。
しかしなぁ、ここの陸地に巣穴らしき穴があからさまにあるんだよなぁ。
でもかからないということはこの穴は違うのか……?なら一体どこに巣穴が?
俺は別の場所に巣穴があるか調べてみようと思い、池の周囲を再度よく調べる。
すると、同じ池の中にある崖に接する仕掛けているところとは別の狭い陸地にヌートリアの姿を見る。
「んん?あんなところにヌートリアがいるの初めて見たぞ」
俺はそれを見てその陸地があるほうに行く。
陸地に近づくにつれそこにいたヌートリアが俺の姿を見て逃げていく。
ヌートリアがいた陸地をライトで照らしてみる。
すると陸地の近くに大穴が開いてるのを発見する。
「あの穴、ヌートリアの巣穴か」
俺は穴を見てそう考えた。
俺は大穴の近くに箱罠を仕掛けてみようと思いもともと仕掛けていた箱罠を回収する。
回収後、陸地まで箱罠を持っていき、設置する。
そして箱罠の周囲に撒き餌を撒く。
トリガにつながるフックについた餌はまだ使えそうなのでそのままにする。
「設置完了。む、ヌートリアがあんなところを泳いでる。今日はもう獲れないな」
俺は設置後すぐその場を離れ、車に戻る。
今度こそかかったらいいな、そう思いながら次の箱罠を仕掛けた現場に向かう。
+++++++++
箱罠を設置しなおして数日後の夜。
結局あの後もしばらくスカだったため、今日もいないんだろうなと思いつつ池に見回りに来た。
箱罠に近づくと、箱罠の様子がなにかおかしいことに気が付く。
「んん?」
月夜に照らされて見えている箱罠に向けて探照灯の光を照らすと、扉が閉まっている。
まさか、と思い急いで箱罠がある方向に光を照らしながら向かう。
しかし、箱罠の中に何も入っていなかった。
「ど、どうなってやがる」
俺は箱罠に近寄り確認してみる。
見ると、扉がロックがかからない中途半端に閉まっており脱出しようと思えばできるようになっていた。
どうして中途半端にしか扉が閉まらなかったのか。
箱罠の周りを照らしてみると、扉と本体の間に木が引っかかっている。
そのせいで扉が閉まりきらず、逃げられるくらいにスキが開いていたのだ。
「まさか物が引っかかって閉まらなくなるとは、くそぅ!」
俺はすぐさま陸地に行き箱罠をセットしなおす。
周囲に箱罠の作動を妨害するようなものがない状態を作った後撒き餌を撒きその場を後にする。
「にしてもなんであんなところに木が?
設置したときにはなかった気がするんだが。
水位が増えてたから流木が流れ着いたのか?」
俺は周囲の状況を分析しながら車に戻る。
しかしいくら考えても罠の周囲の状況に釈然としないまま車に乗り込む。
そのまま疑問が解決しないまま家に帰った。




