No.13
※今回の内容は割とグレーな話をしています。
内容を理解できない人は読まないでください。
-2021年11月-
箱罠スカ事件から数日が経った。
あれからはどこに仕掛けた箱罠にも獲物はかからず。
今日は仕事で色々ありすぎて病んだため、休みということで昼に起きて家でダラダラと動画を見る。
すると、突然箱罠が作動する音が聞こえる。
「んあ!?」
俺は突然のことに驚く。
しかしすぐ見に行かないと思い直し玄関を出る。
そして作動した箱罠を設置しているところに行き箱罠を見る。
するとそこにいたのは、
「にゃー」
猫だった。
しかも首輪がないから明らかに野良のほうだ。
一応山で自活している猫は「ノネコ」として狩猟鳥獣として扱われる。
しかし実際のところ人間の生活圏にいる「ノラネコ」との区別が生きている状態では不可能なことから狩猟で狙う人間は事実上いない。
仮にノネコと判断し食肉処理した猫がノラネコやイエネコだった場合、動物愛護法違反で刑事的に処罰されるうえに民事訴訟で損害賠償責任が生じるからそりゃそうだろう。
で、かかった猫についてはノラネコと判断しつつイエネコの可能性も否めないため、速やかに扉を開け放逐する。
「ついに狩猟生活最初の戦果かと思ったが、言わざるを得ない。ちくしょーめぇ!」
俺は放逐後、家の中に入り新たな餌を用意する。
今度はブルーギルを使用する。
明言していなかったが、家に仕掛けている箱罠で狙っているのは以下の四種だ。
ニホンイタチ(オス)←メスは非狩猟鳥獣と法律ではっきり決められている
チョウセンイタチ
テン
アライグマ
ただ、これら四種がいるかどうかは不明だ。
調べる限り、アライグマは近くで目撃されたという市公式の記録があるため、恐らく家の近くにもいるのではないかと踏んでいる。
他の三種は本当にいるかわからない。
やってみるしかないのが現状だ。
冷凍庫から取り出したブルーギルを解凍し、箱罠に仕掛けて周辺に撒く。
「……また猫がかかる気がするな」
俺は仕掛け終わった後ふとそんなことを思う。
しかし魚をエサにしたからといって猫しかかからないとは限らない。
そう言い聞かせ俺は箱罠を後にした。
+++++++++++++++
数日後の深夜。
仕掛けた箱罠の様子を見に沼へ来た。
箱罠を仕掛けていた場所に行くと、そこから俺が仕掛けた箱罠が消えていた。
「ちっ盗まれたか」
周囲にないか一応確かめてみるがない。
諦めて引き返す途中、なんか見たことある陰が見え、その方向を向く。
するとそこには俺が仕掛けていた箱罠があった。
誰がこんなところに、と思いながら近づく。
箱罠に近づくにつれ、中になにかいるらしい影が見えてくる。
目の前まで来てライトで照らして判明した、その影の正体は
「にゃー」
猫だった。
即座に箱罠の扉を開け逃がす。
「まさかここでも猫がかかるとは、ちくせう」
ちなみにここに仕掛けていた罠は踏板式で、最初ザリガニを餌に使っていた。
しかし罠が発動せずに全部食べられたので人参に変更してインシュロックでくくっていた。
周囲に撒いた撒き餌は白菜。
なのに猫がかかった。解せぬ。
俺は猫を逃がした後、仕掛けていた位置に戻して持ってきていた新しい餌を箱罠に入れ、周囲にも餌を撒いてその場を後にする。
別の池に仕掛けた箱罠には何もかかっていなかった。
結局その日は猫の錯誤捕獲だけで何も獲れなかった。
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更に数日たったあの日。
仕事を終え、家に帰ると庭に仕掛けておいた箱罠の扉が閉まっているのがヘッドライトに照らされ見える。
「お」
そう思った瞬間、次にヘッドライトに照らされた箱罠の中身が見えたとき俺は落胆した。
箱罠の中に猫がいるのが見えたからだ。
俺は車を降りてすぐ箱罠の扉を開け、猫を放逐する。
そして再び餌を用意して仕掛けなおす。
「もうダメかもしれん」
俺は仕掛けながら直感的にそう思った。
箱罠を買い、食性を調べ、習性を研究し、仕掛ける場所を考えて仕掛けても全く獲れない。
狩猟期間が始まって15日ほどしかたってないがすでにそんな気しかしない。
すでに気持ちが萎えてきながら車を後にする。
そして車に狩猟道具を積み込み見回りに出る。
「33-4」
仕掛けた箱罠すべての見回りを終わった後つぶやく。
今日も今日とてほかの場所に仕掛けた箱罠に何もかかっていなかったからだ。
……イノシシなんて一生かかっても獲れないかもな。
そう思い家の中へ入っていった。




