表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/45

No.12

-2021年11月-




狩猟解禁日当日。



「忘れてた……」



俺は大事なことを失念していた。

今日は普段行ってるところと違う事業所に出勤しなければならないことに!


だがしかし、さすがに狩猟免許を取って何も獲れないまま更新してしまった以上、これ以上ボウズ記録を伸ばせない。

獲れない猟師の汚名を返上をしなければ。挽回ではない。



「だが、私を物理的に拘束できても心までは拘束できない!

超スピードで仕事を終わらせてやる!!」



事業所の片隅で、俺はさけぶ。

というかどこぞの小説で女騎士あたりが行ってそうなセリフを吐きつつ宣言通り俺は超スピードで仕事を終わらせ、定時ダッシュを決めて家に帰る。



まずは一番小さい箱罠を用意する。釣り餌式のものだ。

餌にはブラックバスを使う。

まぁその餌で獲れない可能性もなくはないがそこは実験と割り切る。

釣り餌式の箱罠の後ろを開けて扉を閉める仕掛けを動作させるトリガにつながるフックにブラックバスを刺す。

後ろを元通りにした後扉を開けてトリガをセットする。

そして脚立を箱罠持ちながら登って、屋根の平坦な場所にかかった後落ちないように工夫をした後、箱罠をセットする。

周囲に撒き餌としてブラックバスを数匹撒いた後、箱の中にも2匹ブラックバスをいれて設置を完了する。


上記と同じ手順で今度は自宅の庭にもアライグマ捕獲用の一番大きい箱罠を仕掛ける。


そして残りの箱罠を車に積み込み、釣りしてるときに目星をつけていた、ヌートリアが生息しているのを確認している沼と池に箱罠を仕掛ける。

手順は1つは先ほどと同じように仕掛ける。

もう一つが踏板式で、他の箱罠と仕掛け方が違う。


踏板式は、入り口と反対側に餌を置く場所があり、そこに餌を置く。

そして入り口を閉じた後に踏板を踏板横から出ているロッドを介して持ち上げる。

ロッドにつながっているトリガを、開いた扉に引っ掛ける。


トリガがちょっとした衝撃でも外れ、罠が発動してしまうために設置に非常に苦労した。



「なんとか全部仕掛け終わった。かかるといいが」



そう思いながら俺は車で現地を後にする。

その後家に帰ってすぐに眠りにつく。




+++++++++++++++++++++


それから数日たったある日。

仕事が終わってすぐ箱罠を見回るもかかっておらず、しょぼくれたまま帰宅する。



「まぁ何もかかってないだろうなー」



何も期待せずに俺は屋根に仕掛けた箱罠を見てみる。

見ると、トリガが発動した跡があり、扉が閉まっている。



「!?」



俺は急いで箱罠に駆け、寄ろうとしたが違和感に気づき立ち止まる。



「……いない?」



箱罠に何かかかったのであれば少なからずかかった動物が暴れて音がするはずだ。

なのに音が箱罠から聞こえてこない。

それにそもそも獲物の影が見えない。

違和感の正体はこれか。

ということは、この箱罠はスカか。


俺は箱罠がスカであることを確かめるため、脚立を使って屋根に上って箱罠に近づく。



「ちくしょーめぇ!」



俺は思わず叫ん、ではいない。

予想した通り、結果はスカだった。

しかし倒れているわけでもなく扉のロックはしっかりとかかっているにも関わらずスカ。

俺の中でどうして逃げられたのか、という謎が深まっていく。


箱罠は屋根から落ちないように固定してある。

それも転倒したりもしないように。

でいて、トリガ発動はかなりギリギリで落ちないレベルにしてあってちょっとでもトリガが動けば扉が閉まるようになっている。

にも拘わらずなぜかスカ。


獲物がダッシュしても到底トリガ発動から扉が閉まってロックがかかるまでには間に合わないハズ。

とすると箱罠のマス目から抜けるくらいに小さい生き物が食らいついたか?

いくら考えても答えは出ない。

トレイルカメラをいずれ購入して設置しよう。

俺はそう思って考えるのをやめた。


俺は再度ブラックバスを用意し以前と同じように箱罠を仕掛ける。



「二度とかからないだろうが、万が一の確率に賭けてみよう」



俺は仕掛け終わった後に屋根から降りた後地上に仕掛けた箱罠の様子を見た後、いつもの通りの時間を過ごした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ