No.11
-2021年11月-
狩猟解禁日前日。
狩猟者登録の手続きを終え、登録証の受け取りも終わった後。
「うん、無理だ」
俺はそう結論付けため息をつく。
俺は狩猟免許を取ってからずっと考えていた、箱罠を100均材料で作るという構想をついに放棄することにした。
なぜかと言うと、工程や組み立てに必要な工具を考えるとコストが市販品よりどうしても安くならないという結論が出たからだ。
「大人しく市販品を買うか。近くのホームセンターに売ってるし」
俺は今まで座っていた椅子から立ち上がり、財布とスマホをポケットに入れた後車の鍵をもって家を出る。
車を運転すること30分。
俺は近くのホームセンター、ではなく少し遠くにある同じ系列のホームセンターに着く。
近くのホームセンターにもあるにはあるのだが、欲しい大きさの箱罠がそこに売っていなかったのだ。
なので同じ系列の別の店ならあるんじゃないかと踏んでここに来たのである。
俺は車を降りて店内へと入る。
置いてある場所に目星はついているのでそこに向かうと、自分が求めていたサイズの箱罠が売ってあった。
ビンゴ、思った通りだ。
俺はすぐさま店の外へ出て台車を探して推してきた後、箱罠を台車に乗せる。
他のサイズの箱罠も同時に、合計4つ台車に乗せてレジへ進む。
「合計で3万円です」
俺は魔法のカードを使って支払いを終え、箱罠の入った台車を押して自分の車へと向かう。
手痛い出費だが致し方ない。
もうなりふり構っていられないのだ。
「お?」
箱罠を車に積み込もうとした瞬間、気づいてしまった。
車の荷室の全長より一番大きい箱罠のほうが長いことに。
俺はしばらくどう積むか悩む。
「ああ、横に積めばいいじゃんバカなの俺」
俺は積み方を変えればいいことにやっと気づき箱罠を積み込む。
「しかし、車に積める数は今回買った4つくらいが限界か」
箱罠を積み込んだ後、そんなことを思いながらリアハッチを閉める。
そのまま車を運転して自宅へと帰る。
「さて、箱罠買ったら次は標識作らないと」
家に帰って定位置に着いた俺は、あらかじめ買っておいた下敷きを取り出す。
記載する必要がある事項を書いた後、金切りハサミで適当な大きさに切る。
それを繰り返すこと4回。
「完成~」
必要数標識が完成したので箱罠にインシュロックでくくりつける。
「餌は3か月かけて冷凍庫いっぱいに調達したし、これで準備は整った」
狩猟の準備を終え、俺はやることをやった後明日に向けて寝床についた。
実は一旦箱罠の自作は諦めたものの、いいアイデアが浮かんだので研究自体は続けています。
ただどうしても全部百均というわけにはいかなそうです。




