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おやじ妄想ファンタジー   作者: もふもふクッキー
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クラン活動の章Ⅳ

 ○ 修練 本物のクランへ


 ・ 個人トレーニング


 皆で自分達の課題を話し合ってから2週間が経った。

 俺たちはまず、リナの回復を待った。

 その後暫くはクラン活動は行わず、個人全体のトレーニングに集中することとした。


 費用のことを考え、宿のランクも下げた。

 今回の事故の責任を感じていたマザーは、俺たちへの指導の傍らで、天部でのアルバイトを始めたという。

 トレーニング中の生活面は自分が支える。

 俺たちが何度拒否してもここだけは譲らなかった。トレーニングの考案と生活面での援助。

 マザーには頭が下がる思いだ。


 仲間を危険に晒してしまった。

 その原因を究明したいという思い。

 それぞれ自分に何が足りなかったのか。


 何よりも。

 皆がお互いを傷つけさせたくないという思いを共有していた。

 その事実が、俺たちのトレーニングへの姿勢をより真剣なものにしていた。


 ハアアアアーーー!!!


 バシバシバシバシ!!!

 リナはもの凄いスピードで赤いボールを弾き飛ばしている。

 動きのキレはここ数日更に向上している。

  

 !!!

 リナの目が一瞬動き何かを確認した。

 バシバシバシ! スッ…

 青いボールを発見し見事に避ける。

 リナは攻撃中にボール全体の位置を把握し、攻撃と回避のタイミングを見分ける術を身につけつつあるようだ。


 うりゃー!ラスト!!

 バシン!!!

 ボールを叩く大きな音が響く。


 リナさんお疲れ様です。

 今回の成績ですが

 赤いボールは200個中181個叩きました。

 青いボールは50個中41個回避です。

 青の残り9個のうち3個は弾いてしまいました。

 体に触れたボールは25個です。


 たった2週間で素晴らしい進歩です!

 特に最近の動きのキレには目を見張るものがあります。


 リナは肩で息をしながら汗を拭いて話す。


 まだまだだよ…。

 私のせいでみんなに迷惑かけてるからね。

 私が誰よりも強くなってみんなを守るんだ。

 悠兄やレイナそしてマザーも、本当に私を信用してくれてたんだ。

 あの時そう感じて本当に嬉しかったんだ。

 その思いに絶対に応えたい!

 私はもうどんな相手にも負けたくない!

 さあ、マザーもう一本いくよ!


 リナさん…。

 分かりました!

 次はボールのスピードを少しあげますよ!

 覚悟して下さい!


 誰に言ってんの?任せなさいよ!


 リナの気合いがトレーニングをしている俺たちにも伝わってくる。

 クランのムードメーカーでもあり、誰よりもあの日の責任を感じていたリナの姿勢は、俺たちへの大きな刺激になっていた。


 ところが


 バン!ザバーン!

 きゃあ!!

 水が一面に巻き散らされる。

 

 レイナのトレーニングは思うように進んではいなかった。

 トレーニング記録もほとんど伸びてきていない。


 あの日俺たちは、クランの共通理解としてレイナの安全を第一に考えていくことを決定した。

 その頃からレイナの様子は少しずつおかしくなっていたのだ。


 全体での連携確認時は、素晴らしい集中力を発揮している。

 しかし、個人トレーニングはどこか上の空という感じだ。

 さらに、レイナは自分の心具に附属している杖の柄の刃を、万が一の時を考え扱えるようにしたいと申し出ていた。

 

 やーー!!

 スカスカスカスカ…。

 ドンドン!

 ボールをほとんど空振り、レイナに直撃する。


 リナと同じトレーニングを自分のトレーニングにも取り入れ始めたのだが、やはりレイナに槍の才能は感じれない。

 恐らく心具として本来の使い方ではないのだと、火を見るより明らかであった。

 

 レイナ何を焦っているんだろう?(リナ)


 分かりません。(マザー)

 ですがあの日から一生懸命自分に出来ることを探しているようです。

 今はそれが悪い方に作用していますが、きっとレイナさんには何か思うところがあるのでしょう。

 全体練習では素晴らしい動きを見せていますし、暫くは様子を見ていきましょう。


 それでいいんじゃないか?(悠)

 俺たちはクランの為に自分を活かしたい。

 レイナも間違いなくそう思ってくれているんだ。

 それはあの日の様子からも明らかだし、レイナはそういうヤツだってのも間違いない。

 今はレイナが自分に必要だと考えていることをやればいい。

 俺たちはそれを信じて待つだけだよ。


 悠兄…。そうだよね。

 レイナを信じよう。(リナ)

 

 そうですね。(マザー)


 そうと決まれば次は俺のトレーニングだ!

 マザー。よろしく頼むよ!


 はい!ではいつも通りやらせていただきます!

 いきますよ!


 マザーが周りを囲うようにボールを投げてくる。 俺は次々と赤いボールを弾き、青いボールを避けていった。


 ここ数日のトレーニングで分かってきたことがある。

 俺の心具の有効範囲は0~20メートル程度。

 黙視であればほぼ全ての対象を弾き飛ばすことができる。

 しかし、有効範囲を越えると弾き飛ばす力が極端に低下し、重いものや威力の高い攻撃は弾き飛ばせなくなる。

 先にレイナを襲った兎を1羽しか飛ばせなかったのはこれが原因のようだ。


 また、背後のものでも認識していれば弾き飛ばすことが可能だ。

 この場合の範囲は0~7メートル程度であり、黙視の時より弾き飛ばせるものの重さや威力は小さい。弾き飛ばすよりもその場で止めて防ぐことを主目的に使用すべきと今は判断している。


 背後からのボールがそろそろ到達する。

 今範囲に到達するのは全部で38個。

 よし!今だ!

 俺は背後のボールを防ぐように強く願う。

 そして有効範囲にある前のボールを片付け、即座に後ろを向き、止めたボールを弾き飛ばしていく。


 バシバシバシ!

 くるん

 バシバシバシ!


 この形を繰り返すことで背後からボールの直撃を受けることはほとんどなくなった。


 はい!ラストです!

 マザーが赤と青のボールを重なるように投げ込む

 赤だけを飛ばす!

 バシ!赤が弾き飛ばされた。

 チッ…。テンテンテン。

 青いボールにも能力がかすり、ボールはその場に落ちて転がった。


 クソ!またダメか!

 俺は現在も重なったボールの処理には苦戦している。

 いつも必ず青いボールにも能力の影響がでる。

 これでは実戦で仲間が敵と重なった際に仲間にもダメージを与えてしまう。

 このままでは能力を使いこなしているとは言えないのだ。

 

 いやいや。(マザー)

 短時間で凄い進歩ですよ。

 今回のトレーニング結果ですが、

 赤いボールは150個の内138個防いでいます。

 青いボールは50個のうち42個避けています。

 体に当たったのは16個だけです。

 素晴らしい数字ですよ。

 次からはボールの数とスピードをあげますね。


 ああ、頼むよ!

 俺は自分のトレーニング結果にほっとしていた。

 俺が頑張れば二人は怪我をしないで済むんだ。

 その思いが俺を突き動かしていた。


 ・ クラン 隊列によるトレーニング


 個人トレーニングの後はクランとしての隊列を組んだトレーニングを行う。

 マザーの提案を受け、俺たちは基本的に3人が縦に並ぶ形の隊列を採用することとした。

 実際、この隊列はそれぞれの心具の適正を考えた

シンプルな物だった。

 しかし得意な形を1つ持っているだけで、実戦に対する自信は飛躍的に向上していた。 


 前衛のリナは敵の足止めと可能な限りの撃破。

 中盤の俺は二人へのフォローと防御担当。

 レイナは魔法による大規模攻撃と仲間の回復。

 そして俺とレイナは敵の配置確認と戦闘でのバランスを保つため、全体への指示を担う。


 この役割分担の中で、特にレイナの状況把握力と指示能力の高さに驚かされることとなった。


 では、トレーニングを始めます。(マザー)

 今日のトレーニング内容ですが、悠さんとリナさんは赤いボールを撃破。

 青いボールは避けて下さい。


 レイナさんは両方のボールを魔法で撃破。

 魔法が出現しないように魔力を合わせて下さい。

 ただし、大規模な魔力を練り、全てのボールを一気に破壊できる場合は、出力を合わせなくて結構です。全出力で魔法を放って下さい。

 この前話した通り、レイナさんの魔法出力時間を稼ぎ、止めを差して貰う戦法は、我がクランの得意パターンにしていきます。


 なお、どちらの色のボールもレイナさんに到達すると失敗です。

 またレイナさんのトドメの後にボールが残っても失敗とします。

 そうならぬ様に、各々の位置を確認。

 指示しながら戦って下さい。


 了解!/あいよ/はい!


 では始めます!

 バッ!!!

 前方から一気にボールが放たれる。


 リナは少しの間全体を見渡している。

 そして…。


 左側約78個が先に到達する模様!

 撃破に向かいます!

 バッ!

 報告と同時に一瞬でボールの方へと駆け出していく。

 リナは左側から迫る赤いボールを次々と叩き落としていく。


 左側の進行を阻止!次は中央に移ります!

 また一瞬で位置を変え、ボールの進行を食い止めていく。

 

 リナは前衛として、どっしりと構えて相手を引き付けるタイプではない。

 スピードを活かして撹乱することでバランスを崩していくタイプの様だ。

 そしてリナはその役割をこなすには十分な資質を持っていた。

   

 そして俺は。 


 まずはリナの死角から接近するボールを次々と弾き飛ばしていく。

 さらにリナとレイナがケアをしきれなかったボールが此方に到達する前に前方に押し返していく。

 何としてもレイナを死守しなければならないからだ。

 リナ!正面左のボールが増えてきてる!

 中央は俺が押さえるから一度左に戻ってくれ!


 了解!(リナ)

 右側青いボール多いからレイナよろしく!


 任せてください!(レイナ)

 パンパン!パン!パンパン!


 リナの報告を受け、レイナが次々と青いボールを破壊していく。

 個人トレーニングでは伸び悩んでいるが、全体のトレーニングでは物凄い集中力だ。


 悠兄さん!

 これからリナちゃんは左側を食い止めるのに精一杯になります!

 悠兄さんは中央と右を押さえてください!

 リナちゃんがボールに触れずに耐えられる時間はは約12秒!

 その時間が過ぎたら右は解放し、リナちゃんの離脱を確認して下さい!

 右が悠兄さんに到達するまで約2.5秒!  

 合計14.5秒の間に私は全ボールを消滅させる魔力を生成します!


 OK!(悠)

 リナ!俺は一度お前のフォローを外れて中央と右の進行を押さえる!

 お前は稼げるだけ時間を稼いだら直ぐにレイナの近くに撤退しろ!  

 残りはレイナが片付ける!


 了解!(リナ)

 スピードあげてくよ!

 バシバシバシバシバシバシバシバシバシ!!!

 リナのスピードが一気にあがる。

 まさにトップギアに入った感じだ。


 よし!リナはイケる!

 なら俺は。

 範囲は広いが押さえるだけなら!

 俺は集中し、両手を付きだしボール全体を押さえ込んだ。


 その時視界の端で  ババっ!!

 リナの離脱を確認。


 よし!俺も!

 心具の使用を停止し、レイナが魔法を放つためのスペースを開ける。

 いけ!レイナ!

 

 いきます!

 レイナは魔力の光に包まれ、準備万端な様子だ。


 ニードルティアーズ!


 レイナは魔法を放った。

 その瞬間水が空にまい。刃と化した。

 そして広範囲に渡り一気に降り注いだ。


 物凄い衝撃に一面土煙が舞う。

 土煙が晴れると、地面が抉れボールは一欠片も残っていなかった。


 成功?(リナ)

 みたいだな(悠)

 やりましたね!(レイナ)

 3人笑顔で顔を見合わせた。

 手を合わせお互いの健闘を称えあった。


 そこへ。


 いやいやいや。

 成功とかいうレベルじゃないです。

 完璧です。

 誰もボールに触れず全て破壊しています。

 たった2週間で信じられないですよ…。

 マザーがこちらに近づき話しかけてくる。


 まあ、俺たち凄いからね。(悠) 

 あ、それ私が言おうと思ってたのに!(リナ)

 二人とも本当に凄いです!(レイナ)   

 3人でまた笑い合う。

 しかしやはりこの会話には違和感を感じる。


 おいおいレイナ。

「二人とも」じゃなくて「俺たち」が凄いからね。

 特にレイナの魔法と指示は格段に凄いから。 

 指示なんてまるで予知のレベルだよ!

 オジサンいつもびっくりだよ!

 謙遜しなさんな!


 俺は冗談ぽくレイナに話しかける。

 この間から、何とかしてレイナの真意を知りたいと感じていたからだ。


 そんな…。私なんて…。

 安全な後ろで見てるから何となく分かるだけで。

 あと、将棋が好きだから。

 何となくこうなるかなって考え付くことがあるんです。

 二人なら少しやるだけで、私なんて直ぐに追い抜かれちゃいますよ。

  

 将棋やるとレイナみたいに相手の動きが読めるの!?私もやろうかな…。

 リナは手を口に当て本気で考えている様だ。


 リナも認めている通り、レイナには魔法以外にも状況や空間認識能力が抜群に高いという才能があった。

 

 これは隊列を組んでトレーニングをするようになってから判明したものだ。

 リナが囲まれた際、右回りに逃げた方が剣の捌きが早いこと。

 俺の能力が黙視と認識のみでは有効範囲が異なること。

 どちらもトレーニング中にレイナが気が付いたものだ。


 先ほどのトレーニングでもそうであったが、レイナが後衛で全体を把握し、指示を出す。

 するとほぼ間違いなく安全に戦いを切り抜けることが出来るのだ。   


 しかし、これだけの才能を持ちながら。

 レイナは頑なに自分の価値を認めようとしない。

 認められるのを怖がっているようにさえ見える。



 なあ、リナ。

 前から聞こうと思ってたんだが。

 レイナはなんで自分の能力に否定的なんだ?

 レイナが俺たちには真似の出来ない。

 凄い能力を持っているのは明かなのに。


 うーん。

 実際どうしてって言われても分かんないんだよね レイナは子供の頃から大人しくて、いつも私の後ろをついて歩いてたんだ。

 何かされるとすぐ泣いちゃって、よく男子にいじめられてたよ。

 まあ、いじめたヤツは私がブッ飛ばしたけど。


 そりゃあ…。そいつも災難だな。(悠)


 ただ、実際レイナは可愛いし頭もいい。

 実はスポーツもそれなりには出来るんだよ。

 だけどそれを絶対に人前で出そうとはしない。

 病的な程に自分を隠して生活していたのは間違いないよ。


 リナにも分からないのか。

 きっと本人に聞いても本心は分からないだろうな

 あの柄の部分が刃になっている杖。

 あれが何かのヒントなのかもしれないな。



 さて、皆さんトレーニングお疲れ様でした。

 マザーが休憩中の俺たちに声をかけた。


 これまでのトレーニング。

 何よりも、今日の隊列を維持しながらのトレーニングは物凄い進歩を感じさせるものでした。

 そこでどうでしょう?、 

 久しぶりにクランハウスで依頼を受けてみませんか?


 依頼!?やったー!

 やっと私のトレーニング成果を発揮する機会を得たわけだね! 腕がなるー!

 リナは久しぶりに実戦で戦えることを心から喜んでいるようだ。


 受ける依頼ですが、兎についてはもう今更大丈夫かと思いますので違うものにしようと思います。

 リナさんよろしいですか?

 マザーはリナがかつて口にしていた兎への恨みを覚えていたようだ。


 ああ大丈夫だよ。この間一人で山に行って30羽くらい生け捕りにしてきたから。

 あいつらは多分もう相手にならないね。


 はぁ!? いつだよそれ!?

 あ、ホントだ!

 端末の保有ルクス額が思わずにんまりするほどになってる!

 俺は全く知らなかったので思わず問い詰めた。


 3日くらい前かな?レイナと少し抜けて行きました。言うの忘れてた?ごめんごめん!

 

 お前あんなに兎への恨みを語ってたのに…。  

 それを聞いて俺も頑張ろうと思ったのに。

 オジサン置いて行くなんて酷くね?


 俺は仲間外れにされた疎外感から、リナに恨み節を言った。


 ごめんてば!

 いつまでも、あんなの気にしてたくなかったからさっさと片付けたかったんだよ!

 圧勝したから大丈夫だって!

 

 いい意味でも悪い意味でも前向きなヤツだな。

 ただ、リナの爽やかな笑顔にそれ以上何かを言う気にはなれなかった。 


 それはあまり誉められたものではないですね。

 マザーも若干あきれた様子である。


 しかし、何れにしても、もふもふ兎ではもはや皆さんのトレーニング相手として不十分でしょう。

 ですから次は新しい依頼。

 他のクランとのバトル依頼を受けたいと思います。


 ・ バトル依頼 山賊討伐


 俺たちはクランハウスに戻り依頼の確認をした。


 この依頼なんですが…。 

 マザーが依頼書を俺たちの目の前に差し出した。


 依頼内容

 最近ガイナル山付近に旅行者や冒険者を襲撃する山賊が出没している。

 是非安全な道中を確保するため、山賊を討伐してくれるクランを募集したい。


 申し込み要件

 クランバトル歴20戦以下であること。

 クランランクがD以下であること。


 報酬

 砂漠を越えるための馬車を与える。

 優秀とみなされたクランには特別な情報を与える


 よし!受けよう!

 リナが即決し受理手続きを行おうとする。


 ちょっと待て!

 内容に不審な点がないか確認しろ!

 俺はリナを制し依頼書を確認する。


 なんでさ!(リナ)

 悪いやつをやっつけたら馬車を貰えるんだよ!?

 これから移動に便利じゃん!

 馬車はゲームでは必須アイテムだよ!

 受けない理由がないよ!


 リナはただ馬車に乗りたいだけな気がしてならないな。

 それにやっぱり変だよこの依頼。

 俺は依頼書を見てみんなに告げる。


 そもそも討伐依頼なのに、なんでこれまでのバトル数を指定する必要があるんだよ?

 それにランクだって指定してる。

 それも低い方にだ。

 より高いクランが対応した方が、犯罪者を取り逃がす可能性が減るのに。 

 やっぱり依頼条件が気になるよ。


 確かに。私たちみたいな新参クランに敢えて頼む理由が分からないです。

 レイナも俺の話を聞き、依頼に疑問をもったようだ。


 お二人の疑問はもっともです。(マザー)

 ですが、それを差し引いてもこの依頼を受けてみる価値はあると私は考えています。


 それはどうしてだ?(悠)


 依頼人の欄を見てください。


 3人で依頼書を確認する。

 

 本件依頼人

 炎のクラン所属

 フレッド・バニスター

 

 …?

 炎のクラン所属!? 

 俺たちは驚きのあまり声をあげた。


 はい。

 フレッド・バニスターは炎のクランの中で、帝に代わり多くのクランを取りまとめている超大物です。

 何故このような依頼を彼が出したかは謎ですが、これを機会に炎の帝とネットワークを構築することが出来れば、クラン活動の幅を大きく広げられるでしょう。

 皆さんが求めている世界への帰還方法についても情報が得られるかもしれません。

 帝の側近と接触するチャンスはそうそうありません。

 いい結果を残し、これからの活動の足掛かりにしたいのです。


 …。そういうことなら。

 迷う理由はないよな!


 俺たち3人は顔を見合わせ受理証明書にサインを行う。

 今回の依頼を成功させ、炎の帝から情報を引き出す。

 俺達の当面の目標は定まったようだ。

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