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おやじ妄想ファンタジー   作者: もふもふクッキー
63/114

水の章 エクストララウンドⅡ

 ○ 触らぬ神にたたりなし


 (悠)

 いくぞみんな!

 俺たちの名をステラに轟かせるぞ!


 (ディープインパクト)

 お~!


 気合いの雄叫びをあげ、ディープインパクトの面々は闘技場に足を踏み入れる。

 暗い控え室から明るい屋外の闘技場へ。

 一瞬光で目が眩んだ彼らの目の前には、満員の観客席と、闘技場に立つエリアスの姿が写し出される。

 そして、彼らの登場により。

 闘技場は一瞬で盛り上がりを見せた。


 (実況) 

 さあ!出て参りました!

 もの凄い歓声がその人気を物語ります!

 いよいよ大会は3回戦!

 その最終試合!


 大声援のなか登場するのは!

 クラン!!ディ~~プ!!

        インパクト!!


 1回戦、2回戦共に好試合を演じ!

 結果は圧勝!


 その試合内容や、魅力溢れる構成メンバーにより、すっかり会場の人気者となりました!


 会場から自然と大歓声が沸き上がります!


 しかして、この人気クラン!

 これまでほとんど活動の実績もなく!

 本大会が開催されるまでは、全くの無名クランでありました!

 彼らの存在を知る人物など、ステラ中を探しても数える程度であったでしょう!


 しかし、蓋を開けてみると評価は一変!

 予選を勝ち上がり、選び抜かれたあらゆる難敵達を次々に撃破! 

 その圧倒的な実力を、我々に見せつけてくれました!

 どうでしょう!

 選手達の足取りも気合いに満ちている様に見えます!


 さて!先頭を歩きますは!

 クランの切り込み隊長!

 今大会負け知らず!

 持ち前の気の強さで無敗記録を伸ばすのか!


 光速の女剣士!

 リナ選手!

 彼女の剣捌きから目が離せません!

 

 続いての登場は、2回戦で初登場!

 その圧倒的な魔力で我々の度肝を抜いた!

 試合には負けてしまいましたが、そのポテンシャルは計り知れません!

 今日はどんな魔法で驚かせてくれるのか!

 

 癒し系魔法使い!

 レイナ選手!

 可愛らしい見た目とは裏腹な、圧倒的な魔法出力を今日も見せてくれることでしょう!


 そしてやって参りました!

 我々成人男性の憧れの存在!

 強さと美しさ!

 精霊は彼女に、我々を魅了する2つの才能を与えてくれました!

 抜群の魔力コントロールで相手を翻弄!

 心・技・体・美!

 全て揃った完璧超人!

 生まれてきてくれてありがとう!


 扇と舞う魅惑の踊り子!

 マリエ選手!

 今日もお美しい!

 彼女を見ただけでも、今日会場に足を運んだ価値はあります!


 以上!魅力的な女性クラン!

 ディープ!インパクト~~!

 …。

 あれ?なんだ?

 もう一人着いてきてるな…。

 セコンドか?


 あれ?おかしいな…。

 確か、資料には…。

 あ、そっかいたな~。

 ああ、確かに登録されてたんだ…。

 ヤバイヤバイ。

 全然気付かなかったよ…。


 え~。ゴホンゴホン。

 失礼しました。

 え~。それと~ですね~。

 

 最後に歩いている男性ですが…。

 やばいな~…。

 資料なんもないや…。

 特に思い入れもないしな~…。

 まあ、いいか。

 誰も興味ないだろ。


 え~…。確か…。

 1回戦・2回戦は~。

 確か相手を、よく分からない内に倒した?

 相手が倒れてくれた?

 あまり印象はないですが~。

 まあ、何故か知らないけど~。

 取り合えず確か勝ってたよね~。


 何かいっつも変な格好してる人。

 登録名はたしか~。

 ヤスシ選手?だっけか?


 まあ、なんでもいいや。

 誰も興味ないだろ。

 もいるみたいですね~。


 ああ、なんか前に倒れてたけど。

 今日は元気みたいだね~。

 よかったね~。


 はい。

 お疲れさまで~す。


 …。


 以上!今大会最大のダークホース!

 大会においても大人気クラン!

 ディープインパクトの登場だ~!!! 

 

 皆さん!

 今日もきっと素晴らしい試合を演じてくれるであろう、本クランの魅力的な女性選手達!


 我々観客一同!


 声が尽きるまで!

 力の限りに応援して参りましょう~!!!


 (観客)

 ウオ~!!!

 ディープインパクト~!!

 待ってたぞ~!!

 

 今日は最終戦で登場か~!!

 待たせやがって~!!

 楽しみで仕方なかったぞ~!


 マリエさま~!頑張って下さ~い!!

 リナちゃ~ん!今日も瞬殺だ~!

 レイナちゃ~ん!今日は倒れないでね~!

 ディープインパクト~!頑張って~!


 

 会場にディープインパクトへ向けた大歓声が響き渡った。

 最終試合ではあるが、観客席は満員。

 これまでの試合で、彼らには多くのファンが出来てしまった様だ。

 観客は帰ることなく、彼らの登場を今や遅しと待っていたのだ。

 


 (リナ)

 うわ~!凄い声援だね~!

 いつもよりお客さんも多いんじゃない!?

 気合いはいるな~!!

 相手が相手だけど…。

 やっぱり絶対に負けたくないね!


 てか、ホントに声援凄すぎ!

 大きい声で話さないと、会話にならないよ!


 

 リナは耳を塞ぎながら会場に手を降り、声援に応えた。



 (レイナ)

 私なんて、ここまで何もしてないのに~。

 こんなに応援して貰って嬉しいです~。

 私、やっぱり今日の試合頑張ります~。

 エリアスさん強そうですが、絶対に負けません!

 私たちを待っていてくれた皆の為にも頑張りましょ~!


 (マリエ)

 まあ、私が居るんだから。

 人気が出るのは当然よね。

 デビュー戦としては…。

 まあ、それなりの成果と言ってもいいかしら?

 あそこで偉そうに突っ立ってる女を倒して、水の大陸での人気を不動のものにしてやりましょう!


 

 女性陣に対する圧倒的な歓声は、まるで地鳴りの様に会場に響いていた。

 大歓声を一身に受け。

 彼女達は、より一層このバトルへの意気込みを強くしていった様だ。

 いいテンションで試合に挑める。

 誰もがそう考えていた。 


 そう。ただ一人を除いて…。


 

 (悠)

 あっれ~。おかしいぞ~?

 ねえねえ、何かおかしくね~?

 おかしかったよね~?


 なんか実況と歓声にさ~。

 随分と私情が挟まってる気がしなかった~?

 俺の耳が悪いのかな~?

 皆はなんか、気合い入り直ったみたいだしな~。


 つーか、俺紹介されてた~?

 なんか知らないヤスシさんは呼ばれてた気がするけどな~。

 それにあれはさ~。

 ヤスシさんの紹介じゃなくて、ヤスシさんへの悪口じゃなかった~? 


 一応プロなんだからさ~。

 興味ないとか、マイク入ってる時に言っていいのかな~?

 ヤスシさん可哀想じゃんか~。

 知らない人だけど、同情しちゃうな~。


 それにさ~…。

 変な格好とかさ~。


 いじるならちゃんといじってくれないとさ~。

 こっちもツッコメないじゃないですか~?


 なんかボソボソと悪口言われたらさ~。 

 ただの出オチみたいじゃないですか~。

 完全なボケ殺しじゃないですか~。


 ねえ~。皆もそう思わない?

 そう思うよね~?

 ねえ~。今ヤスシさんの話してるのにさ~。

 なんでどんどん早足になって、俺を置いて行こうとするの~?


 俺関係ないから離れないよ?

 一緒にいてもいたたまれなくないでしょ?

 まだ紹介されてないよね?


 どんなに恥ずかしくても。

 どんなに他人のふりをしても。

 どんなに扱いに困っても。


 俺皆から離れないからね?

 

 どこまでも追いかけていって、皆に笑顔で手を降って近づくからね。

 他人のふりをしても、ずっとまとわりつくからね?

 もう遅いからね?

 おじさんには、もう皆以外いないからね?

 ステラで他にアテなんてないからね?


 おじさん、一人は嫌だから必死になるからね?

 生き残りをかけたおじさんの執念。

 そんなに甘くないからね?


 ねえねえねえ~?

 聞いてる聞いてる?

 お~い?

 皆さん聞いてますか~? 


 聞こえてるよね~?

 おじさん分かるよ~。

 皆聞こえてるけど、無視してるよね~?

 着いてくよ~。

 どこまでも着いてくからね~。

 絶対に逃がさないからね~。



 悠は死んだ魚の様な目で、仲間たちに自分の存在をアピールし続けた。

 しかし、その余りにも痛々しい姿に。 

 女性陣はどう声をかけてよいか分からず、ただ足早に、その場を離れようとすることしか出来ないのであった。



 (悠)

 ねぇ~。待ってよ~。

 あ、見てみて~。


 おじさん靴のなかに石ころ入っちゃった~。


 痛くて歩きにくいよ~。 

 ねえねえ~?

 誰か肩貸してよ~。

 靴から石ころ出したいんだよ~。

 このままじゃ、痛い痛いして、上手く歩けないよ~。


 ねぇ~。聞いてるよね~。

 何で誰もこっち見ないの~?

 さっきまで、一緒に気合い入れてたよね~?

 一緒にステラに名を轟かせようって言ったよね~?

 もうおじさんの事忘れちゃったの~?

 それとも、あれはおじさんじゃなくて、ヤスシさんとの約束だったの~?


 ねぇ~。ってば~?

 もしかして、あれは夢だったの~?

 やっぱり夢オチが一番使いやすいの~?

 ねぇ~?誰か構ってよ~。

 おじさん、そろそろ寂しくて死んじゃうよ~。


 ねぇ~…。だれ…。か…。

 きこ…。る…。



 悠の問いかけは、より一層速さを増した、女性陣の歩行速度により、いつしか誰にも届かなくなっていた。

 距離を取ったことで、問いかけは徐々に歓声の中に紛れ込み、消えていったのだ。


 女性陣は、余りに無惨なその呼び掛けを。

 平常心を保ったまま聞き続けるのは、精神的に厳しいと判断。

 これから始まる大事な試合に、大きな影響を及ぼしかねないため。

 一度距離を取り、物理的に悠の言葉をシャットアウトしたのだった。

 


 (リナ)

 ハアハアハア…。

 早く!早く悠兄から離れないと!  


『き、きつい!いくらなんでもフォローしようがないよ!』

『悠兄!あんな人間のカスみたいな顔して絞りカスみたいな声出されても、何をどうフォローしていいか分からない!』

『だってヤスシだよ!?』

『どこの横山だよ!?一ミリもカスってねーよ!』

 

『無理!私にこの状況を乗りきる術ない!』   

『距離を取って、よく聞いてなかったことにする!』

『それ以外、私の生きる道はない!』

『ごめん悠兄!強く生きて!』


 (レイナ)

 ハアハアハア!

 早く!早く闘技場に!


『後ろから!後ろから何かが来ています!』

『これは直感ですが、私の後ろにたった今、化け物が生まれました!』

 

『生ける屍?呪われた一族?』

『詳細は不明ですが、実に恐ろしい「何か」が誕生しました!』


『す、凄い臭気です!これは無理です!』

『私に手に負えるレベルを遥かに越えています!』

『恐らくは悠兄さんの生き霊!』

『悠兄さんの顔!声!精神状態!』

『全てが未知のエネルギーに変化しています!』

 

『うっすらですが、靴に入った石で、生者を誘い込んで道連れにしようと企てたみたいです!』

『知能のレベルは低いようですが、私に手に負える相手ではないです!』


『長い修行で全てを悟った聖人でさえ、逆立ちして逃げだすレベルです!』

『人生駆け出しぺーぺーの私が踏み込んではいけない領域です!』

『近付いてしまうと、あの禍々しい負のオーラに心身が焼き付くされます!』


『見なくても分かる!』

『今の悠兄さんは危険です!』

『レイナ!絶対に振り返ってはダメです!』

『今は退散あるのみ!』

『後で、よく聞こえなかったです~。』

『無理矢理でも、これで通すしかありません!』

『悠兄さん!どうか成仏して下さい!』


 (マリエ)  

 急がないと!

 私が一番巻き添えの可能性が高い!

 

『せ、背中が熱い…。』

『そして何よこの悪寒…。』

『今まで感じたこともない…。』

『何か恐ろしい生命体が、私の背後で誕生したというの?』


『私の後ろには、悠さんしかいないはず…。』

『ひゃ!?なんか靴に石ころとか言ってる!?』

『なんて気持ち悪い生き物なの!?』

『悠さんは悪魔に魂を売ってしまったというの!?』

『どちらにしても、一人でどうにか出きる相手ではない!』

『一旦闘技場に上がって、体制を立て直す!』

『それ以外に生き残る術はない!』

『悠さん!ごめんなさい!』

『もし無理なら、せめて安らかに…。』


 様々な人間の思惑が交差する。

 だが、皆が出した結論は同じであった。


 「直ぐにこの場を離れなければならない。」

 「そうしなければ、命に関わる。」


 誰かが口にした訳ではない。

 だが、生物としての本能が、彼女達に生への道を示したのだ。


 そして、この判断は正しかった…。

 絞りカスとなった人間のカスは、誰にも相手にされないことを悟り。

 その場で靴を脱ぎ、石を取り出すと、深い怨念と共に、闘技場に歩を進めたのである。


 ズチャア…。ズチャア…。


 怨念に満ちたその歩みは、歩いた後の地面を腐らせ、辺り一面を臭気で満たしていく。

 観客も突然の絞りカスの登場に、何が起きているのか理解が出来ず、その動向を見守ることしか出来なかった。


 ズチャア…。ズチャア…。


 (悠)

 どうして…?どうして…?

 信じてたのに…?皆が肩を貸してくれるの…。

 ずっと待ってたのに…。



 悠は臭気を纏い、体をふらつかせながら闘技場に近付いていく。



 (リナ)

 き、来た!

 ねえ、どうしよう!?

 すぐそこまで来ちゃったよ!?



 リナは怯え、レイナとマリエを見た。

 二人も肩を抱き合い、震えている。


 

 (マリエ)

 む、無理よ!

 私たちに、あの怨霊を払うことなんてできない!

 あの怨霊を見て!

 幼児退行をしてまで、現世にしがみつこうとしている!

 私たちでは無理!

 精霊と直接交信できるレベルのシャーマンが必要よ!


 (レイナ)

 無理です怖いです!

 悠兄さん!お願いです!

 成仏して下さい!


  

 三人は悠の成仏を願った。 

 しかし、悠は一歩一歩確実に、彼女達に近付いていく。


 理性を失った彼が、唯一覚えているのが、仲間としたあの約束。

 「ステラに名を轟かせよう」と、仲間と誓ったあの約束だったのだ。


 誰も彼を責めることは出来ないだろう。

 そう、彼はただ寂しかったのだ。

 仲間との約束を果たせなかったことを悔いていたのだ。

 死してなお、彼は仲間との約束を守りたかったのだ。

 そんな純粋な彼の気持ちを、誰が責めることが出きるだろうか…。


 仲間たちも、それを理解していた。

 だから誰も彼を攻撃しようとはしなかった。


 彼に対する願いが通じなければ、その時は…。


 彼女達は、仲間の思いを受け入れる覚悟を決めかけようとしていた。


 その時だった…。


 (エリアス)

 アクアキャンセラー!!


  

 エリアスが魔法を放ったのだ。

 優しい、柔らかな水球が、悠の体を包み込んだ。

 すると、水球の中で、悠はみるみると元の体へと回復していった。

 辺りに満ちていた臭気は消え。

 周囲に爽やかな陽光が降り注ぐ。


 水球はゆっくりと消え、元の体に戻った悠は、自分の両手を見つめていた。



 (悠)

 『俺は…。俺は一体…?』


 姿が元に戻った悠だが、臭気に包まれていた時の記憶は失われていた。


 (悠)

 『俺は…。どうして闘技場に?』

 『確か俺は…。凄く辛い思いをして…。』

 『もう嫌だって思って…。』

 『そしたら、急に気が遠くなって…。』

 『それから…。』


 悠はこれまでの事を必死に思い出そうとした。

 しかし、やはり直ぐに記憶が戻ることはなく。

 悠は、一先ず考えることを諦めた。


 そう、彼の周りには。

 彼の帰還を喜ぶ仲間たちがいたのだ。  


 (悠)

 『よく分からないけど…。』

 『俺には皆がいる…。』

 『今はそれだけでいい…。』

 『それで充分じゃないか…。』


 そう考え、悠は微笑みを浮かべて仲間たちを見た。


 (リナ・レイナ・マリエ)

 悠兄!悠兄さん!悠さん!



 皆が声をあげ、近付いてくる。

 レイナの目にはうっすら涙が浮かんでいた。

 皆が笑って迎えてくれた。

 その事実だけで、何だか悠は全てが満たされたような気分になっていた…。


 ディープインパクトの面々は、皆で手を繋いで円を作った。

 そして再び約束を交わした。

 

 「これから先、何があっても絶対に仲間は裏切らない」と 

 「辛いときは、互いに支え合おう」と


 皆は頷き、微笑み合った。

 クランの絆が、一層深くなった。

 声を出さずとも、皆が感じていた。

 これからはずっと皆一緒だと。

 それが仲間の印であると。


 お互いの絆は確認できた。

 皆は安堵し、帰路につくことを決めた。


 (マザー)

 今日は晩御飯どうします?

 (悠)

 今日はクランにとって大切な日になった。

 今日の記念に外食にしよう。


 悠の提案に、皆が子供の様に喜んだ。  


 ディープインパクトはクラン。

 

 そして、クランとは家族なんだ。


 誰かがそう口にする。


 皆も笑顔で同調した。

 

 今日、俺たちは家族になった…。

 辛い旅の中で、こんな素敵な日があってもいいじゃないか…。

  

 悠は一人。そんな風に思っていた…。  

 優しい風が、悠の頬をかすめていった。


 …。


 ……。


 ふざけるなディープインパクト!


 (エリアス)

 いつまでやっとるんだ!!

 このたわけどもが~~!!!!



 バシャ~~ン!!!!!


 

 エリアスの放った魔法により、ディープインパクトの面々はずぶ濡れになった。

 そしてゆっくりとエリアスの方を向き直った。

 

 (悠)

 いや~…。

 やっぱり…。

 ダメ?だよね?


 悠は照れ臭そうにエリアスに訊ねた。



 (エリアス)

 ダメに決まっておるわ!!

 このたわけが!!

 私にいつまで三問芝居に付き合わせる気だ!

 この馬鹿者どもが!! 

 恥を知れ!!


 エリアスはディープインパクトのやり取りに耐えかね、遂に口を挟んだようだ。 



 (悠)

 いや~。このまま上手く続ければ、なしくずし的に戦いは無くなるかな~って…。

 まあ、そんな甘くないですよね~…。


 悠はポリポリと頬をないて誤魔化そうとした。

 しかし、長時間待たされたエリアスは、完全に怒り心頭といった様子であった。



 (エリアス)

 そんな単純な話があるか!

 私をここまで待たせおって!

 不届きものが! 

 絶対に許さん!

 覚悟しておれ!


 エリアスは強い口調で言い放った。


 やばい。

 火に油を注いでしまった様だ…。


 悪ふざけが過ぎた事を、今更になって後悔する、ディープインパクトの面々であった…。


 エリアスとの戦いは必須となった。


 彼女がディープインパクトと戦う理由は一体…。


 

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