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おやじ妄想ファンタジー   作者: もふもふクッキー
53/114

水の章 クランバトル編 二回戦 悠編Ⅷ

 ○ ハナコどこの子


 (悠)

 え!?なになに!?

 チョット待って!?

 なに!?ハナコ生きてんの!?


 てか、生きてるって…。

 精霊ってやっぱり実在するもんなの!?

 生き死にの観念ってあるんだ!?


 あれ!?

 でも、ピー太郎の体を被う毛皮は!?

 母の形見って、アナウンスされてたじゃん!?


 なに!?なにが真実なの!?

 なんか上手く纏まんないよ!


 もしかして、全部夢なの!?

 そろそろネタも尽きてきたし…。


  結局夢オチなの!?



 俺は頭が混乱し、捲し立てる様に、ピー太郎に質問をしていた。


 なにが真実で…。

 なにが嘘なのか…。


 悪いのは不真面目に生きてきた俺なのか…。

 俺を受け入れない社会なのか…。


 実に深刻な問題である。


 (ピー太郎)

 母ハ生キテイル。

 コレハ事実ダ。

 母ハ死ンデナンテイナイ。


 質問ニアッタ、精霊ガ実在スルカニツイテハ。

 ウ~ン…。

 コレハ概念的ナ話デ…。

 説明ガ非常ニ難シイカラ。

 ゴメン。チョット今ハ割愛シマス。


 タダ母ハ生キテイル。

 正シクハ…。

 存在シテイル。

 ト、言ッタ方ガイイカモシレナイ。


 マア、トニカク…。

 キット母ハ。

 今モ森デ、楽シクヤッテイル。


 沢山ノ男達ヲハベラセテ。

 毎日飲メヤ歌エヤ。

 舞エヤ踊レヤ。

 実ニ楽シクヤッテイルハズダ。


 人生ッテヤツヲ、コレデモカトイウホド。

 実ニ、エンジョイシテイルコトダロウ。

 

 ア~!イイナァ母サンハ!

 ズルイヨナ、ホントニサ~!


 俺モ、実ハ早ク帰ッテ、

 前ミタイニ豪遊シタイナ~!


 故郷ノ村…。帰ル様ニ言ワレタケド…。

 村全体ガ貧乏デ、全然ツマラナイ…。

 

 コッチハ、檻トカイレラレテ…。

 マジ窮屈。

 遊ブ場所ナイシ。

 マジ退屈。

 ナンデ皆アンナトコデ満足シテルノ?

 マジ、意味ワカンナイワ…。


 ア~!!

 ナンカ懐カシクナッテキタ~!


 帰ッテ家デ豪遊シタイナ~!

 飲ミ屋ノ、アノ娘元気カナ~!

 アイチャーン!

 ピーチャン、暇ダヨ~!

 会イタイヨ~!

 マタ一緒ニ遊ボウネ~!


 森ナラ自由!

 自由ニ食ベテ!

 自由恋愛!


 自由ニ酒池肉林!

 毎日ウフフナ!

 タノシイ生活!


 広イ家!広イ庭!広イプール!

 イイ酒!イイ女!

 全部イイ感ジ!


 食ベルモ遊ブモ全部自由!


 ア~!

 ヤッパリ森サイコーダゼ!!

 早ク帰りテ~!



 ピー太郎は、森での生活を思いだし、突然テンションがはね上がってしまった。

 森の話をする時は、まるでさっきまでと別人である。

 目なんかホントにキラキラしている。


 森での生活は、ここに比べると。

 少なくとも、グランファーマーズの村に比べると。かなり娯楽に満ちているようだ…。


 なんだよそれ…。マジびっくり。

 森…。サイコーじゃね~か…。

 何でわざわざ帰ってきたんだコイツ?



 (悠)

 お、おう。そ、そうなんだ…。

 それは、スゴいね。楽しそうだね。

 うん、スゴい。ホントに楽しそう。


 な、なんだよ。

 なんなんだよそれは…。


 意外って言うか…。

 結構いい生活してんじゃねーか。

 つーか、滅茶苦茶いい生活じゃんかよ。

 森なのに…。精霊なのに…。


 なんかさ…。勝手なイメージだけど。

 精霊って、どっかで人知れず。

 ひっそりと生活してるのかと思ってたわ。

 人の信仰心を糧に、落ち着いた生活してると思ってたわ。

 

 なんかちょっと意外すぎて…。

 イメージ違いすぎて…。

 若干リアクションに困るわ。


 つーか、なんか腹立つ。

 精霊なのに。

 実際は、遊び放題なのかよ…。 

 ホントにショックだわ…。


 皆、精霊がそんな生活してるって知ってんのか?

 ステラじゃ、それが常識なのか?

 ここじゃあ精霊って。

 どれもそんな認識なのか?

 一応、仏教が身近な人間として…。  

 なんか凄いショックなんだけど…。



 俺は周囲の反応が気になり、周りを見渡す。

 そして、最初に確認したグランファーマーズの面々を見て。

 全てを理解することになる。


 そう。

 彼らは全員。

 泡を吹いて白目を向いて震えていたのだ。

 どうやら立ったまま、気を失っている様だ。


 彼らの心境を端的に表現した。

 実に素晴らしいリアクションである。



 (悠)

 あ、そう。

 うん。なるほどね。

 よく分かったよ!

 非常に分かりやすいね!

 皆さんナイスリアクション!


 うん!

 やっぱり皆も驚きまくったみたいだね!

 意外すぎたみたいだね!

 信じられないみたいだね!

 フリーズする位に、ショック過ぎたみたいだね!


 普通そうだよ!

 そりゃそうだよ!

 逆に安心したわ!

 そうじゃなきゃおかしいんじゃんか!


 例え世界が違っても…。

 自分の心から慕う、信仰の対象がさ!

 心から信じ、尊敬する存在がさ!

 いつでも心と生活に共にあり。

 身近な感謝の対象がさ!

 

 実際は、欲にまみれ捲って!

 そんな信仰心を糧にして!

 毎日どんちゃん騒ぎの豪遊してたら!


 そりゃあ、ショックだよね!

 そりゃあ、立ったまま失神もするよね!

 寧ろ、よく失禁はしなかったよね!

 皆の膀胱は、よく耐え抜いたよね!


 ましてや、グランファーマーズの皆はさ!

 その対象やピー太郎の為に!

 30年にも渡って、お詫びと反省の念を持ち続けて…。  

 これからやっと、村の再建を実現していく所なんだよね!

 雨の日も、風の日もさ!

 これまでの、森やハナコへの非礼を恥じて。

 必死に信仰を続けてきたんだよね!


 ハナコに戻ってきて欲しい!

 もしかして、モンスターを追い払った時の傷で、ハナコは死んでしまったんじゃないか!

 ピー太郎も、もう生きてはいないんじゃないか!

 ハナコが怒りに任せて、食べてしまったんじゃないか!

 そんな不安を、30年間抱えてきたんだよね!

 それを村の皆で、励まし合って乗り越えて来たんだよね!


 ありがとう!一つ勉強になったよ!

 グランファーマーズの皆!  


 なんて言うかさ…。

 ホントにお疲れさま!


 貴方達の30年は、無惨に散ったみたいだけど、信仰に対する想いは。

 やっぱりこっちの世界でも同じなんだよね?


 うん…。

 なんて言うかさ…。  

 なんかごめん。

 こんな形で、現実を突きつけちゃって…。


 なんか俺も、皆の事考えたら。  

 本気で悲しくなってきたわ…。

 30年ってさ…。

 長いよ。

 何かに捧げるには、あまりに長すぎるよね。



 俺は意図した形ではないにしろ、彼らを間接的に傷付けたことを反省していた。


 その時、白目を向いたまま、畑さんがピー太郎に何かを質問し始めた…。 

  

 (畑)

 ピ、ピー太郎…。

 ハ、ハナコが無事なのは…。

 ホ、ホントなのかい?

 (ピー太郎)

 本当ダヨ。母サン元気ダヨ。

 最近二日酔イ、酷イミタイダケド。

 (畑)

 そ~…。そりゃあ、良かった…。

 でも、そしたら何で。

 村に来るモンスターは減らないんかの~。

 ハナコはやっぱり。

 あの時の無礼を…。

 ワシらの行いを、許してはくれないのかな~。

 (ピー太郎)

 ソンナコトハナイ。

 母サンガ元気ニナッタノハ、ココ十数年ノ話。

 ソレマデハ、30年前ノ戦イノ傷デ。

 マトモニハ動ケナカッタ。

 ソレホド傷ハ深イモノダッタ。


 (畑)

 そ、そうなんか!?

 やっぱり、ハナコは…。

 あの時の戦いで怪我を…。

 やはり、モンスターが入り込んだのも。

 森に元気がないのも。

 全部ワシらが原因だったのか…。


 ハナコには、ホントに悪いことをしてしまった。

 ハナコはまた。

 ワシらの信仰を、受け入れてくれるだろうか…。

 流石にもう…。

 許してはくれないのだろうか…。



 『あれ?十数年前から元気なら。

 ここ数年は、思いっきりサボってたんじゃないのか?』


 俺は非常に気になる疑問が頭に浮かんだが、これ以上グランファーマーズの皆さんに、ショックを与えては命に関わると判断し、質問を自粛した。



 しかし…。たとえどんな理由にしろ。

 畑さんは、30年に渡り償って来たんだ。

 彼の努力が少しでも報われて欲しい。

 俺も彼に同情し、心からそう願い始めていた。 



 (ピー太郎)

 大丈夫。母ハ怒ッテハイナイ。

 (畑)

 本当け!?

 (ピー太郎)

 本当ダヨ。

 村ノ信仰心ガ、母ノ糧デアルノモ事実。

 村ノ信仰心ガ強マッタコトデ、母ノ傷ハ早ク回復シタ。


 人間ガ、心具ヲ通シテ、精霊ノ力ヲ借りル様ニ。

 精霊モマタ、人間ノ信仰心ヲ力ニ変エテイル。


 精霊ノ力ハ偉大ダガ、信仰スル人間ガ、イナクナレバ、徐々ニ弱マル。

 力ノ流レハ、ケシテ一方通行デハナイ。


 ドチラモ、モチツモタレツ。 

 ドッチモ不可欠ダ。


 ダカラ…。

 母ハ、村ノ信仰心ガ回復シ、喜ンデイル。


 ソウ遠クナイ日ニ、再ビ村ヲ守ル力ヲ、取り戻スダロウ。

 マア、タブンダケドネ…。


 

 ピー太郎の話を聞き、畑さんはほっとした様だ。

 安らかな表情で、再び気絶状態に戻った。


 凄いな畑さん!

 もしかして、今のも無意識で!?   

 彼は後で、今の話を覚えているだろうか…。

 人類の新たな可能性を感じた瞬間であった。


 

 (悠)

 さてと…。

 それで?ピー太郎はさ?

 なんでそんな大事な話を、今まで皆にしなかったんだ?

 (ピー太郎)

 え?だってさ。

 聞かれなかったもん。

 皆が母さんに、そんな思い入れがあったの、知らなかったし。

 (悠)

 なるほどね。

 じゃあ、毛皮は?

 なんで形見とか言っちゃったの?

 (ピー太郎)

 その方が、ウケるかなって思ったから。

 実際、この毛は、母さんが村を守るとき。

 怪我した部分が生え変わったものを編んで作ったから。

 皆には、形見って事にした方が、なんか響きがいいかなって。

 ちやほやされるかなって。

 (悠)

 ああ、そう。

 皆も罪悪感感じてたしね。

 それくらいは、まあ、いいかなって。

 そんな感じ?

 (ピー太郎)

 うん。ごめん。

 悪かったと思ってるよ。

 (悠)

 途中から、滅茶苦茶難しい言葉使ってたから。

 もしかしてとは、思ってたけど…。

 片言は、もう止めたの?

 つーか、お前ペラペラじゃねーか!

 始めからちゃんと話せよ!

 聞きにくいんだよ!

 (ピー太郎)

 うん。いっぱい話したし。 

 雰囲気作りも疲れたし…。

 なんか飽きちゃった。

 (悠)

 じゃあ、最後に。

 ホントにこれが最後だから。

 なあ。ピー太郎よ。

 森での生活は事実なのか?

 (ピー太郎)

 事実だよ!

 毎日豪遊だよ!

 この世のパラダイスだよ!

 早く帰りたいよ!


 (悠)

 オッケー。了解。

 なんかマジムカついたわ。

 お前絶対ぶっ飛ばしてやる。  

 覚悟しろよ。



 俺は、自分の中で色々な感情が入り雑じるのを感じていた。

 ピー太郎は、確かに被害者かもしれない…。

 けれど…。

 何故か俺は、コイツを許す気になれなかった。


 ただ、個人的にムカついた。

 そんな理由で、俺はピー太郎を倒すことに決めたのだ。

 

 (悠)

 手加減しねーぞ。

 覚悟しとけ。


 俺は指の骨をバキバキと鳴らした。


 (ピー太郎)

 望むところ。

 少しは楽しませろよ。


 ピー太郎も臨戦態勢に入る。


 おしゃべり休憩をはさみ。


 バトルは第2ラウンドに突入する。


 




 

 

 

 




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