表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おやじ妄想ファンタジー   作者: もふもふクッキー
51/114

水の章 クランバトル編 二回戦 悠編Ⅶ

 ○ 勝負を決める一撃


 (審判)

 始め!

 ドォン!


 開始の合図と共に、俺はピー太郎に一直線に向かっていった。


 (悠)

 来いや熊すけ~!

 人間様舐めてんじゃね~ぞ!


 俺は仲間に励まされて、テンションマックス状態で突っ込んでいく。

 一方、ピー太郎は…。


 (畑)

 ええか稲田?

 ほったら、いっせーのせ!

 で、檻の鍵さ開けっぞ!

 鍵開けたら、すぐに闘技場から降りねーと!

 ピー太郎が襲ってくっかもしれねーかんな!

 ぜってータイミング会わせろよ!

  

 いいか!?いっせーのせ!

 だかんな!?

 ガシャアン!


 (畑)

 はい?


 その言葉と同時に、稲田さんは、檻のドアの鍵を半分開いていた。  

 ドアを開けた稲田さんは、ピー太郎の被害から逃げるように、直ぐに舞台から飛び降りた。

 

 (畑)

 おい。稲田?

 あんさんなんで…?


 (稲田)

 え?あれ?畑?

 え?嘘?

 まだやったの?

 ごめん…。畑…。

 オラ、間違って開けちまった…。


 稲田さんの手には、しっかりと鍵が握りしめられている。


 (畑)

 い~な~だ~!!!

 あんさんは昔っから人の話さ聞かんで~!

 こんな大事な時に~!

 このあんぽんた…!


 ドカン!バキィ!


 (畑)

 ギャア~!

 なしていつもオラだけ~!


 ピー太郎は、半開きの檻に体当たりし、勢いよく舞台中央に駆け出してきた。


 鍵が空いていない檻の方にいた畑さんは。

 ピー太郎が勢いよく抉じ開けたドアに捲き込まれ、ドアと共に舞台袖まで吹き飛ばされていった。


 畑さん…。いい人なのに…。

 なんでいつもツキのない…。


 まるで、コントの様に、畑さんは綺麗な放物線を描き、飛ばされていった。  


 (ピー太郎)

 グアアアア~!

 ヤットメシノジカンダ~!

 クワセテモラウゾ~!


 ピー太郎も真っ直ぐ此方に向かって来る。 

 リナの言う通り、アイツの動きは四足歩行だ。

 かなりの速度で此方に迫ってきている。

 けれど…。


 (悠)

 歩行も、スピードも!

 予想の範囲内なんだよ!

 ウチのクランで一番速いヤツは、こんなもんじゃねーぞ!

 くらいやがれ!先手必勝だ!


 吹き飛べ!


 

 俺は左手を前方に突きだし、ピー太郎に向けて心具の力を使用した。


 ズドン!

 攻撃は、ピー太郎の頭部に命中し、突然の事に驚いたピー太郎は、ヨロヨロとよろめいた。

 真っ直ぐ此方に向かってきていたが、スピードを緩め、頭部に何がぶつかったのか。

 不思議そうな顔で、首を傾げている。


 (ピー太郎)

 ム~。ナニカアタッタ?

 ナニガアタッタ?

 アタマガ…。アタマガイテェ…。


 ピー太郎は、自分が何をされたのか分からず、攻撃を躊躇っているようだ。


 (悠)

 攻撃するなら剥き出しの頭部!

 これもアドバイス通りだな!

 ホントにウチのメンバーは…。

 スゲエ奴ばっかりだよ…。


 俺は仲間達のアドバイスに感謝し。

 同時に彼女達の頼もしさを再認識していた。


 ピー太郎が仕掛けてくる様子は無い。

 このまま一気に畳み掛けてやる!

 相手が熊だからって関係ない!

 俺は、スゲエ仲間たちに認めて貰えているんだ! 自信を持って、どんどん攻めるぞ!


 (悠)

 来ないならこっちから行くぞ!

 都会での生活は息苦しいだろう!

 さっさと森に帰りやがれ!


 オラ~~!

 吹き飛んでけ~!


 ドンドンドンドン!!

 俺の攻撃は、ピー太郎の頭部に連続で命中していく。


 (ピー太郎)

 イダ!イダダ!

 ナンダ!?オマエイッタイナニシテル!?

 アダダダダダ~!


 ピー太郎の頭部は上下左右に揺さぶられている。

 思った以上に戦えている。

 間違いなく、こちらのペースだ。

 だが…。

  


 (マリエ)

 悠さんの攻撃…。

 いいリズムで続いてるけど…。

 決定的なダメージにはなり得てないわね。


 (マザー)

 え?そうですか?  

 私には、かなりいい形で。

 いいテンションで戦えてる様に見えますが…。


 (リナ)

 いいテンションってのは、同意するわ…。

 決して私たちも、嘘はついてないけど…。

 試合前にちょっと誉めただけで、あれだけ生き生きと戦えるんだから…。

 あの人どんだけ誉められ慣れしてないのよ…。

 なんか私が、少し悲しい気持ちになるじゃない。   

 (マリエ)

 きっと職場とかで怒られ慣れしちゃってるのよ。

 たまに誉められると、嬉しくて仕方ない…。

 スパルタ教育の家庭の子供のみたいな人ね…。

 あれ?私も何だか可哀想になってきたかも…。


 (マザー)

 皆さんの世界では…。

 働くって大変な事なんですね…。

 まあ、今はその話は後に。

 彼の人生観については、また後日話しましょう。


 それで、マリエさん?

 悠さんの攻撃…。

 悪くないと思いますが…。

 やはり難点があるのですか?


 (マリエ)

 難点って訳ではないけど…。

 悠さんの心具って。

 以前も話したけど、周りを「活かす」タイプの力なのよ。

 私たちが、強い魔力を練るための準備をしているとき。

 リナちゃんが、接近戦で複数の敵を相手にするとき。

 そんな時に、彼は私たちを相手の攻撃から守り。

 こちらの攻撃体制を整えるアシストをする。

 つまり、どちらかと言うと、全体の支えになる。

 縁の下の力持ちなのよ。


 だから…。

 こういう一対一の様な戦いでは。

 どうしても火力不足になる。

 相手を沈める、フィニッシュブローが、彼には存在しない。


 彼の力は。

 決して肉体を強化する訳でもない。

 武器を生み出す訳でもない。


 彼は、その力で周囲を支える。

 そして、支え続けた仲間に、フィニッシュブローを託す。

 クランの仲間からしたら、これ程頼れる仲間はいない。


 けど、いざ一人で戦うとなると。

 相手の攻撃を防ぎ。

 防御を攻撃に転じて、自分の力を相手にぶつける。


 彼には、この二つの戦い方しかない。


 そして…。

 マークIIやピー太郎の様に、攻撃で吹き飛ばす事が出来ず。

 攻撃によるダメージも期待出来ない相手には…。

 

 残念ながら、どんどん手が伸びなくなる。


 ダメージが少ないと気付いた相手は。

 悠さんの攻撃を恐れずに、突っ込んでいく。


 そして…。やはりああなってしまう。


 マリエは、闘技場の中心を指差した。


 (闘技場中心)

 バキィ!

 ピー太郎の攻撃が、悠の体をとらえる。


 (悠)

 クソ!

 ギリギリのところで攻撃は弾けるが、それでもかなり重い!


 しかも…。

 マリエさんの言う通りだ!

 心具がある右手の攻撃!

 その威力は桁外れだ! 


 俺の能力じゃあ、完全には弾ききれない!

 クソ!

 せっかくいい感じだったのに!


 これじゃあ、マークIIの時と同じじゃね~か!



 (ピー太郎)

 オマエ、ナカナカヤルナ。

 コンナニタタカウノハヒサシブリダ。

 オレモスコシ、チカライレルゾ。

 ナア、オマエ。

 クウマエニシヌナヨ!


 (悠) 

 なんだって!?

 今まで手加減してたって言うのかよ!?

 ふざけやがって!

 俺だって、まだ本気だしてないんだからな!


 俺はピー太郎に目をやる。

 しかし、目の前にいたはずのピー太郎が、忽然と姿を消している。



 (悠) 

 あれ?あいつどこいった?


 俺は周りをキョロキョロとピー太郎を探した。


 (リナ)

 悠兄!どこみてんの!?

 上だよ!やばいよ!

 気を付けて!


 (悠)

 上!?

  

 俺は咄嗟に真上を見上げた。

 そこには、ゆうに数メートルはジャンプしているピー太郎の姿があった。


 (悠)

 嘘だろ!?あの巨体で!?


 俺は余りの光景に、一瞬息を飲んだ。


 (ピー太郎)

 キヅカレタカ。 

 ダガ、ドチラニシテモフセゲナイ!

 オマエヨクヤッタ!

 キヲウシナッテ、エサニナレ!


 ピー太郎が空から降ってくる。


 (リナ)

 悠兄!避けて!


 リナの声が聞こえた。


 (悠)

 『ダメだ!あまりに突然すぎて体が動かない!』

 『マズイ!このままじゃ、本当に!』


 ズガア~~ン!!


 ピー太郎の全体重を乗せた一撃が、空から放たれた。

 その余りの衝撃に、闘技場全体にヒビが入った。

 

 なす術もなく、俺は…。


 (リナ)

 ちょっと…。嘘でしょ?

 悠兄?無事よね…?

 悠兄?返事しなさいよ!


 悠兄~~!!!


 リナの叫び声だけが、会場に響いていた…。


  

 


 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ