水の章 クランバトル編 二回戦 マリエ編Ⅲ
○ 扇VS鞭
(審判)
始めい! ドオン!
バトル開始を告げる太鼓が鳴り響いた。
(実況)
さあ!我らがマリエ様と鵜骨選手の試合が始まりました!
二人がどのようなバトルを繰り広げるのか!
楽しみに見守りたいと思います!
まずは、マリエ様!
顔の前で扇をヒラヒラとはためかせております!
一回戦同様に、相手の出方を見ているのでしょうか!?
一方の鵜骨選手!
開始と同時に、腰に着けていた心具!
自慢の鞭を取り出しております!
一回戦で見せていた巧みな鞭さばき!
このバトルにおいても発揮できるでしょうか!?
(マザー)
対戦相手の鵜骨選手。
心具は鞭ですね。
形状から見るに、攻撃範囲は近~中距離。
マリエさんは中~遠距離タイプ。
相手を近づけず、如何にして得意な距離感を維持していくか…。
上手く足を使っていきたい所です。
マリエさんの戦い方に注目ですね。
(悠)
何てこった…。
まさか相手の心具が「鞭」だなんて…。
こんな所でも、決断を迫られてしまうのか…。
まだ、自分が決めるには早いと思っていたのに!
まだ、その部分は未開発なのに!
俺は!俺は一体!
どっちのマリエさんを、期待しなければいけないんだ~~!?
俺はあまりに悩ましい状況に声をあげた。
頭を抱え、しゃがみこんだ。
悩ましい。
それほどまでに悩ましい状況なのだ。
(リナ)
ちょっと!
いきなり叫んでどうしたのよ!?
それに何!?
どっちのマリ姉を期待するって!?
何を言ってるの!?
マリ姉は一人じゃない!
どっちも何も、マリ姉が勝てるように応援しなさいよ!
何をそんなに困ることがあるのよ!?
リナは俺が何を考え、悩んでいるのか分からないようだ。
俺だってマリエさんの勝利は願っている。
それは当然のことなのだが…。
俺が悩んでいるのは。
俺が苦悶しているのは、そんな単純な事ではないのだ。
男としての…。
これからの生涯に渡る、趣味嗜好に関わる。
崇高な、特別な悩みなのだ。
(悠)
リナ。マリエさんの勝利を応援するのは当然だ。
俺達は仲間なんだ。
無事に。何事もなく、勝って帰ってきて欲しい!
けどな!俺が悩んでいるのはそこじゃない!
試合に関することじゃない!
そんな単純な事ではないんだ!
人生に関わることなんだ!
(リナ)
ハア~?
マリ姉の戦いが、あんたの人生にどう関わるって言うのよ?
(悠)
いやいやいや。
それが関わっているんだよ。
それも深く。かなりディープな部分にな。
いいか、リナ。
俺が…。いや、会場にいる男達全員がだ!
俺達が悩んでいるのはな!
俺達は!マリエさんが、対戦相手を!
鞭で「打つ」姿が見たいのか!
それとも「打たれる」姿が見たいのか!
会場にいる男共はみんな!
今、正に!
自分の嗜好がどちらにあるのか!
その「決断」を迫られているんだ~!!!
いるのだ~…。いるのだ~…。だ~…。だ~…。
俺は叫んだ。それは魂の叫びであった。
魂の叫びであるからか、俺の声は山彦となって会場に響き渡った。
(リナ)
……はい?
(悠)
いいかリナよ!
俺達、男達は皆!
何となくではあるが…。
自分はどちらかと言えばSかな?Mかな?位の認識を持ってはいるんだ…。
けれど、これはあくまで「感覚的な」話だ。
なんと言っても、実際にそれを確かめる場面に恵まれる人は、思った以上に少ないからだ。
だから、多くの人は、実際には経験がないため。
答える時はあくまで、何となく自分に合ってそうな方で答えている。
ホントに無念な話だ。
しかし、残念ながら。それが現実なんだ。
しかし!今回は、何となくでは乗りきれない!
それは何故か!もう分かるだろう!?
鞭で打たれるのは!鞭で打つのは!
絶世の美女!
我らがマリエ様なのだ!!
こんな綺麗な女性が!
それも、目の前で!
鞭に関わる姿を見る機会なんて!
人生を通しても、恐らく2度とないはずなんだ!
分かるか!?
こんなチャンスは2度とこないんだ!
会場の皆もそれは分かっている!
人生でたった一度…。
最初で最後のチャンスなんだ!
分かるか!?最後なんだぞ!?
2度とないんだぞ!?
それならば、絶対に自分の嗜好に沿ったシーンを見なくてはいけないだろう!?
死に物狂いで、そのチャンスを掴まないといけないだろう!?
万が一だ…。ここで万が一にでも…。
自分の嗜好の選択を間違え…。
反対の方向に向けた応援をしてしまう…。
つまりは、間違った嗜好を期待してしまうと…。
これは最悪の場合だ。
もう取り返しがつかない…。
2度と自分の嗜好における、最高級のシーンを拝むことは出来ないんだ。
これは、後悔という言葉では語り尽くせない。
つまりは、
生涯における最大級の後悔を背負うことになる!
俺が本当に見たかったのは、こっちの姿ではなかったのか!
俺は人生で一番大切な選択を間違えたのかと!
取り返しのつかない、非常な現実を叩きつけられる事になる!
分かるか!?
ここは絶対に間違えられないんだ!
絶対に負けられない!
男の戦いが今、目の前で!
始まろうとしているんだ~!!
だ~!だ~。だ~。だ…。…。。
俺の言葉は、再び会場中に響き渡った。
パチパチ…。パチパチパチパチ。
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!
会場中が、俺の言葉に同調し、拍手に包まれた。
分かる!分かるよみんな!
俺達は同じ気持ちなんだ!
同じ悩みを抱える仲間なんだ!
俺の言葉で会場は1つになったのだ。
(悠)
ありがとう!みんな!ありがとう!
お互い悔いのない選択をしような!
俺達は仲間だ!
皆が望むような形になることを、俺も願ってるよ!
俺は歓声に手を振って応えた。
会場中の男性は皆。
俺と意識を共有する仲間なんだ!
俺は心地いい一体感に、身を委ねていた。
(リナ)
何なの!?何なのよこれは!?
何て人達なの!?
ホントに男ってバカばっかり!
真面目に聞いて損したわよ!
あのバカおやじだって、ついさっきまで黒歴史を
あんなに反省していたのに!
もう同じ鉄を踏もうとしてるじゃない!
私はもう知らないわ!
もう絶対構ってやらない!
今決めたわ!絶対決めた!
この人が真面目な話をする事は、きっともう2度とないと思うべきなのね。
もうしらない!やっぱり、あんたはもう。
壁に向かって一人で話続けてなさいよ!
そうやって黒い歴史を積み重ねるといいわ!
もう私には付き合いきれないわよ!
リナは下らない話に付き合わされ、かなりおこってしまったようだ。
顔を真っ赤にし、こちらを向いてはくれなくなった。
(マザー)
同感です…。もう彼に…。
あの人のバカな話に付き合うのは止めましょう。
時間があまりにも無駄すぎます…。
会場の人達もそうですが…。
今日だけで、一体どれだけの時を無駄にしたか。
ホントに真面目な顔をして、どうしてこうも下らない話を次から次へと…。
もう付き合いきれませんよ…。
二人は遂に、俺の馬鹿話に見切りをつけたようだ。熱く男心を語る俺の隣には、気づけば誰もいなくなっていた…。
(リナ)
さあ!マザー!応援よ!
あんな奴はほっときましょう!
マリ姉がんばれ!相手をよく見て!
落ち着いていけば大丈夫よ!
(マザー)
はい!応援しましょう!
マリエさん!頑張って下さい!
距離を保っていきましょう!
(悠)
そうだ!会場中は、バカな男ばっかりだな!
マリエさん!頑張って下さい!
力を抜いていきましょう!
鞭の件は、今度身を持って教えて下さい!
お願いしますね!
俺は一人になるのが寂しいのと。
この年齢で、これ以上の黒き歴史を積み重ねる事への恐怖心から、普通の応援に切り替えることにした。
この話は、今度酒の席で、レイナにでもゆっくり聞いて貰おうと思う。
今は真面目に応援します。
闘技場では。
マリエさんと鵜骨さんは、相手の出方を見ているようだ。二人には未だに動きがない。
(ビッグファーマーズの方々)
鵜骨どん!
相手が女性でも関係なか!
いつも通り、どんどん攻めてけ~!
畜産で鍛えた鞭さばき!
今こそステラ中に見せ付けてやっべ~!
ビッグファーマーズの方々も、動きのない状況に応援にも力が入る。
試合会場は、一層緊張感が高まってきた。
(鵜骨)
皆あんがと!応援嬉しいべさ!
けど、何でか分からないけど!
オラ今迷ってんだ!
このままでいいのかな!?
このまま仕掛けていいのか分からないんだ!
鵜骨さんは、仲間の声援に答える形で、現状を吐露した。
彼も、マリエさんと対面し、戦い方に苦慮しているようだ。
(ビッグファーマーズ)
何を言うかね!なんば迷うことなかよ!
いつも通りガンガン攻めたらええ!
それがおんしのやり方やろ!
戦い方を変に変えたりすんな!
足下すくわれっぞ!
いつも通りが一番ばい!
思いっきりぶつかればよいばい!
(鵜骨)
分かっているんだ!
いつも通り戦うしかないことは!
それしか出来ね~ことも知ってる!
けど!けどな!
見ろ!対戦相手の女性を!
あの人すんごい失礼な人やったけど!
やっぱり…。やっぱり綺麗さねぇ。
あんな綺麗な女性…。
村育ちのオラは見たことねえ!
お前らもそうだべ!?
オラなんか緊張で標準語で話しちまってんだぞ!
(ビッグファーマーズ)
標準語で!?鵜骨どん標準語話せると!?
ギャハハハハハ~!
似合わんとね~!その姿勢が既に力入っとる!
リラックスリラックスや~!
(鵜骨)
分かっとるさな!
けんど!よく見てみぃ!
あのお姉さんに、いつも通りに行けるとか!?
オラには無理なんじゃ~!
(ビッグファーマーズ)
そんに綺麗か~?言い過ぎやろ~。
なあ、皆~。
ビッグファーマーズの皆さんは、ジーっとマリエさんを見つめている。
(ビッグファーマーズ)
お、おう…。そうかなぁ。た、確かに~…。
鵜骨どんの言うことも分かるきに~。
いや~、たまげた~!
やっぱり都会には綺麗な人がいるんやな~って、オラ達もおったまげたさ~。
あ!オラも!やっぱり都会さ凄かね!
な~!びっくりするわ~!
オラ達、農家のほっかむりしたおなごしか知らんもんな~!
せやせや!オラも写真でしか見たことないわ!
オラ、帰って母ちゃんに会ったら、なんかガッカリしちゃいそうだ~!
ハハハハハハ~!
これはここだけの話やけど~!
やっぱり田舎者からしたら、都会のおなごは別格やね~!
誘惑が多すぎて恐か恐か~!
ホンにホンにな~!
農業組合の集まりで来ただけやったけど~。
オラ、あの人見れただけで~。
ちょっと満足しとるもん。
あ、これも母ちゃんには内緒な~。
アッハッハッハ!
そげなこと言うて~!
嫁子さ、村に置いて~!
おなごにうつつ抜かしたなんて、言えるわけなか!これもオラ達だけの秘密ばいね~!
いやさ~!
嫁さんさ知ったら、オラ家からおんだされるわ!
村なんて噂さあっという間に広がるけんね!
オラ達、皆のお金でここにいるのに~!
村にも居場所さなくなるべさ~!
ワッハッハッハ~!
オラ達は小さい頃から、イタズラばっかやってきたからな~!
村の皆に信頼されね~べ!
取り合えず大会で頑張ったことだけ伝えればいいさね~!
グランファーマーズの皆さんは、何やら楽しそうに談笑を始めてしまった。
少しだけ聞こえてきた内容から察するに…。
俺は向こうの方々との方が、話が合いそうな気がしてきた。
やっぱりいいな。あの人達。
今度ゆっくり飲みにいきたいな。
(鵜骨)
皆は見てればいいから気楽さね~!
オラあの人と戦わなきゃならんのよ~!
もうどうしたらええのさ~!
オラなんて~!
いつも家畜達を鞭で誘導してるけど~!
今なんて、あのお姉さんに鞭で打って貰いたいとすら、思い始めてるんだど~!
オラ、もう試合やめて、あの人に鞭渡していいかな~?
皆もう負けてもいいしょ~?
(グランファーマーズ)
アッハッハッハ~!バカ言うでね~!
鵜骨どんたら、ホンマにアホさね~!
相変わらずのお調子者や~!
それこそ村さ帰れんて~!
嫁子にも顔合わせられんべさ~!
大会で綺麗な女性が相手だったから、自分の鞭渡して叩いて貰いました~!
試合に負けたけど、悔いはないです~!
なんか違う世界が見えました~!
おっとうは、都会で男になって来ましたよ!
ギャハハハハハ~!
言えるわけなかて~!
村中から、そうスカンやて~!
オラ達も庇いきれんて~!
子供さイジメられっぞ!
鵜骨のおっとうは、都会で変態になったって~!
農業組合の金使って変態になって帰って来たて!
オラ達も子供さ言うぞ~!
ええか~!鵜骨ん家のおっとうは、変態じゃ~!
子供にも近づいたらイカン!
変態さうつるぞ~!ってな~!
ギャハハハハハ~!
うつるうつる~!鵜骨の変態さうつるぞ~!
皆、鵜骨の家には近づくな~!
家畜にもうつってるかもしれんぞ~!
(鵜骨)
おまんら止めれ~!
おまんらが誰にも言わなければ広まらんじゃろ! けんど、おまんらの様子見てると~。
絶対面白がって村中に話すやろな~!
くっそ~!せっかく都会さ来たのね~!
男のお楽しみも叶えんと帰るのか~!
つまらん!ホンマにつまらん!
くそ~!こうなったら、真面目に戦って評価さ上げちゃる!
鵜骨のおっとうは、強いんやて!
村中に武勇を広めたるわい!
鵜骨さんと、仲間達の楽しそうな会話も落ち着いたようだ。
うん。さっきも言ったけどイジメはダメだよね。
子供のためにもがんばれ!お父さん!
鵜骨さんは腕捲りをし、マリエさんを真剣に見つめ始めた。
いよいよ本格的なバトルが始まりそうだ。
(鵜骨)
お姉さん!
あんた性格悪いけど、とびきり美人じゃね!
出来れば戦いたくなか!
まあ、出来れば鞭で叩いて欲しいけんど(小声)
けんど!オラには村で待つ嫁子がいる!
今は忘れていたいけんどな(小声)
だから、戦わなきゃならん!
申し訳ないけど、きちんと戦って!
勝たせて貰う!
そして村中に響かせるんや!
オラは鞭で打たれるのが大好きな!
無類の変態やってな~!
鵜骨さんは、そう叫ぶと。
マリエさんに向かって駆け出した。
あれ?なんか後半おかしくない?
(グランファーマーズ)
ギャハハハハハ!
鵜骨どん!鵜骨どん!
大事なとこ間違ごうてる!
本心出てもうてるぞ~!
最後本音が混じっちまってる!
本心隠さんと話しちまってるぞ!
アッハッハッハ~!
変態じゃ~!それじゃタダの変態じゃて~!
グランファーマーズの皆さんは大爆笑だ。
ホントに仲が良さそうで羨ましい。
鵜骨さんはどうやら、仲間内ではいじられキャラらしい。
(鵜骨)
間違えてなか!
本心隠さんと戦うと決めたんさ!
オラは勝って!
このお姉さんに、鞭で打って貰うんや~!
くらえ! 必殺! 双頭鳥の尾!!
鵜骨さんは、力強く鞭を振るった。
グオオオ~~!!
鞭は二又に分かれ、唸りをあげてマリエさんに向かう。
(マザー)
!?
思った以上に、鞭のスピードが速い!
突然二又に分かれることで、マリエさんの意表を突いている!
きちんと見極め、かわしきらないと!!
(悠)
大丈夫だ!マリエさんなら…。
バシン!バシン!
(マリエ)
クッ…!し、しまった…!
二又の鞭がマリエさんをとらえた。
マリエさんは、鵜骨さんの攻撃をかわすことが出来ず、まともにダメージを負ってしまった。
マリエさんは攻撃を受け、その場に膝をついた。
(悠)
バカな!?マリエさんがまともにくらった!?
速すぎて避けられなかったのか!?
いや、違う…。
避ける素振りすらなかった!!
あまりに意表をつかれて体が固まったのか!?
あの冷静なマリエさんが!?
(リナ)
ちょっとちょっと!
マリ姉!?なんで避けないのよ!?
いくらびっくりしても!
いつものマリ姉なら、せめて片方だけでも避けられたはずでしょ!?
どうなってんの!?
ほとんど棒立ちだったじゃない!?
避ける素振りすら取れないなんて…。
マリ姉に何があったって言うの!?
俺達はマリエさんを見る。
マリエさんは、右の肩と左足にダメージを受けた様だ。
どちらも赤く腫れ上がり、血が流れ出ている。
(マザー)
まさか…。私が試合開始前に話した通り…。
やっぱり気合いが入りすぎて、どこか集中力を欠いてしまっているのでは!?
あのマリエさんが、あれだけ無防備に相手の攻撃を受けるなんて…。
普段の彼女なら有り得ない!
やっぱり何かあったんですよ!
(悠)
確かに変だ…。
試合開始前は大丈夫と言っていたけど…。
マリエさん。やっぱり力が入りすぎていたのか?
それにしても、相手の初撃を…。
全てまともにくらっちまった…。
しかも、左足と利き手の右肩かよ。
これからの戦いも、滅茶苦茶不利じゃねーかよ。
くそ!どうする!?
最悪こっちからギブアップも…。
(リナ)
ヤバイよ。マリ姉…。
相手は、近~中距離タイプなのよ!?
近付けないで、遠距離から攻撃するのがセオリーでしょ!?
相手から離れるためにも、どんどん動き回らなきゃいけないのに!
よりにもよって、足を怪我するなんて…。
どうしよう。このままじゃマリ姉!
かなりマズイじゃないの!
俺達はマリエさんを見つめる。
マリエさんは、右の肩付近を抑え、かなり痛みを感じているようだ。
苦痛に顔を歪め、鵜骨さんを睨み付けている。
マリエさんの肩から血が滲み出る。
俺達はマリエさんを信じ、戦況を見つめることしか出来ない。
マリエさんは、この苦境をどうやって!?
どう考えても、絶対不利な状況でしかない。
でも、彼女なら…。
彼女ならどうにかしてくれる。
希望にも似た期待を、俺達は思い描くことしか出来ずにいた……。