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おやじ妄想ファンタジー   作者: もふもふクッキー
104/114

○ 大地の章 帝の賭け事Ⅱ

 ○ 決断の理由


 マリエの手により、ベルガリスが提示したカードが捲られた。

 そのカードを見て、その場にいた誰もが驚愕する事となる。


 (悠)

 「大地の帝が最初に出したカード!」

 「それは!」

 (レイナ)

 「ダ、ダイヤの7!」

 「す、凄い!絵柄は違っていましたが!」

 「数字までピッタリです!」

 (アナベー)

 「オー…。アメイジング…。」

 「信ジラレマセーン…。」


 マリエが裏返したカード。

 それは間違いなくダイヤの7のカードであった。

 1をコールし、7を出したベルガリス。

 間違いなくダウトが成立している。

 この勝負、マリエの驚異的な読みの通り。

 まさかの、最初の一枚目にて、あっさりと決着がついてしまった。


 (ベルガリス)

 「おいおい。マジかよ…。」

 「この姉ちゃん…。マジでたまんねぇな…。」

 

 ベルガリスは両手で髪をグシャリと掴みながら、まるで敗北を喜んでいるかのように、体を震わせニヤニヤと笑っていた。


 (アナベー)

 「ワオ…。アンビリーバボー…。」

 「ベルチャンガコンナニアッサリ…。」

 「アノオ姉サン、クレイジージャナクテ、ワンダフルガールダッタネー…。」


 アナベーも開いた口が塞がらない。

 呆然とその場に立ち尽くしていた。


 常にギャンブルの世界で生きる二人だが、流石にこの決着は想像できなかったようだ。

 二人とも、最初の一枚目を平然と捲ったマリエの度胸に、驚きを通り越して呆けてしまっている。


 しかし、皆がマリエに視線を向ける中。

 マリエ本人だけは裏返したカードを見つめ、納得のいかない表情を浮かべていた。


 (マリエ)

 「残念ね…。絵柄は外してしまった…。」

 「まあ、3択までしか絞れなかったから、あらかじめ可能性は感じていたけど…。」

 「それでも柄にも、ある程度の自信は有ったから、やはり少し悔しいわね。」

 「私もまだまだ…。読みが甘いか…。」


 そう述べると、マリエは一度ため息をつき。

 手に持っていたすべてのカードを、テーブルの上に放り投げた。


 (マリエ)

 「私も若干納得はしていないけど。」

 「一応ルール上は、勝ちは勝ちでしょう?」

 「こちらの言うこと。きっちり聞いて貰うわよ。」

 「確かそういう約束よね?大地の帝さま?」


 マリエは、イスに腰を掛けたままのベルガリスを悠然と見下ろしている。

 ベルガリスは体を震わせ、心底嬉しそうに笑い続けていた。


 (ベルガリス)

 「クックックッ…。本当にたまんねぇな。」

 「最高だぜ、この姉ちゃん。」

 「俺の読み違いを含めても、すげえ度胸だ。」

 「こんな楽しい相手は久しぶりだぜ。」

 「ああ、いいぜ。約束だ。」

 「俺はあんたの言うことなら何でも聞いてやるよ。」

 「死ねと言うならきっちり死んでやる。」


 ベルガリスはイスに座ったまま、マリエを嬉しそうに見上げている。

 ゲームの結果により、二人の立場が一瞬にして逆転してしまったようだ。


 勝者が敗者を見下ろす構図。

 勝つか負けるか。勝者と敗者しか存在し得ない。

 それがギャンブルの世界。


 ここでは勝者こそが正義。

 勝つことが全てなのだ。


 マリエは扇で口許を隠し、何やら考え込み始めた。


 (マリエ)

 「どうしようかしら…。」

 「あんなことやこんな事…。」

 「何だかワクワクしてきたわ…。」


 恐らく、ベルガリスに提示する願い事を考えているのであろう。

 彼女の口許もまた、ベルガリス同様、歓喜の笑みを隠しきれなくなっている。


 (ベルガリス)

 「なあ、姉ちゃん。」

 「言うことを聞くことについては異論ない。」


 「だが教えてくれ。あんたはどうして、初手で俺がハートの7を出すと思ったんだ?」

 「それと何だ?3択まで絞ったって?」

 「それはどんな3択なんだ?」

 「俺の考えを、何処まで読んでダウトを宣言したのか…。」

 「実に興味が湧いて仕方がない。」

 「頼むからそこは教えてくれないか?」


 ベルガリスは不気味な笑みを浮かべ、マリエに尋ねる。

 負けた事は特段気にも止めてはいない。


 しかし、マリエの思考は気になる。

 彼女の思考力を計りたい。


 彼の言葉からは、マリエに対し、少なからず興味を持ち始めていることが伝わってくる。


 (マリエ)

 「そうね…。外れた考察を得意気に話す。って言うのも恥ずかしいんだけど…。」

 「まあ、内容によっては冥土の土産になる可能性もあるし…。」

 「いいわ。特別に教えてあげる。」

 「ただ、考察と言うより推察に近いわ。」

 「可能な範囲で考えたことだから、あまり期待はしないでね。」


 マリエはパシンと、手で扇を閉じ。

 ベルガリスを見下ろす。


 (ベルガリス)

 「そりゃあどうも…。」

 「逆に期待しちまうね…。」

 「本当に恐ろしい話だが…。」


 ベルガリスも早く中身を知りたいと言った表情で、マリエに手を伸ばし話を促している。


 それを見てマリエもゆっくりと話を始めた。


 (マリエ)

 「まあ、推測と結果論の様な話になってしまうけど…。」

 「私の考えでは、貴方は始めから勝敗なんて二の次だった。この場を楽しめればそれでいい。」


 「そう考えていると判断した所から、私の推察は始まっているわ。」


 その言葉を聞き、一番に反応したのは他でもない。同じクランの悠であった。


 (悠)

 「はあ!?ちょっと待って!マジですか!?」

 「大地の帝が始めから勝敗を気にしていなかった!?」

 「そんなバカな話有りますか!?」


 「あれだけ俺達を威圧して、なにかと揺さぶりをかけておきながら!?」

 「本当は負けてもいいと思ってたって!?」

 「どうしてアレを見て、そんな考えが浮かぶんですか!?」

 「明らかに潰しに来てるって雰囲気だったじゃないですか!」

 「むしろ殺る気満々だったじゃないですか!」


 「俺はねぇ!大地の帝は、俺達が心底気に入らなくて!」

 「ゲームでボッコボコのギッタギタにして!」

 「さっさと俺たちを追い返して!」


 「その上で、俺を!この親から産んで貰った大切な体を!」

 「そこにいる大男の!」

 「何もかもがでかそうな大男の!」

 「そう!アナベーの性奴隷にして!」

 「心身ともにボッコボコにして!」

 「灰人になった俺を晒し者にして!」

 「充分楽しんだとか言って笑って売り払う!」


 「それ位まで考えてると思ってたのに!」

 「頭の中で汚される事も覚悟してたのに!」

 「ちょっとドキドキもしてたけど…。(小声)」


 「どうしてそんな考えが浮かんでくるんですか!?」

 「もう前提の段階で、俺にはチンプンカンプンだよ!」

 「一体日頃から、人の何を見て生活してるんですか貴女は!?」


 ベルガリスは本気で自分達を追い返そうとしている。悠は心の底からそう信じきっていた。

 その前提すらマリエはアッサリと否定した。

 悠は既にこの段階で、観察力のレベルの違いを感じとり。

 ガックリと肩を落としてしまった。


 (悠)

 『本当に何なの…。この人の頭…。』

 『一体中身どうなってんの…。』


 落ち込む姿が哀れに写る。

 そこでレイナが優しく、悠の肩に手を添えた。


 (レイナ)

 「だ、大丈夫ですよ!悠兄さん。」

 「わ、私も大地の帝さんはおっかなくて…。」

 「私達を追い払うつもりだと思っていましたから…。」


 「たぶん、普通の人には分からないんですよ。」

 「マリエさんだから分かった。」

 「そう考えて割り切りましょう…。」


 「じゃないと…。きっと、これから。」

 「もっとまざまざと、差を見せつけられる事になりそうですから…。」


 レイナもレイナなりに落ち込んでいる様だ。

 やはりマリエの観察眼は、3人の中でも群を抜いている。

 これから告げられるマリエの考察により。

 二人の考えは確信へと変わっていった。


 (ベルガリス)

 「それで?どうして俺が勝ちにこだわって無いと考えたんだ?」

 「後ろの連中が言う様に。」

 「ある程度は突っぱねたし。」

 「それなりにやる気は見せたつもりだったが。」


 その言葉を聞き、マリエは逆に不思議そうな顔を浮かべた。


 (マリエ)

 「貴方の方こそ、変な事を聞くのね?」

 「貴方が自分で言っていたじゃない?」

 「ギャンブルは、《今を楽しむためにやるものだ》って。」

 「《今が楽しいなら死んだっていい。》って。」

 「貴方がゲームの前に言い出した事よね?」


 (ベルガリス)

 「ん?確かにそんな事を言ったかもな。」

 「それで何故、俺が今回の勝負にこだわっていないと?」


 (マリエ)

 「そうよね?確かそう言ったはず。」

 「だから私は、貴方が勝敗にこだわっていないと判断したんだもの。」


 「勝ち負けよりも楽しさを優先する。」

 「貴方はそう言ってのけた。」

 「それがギャンブルの在り方だと。」


 「恐らくあれは本心から出た言葉…。」

 「飾らない貴方の心からの思いだった。」


 「何故なら人は、好きな物について話す時程。」 「やっぱり饒舌になりやすい生き物なのよ。」

 「そして、貴方が今日私達に会ってから一番生き生きと話をしたもの。」

 「それは、やっぱりギャンブルへの心構えだった。」

 「私達への脅しの様にも取れたけど…。」

 「あれが本来の、貴方のギャンブルへの心構えだったのでしょう?」


 「そう感じたから、私は貴方が普段から勝ち負けよりも快楽を優先していると判断した。」

 「恐らくそれは、今回も例外ではない。」

 「いつもと何も変わらないギャンブルだもの。」

 「特段例外にする理由もない。」


 「だから私は、恐らく貴方は今回のゲームも楽しもうとする。」

 「勝ち負けよりも、楽しさを優先してくる。」

 「単純にそう考えたのよ。」


 (ベルガリス)

 「ふ~む。なるほどねぇ…。」

 「俺の脅し文句から、俺の本質を読み取ったと言いたい訳か…。」

 「あの言葉の中に、俺の普段からの姿勢が現れている。」

 「何故なら一番楽しそうに口が回っていたから。か…。」

 「まあ、確かに面白い考察ではある。」

 「色々と普段から人を見ている様には思えるな。」

 「ただ、あの短時間で判断するには、若干早計過ぎるんじゃないか?」

 「まあ、いいや。取りあえず続けてみてくれ。」

 「話は全部聞いた後にする。」


 ベルガリスに促されるまま、

 マリエの考察は続く。


 (マリエ)

 「では、ギャンブルにおける楽しさ。」

 「つまりは快楽とは何か。」

 「私が考えた結論は、当然勝つこと。」

 「ギャンブルにおいては勝つ事が全て。」

 「これも貴方自身が口にしていたわね。」


 「ただし、普通にゲームをして勝つ。」

 「そんなやり方では、貴方くらいの人間には満足とは言えないはず…。」

 「快楽と呼ぶにはあまりにも遠いわ。」


 「なら、考えられる勝ち方は何か。」

 「私は2つの方法を考えた。」


 「相手が絶望する位に大勝するか。」

 「相手をおちょくって余裕で勝つか。」

 「勝つ方法としては、この2つが適切と判断した。」


 「そして今回のゲームの性質を考えると…。」

 「前者のやり方は、あまり当てはまる勝ち方には思えない。」

 「コインや点数による勝負ではないからね。」


 「だから私は、貴方が後者の勝ち方を選ぶと考えた。」

 「私を揺さぶり、小バカにして勝つ。」

 「これが貴方が一番楽しい勝ち方。」

 「より快楽に近い勝ち方だと私は判断した。」


 (ベルガリス)

 「なるほどねぇ…。確かに俺はあんたをおちょくるつもりだったよ。結果は負けたがね。」

 「じゃあ、おちょくるとして、何故始めから違うカードを出すと思ったんだ?」 

 「おちょくるなら、他のやり方もあるだろう?」


 (マリエ)

 「確かにその通り。」

 「やり方なんて幾らでもあるわ。」

 「だからここからはもう、ほとんど推論ね。」

 「かなり私の主観が含まれるわ。」


 「このゲームを心底楽しむと言うなら。」

 「私もたぶん、相手をおちょくって勝つ。」

 「貴方も同じ様に考えるだろう。」

 「私はそこまでの確信はあった。」


 「そして、このゲームで相手をおちょくるには、2つの方法があると考えた。」 


 「始めから全てコールと違うカードを出す。」

 「若しくは、最初のカードや要所の場面。」

 「そこで全然違うカードを出す。」


 「カードを伏せて提示するというゲームの性質上、相手に負けに関するインパクトを与えるのは、どうしてもゲーム終了後になる。」


 「つまり、勝敗が決した後、おちょくられていた事を強く印象に残す必要がある。」

 「それなら、この2つの手が一番印象に残り易い。インパクトが強いと私は考えた。」


 「開いてみたら全部違うカード。」

 「若しくは最初や要所は全て違うカード。」

 「このどちらかを選ぶ事で、相手の敗北感はより鮮明になる。」


 「けれどこの2つだと、後者の《最初や要所だけ違うカード》は若干インパクトに欠ける。」

 「勝負をより一層楽しむなら、全て違うカードを出すだろうと私は考えた。」


 「けれど同時に、《最初や要所だけ違うカードを出す》場合でも、《全て違うカードを出す》に等しいレベルで、相手に強いインパクトを残す方法が、たった一つだけある事にも気が付いた。」


 「たった一枚だけ。切り札であるが故に。」

 「最初に出してしまう事で、相手に強いインパクトを与えるカードの存在。」


 「これに気付いた時、私は一枚目に出されるカードを3枚に絞った。」


 (ベルガリス)

 「実に明快な考え方だな。」

 「相手をバカにする手段に長けた人間の考え方だ。」

 「そして何より、俺の思考と一致している。」 

 「あんたも心底ギャンブラーなのかもな。」

 「まあ、ヤバイ方のギャンブラーだがね。」


 「しかし、聞いていてゾクゾクしてきたよ。」

 「ここまで回路が一致しているとはね。」


 「それで?残った3択とインパクトを残す方法は何だと思ったんだ?」

 「もう大体分かっているが折角だ。」

 「最後まで答えを聞かせてくれよ。」


 (マリエ)

 「《最初と要所で違うカードを出す》。」

 「このやり方で、相手に強いインパクトを残す方法。」

 「これはつまり、始めに切り札を使う事。」


 「つまり、最初の一枚目にジョーカーを使う。」

 「これならゲームを終えた時のインパクトはかなり大きい。」


 「切り札を最初に捨てるなんてものは愚行。」

 「本気でゲームをしている普通の人間は、まず考えないはずだから。」

 「だから私の中で、最初の一枚の可能性に、まずジョーカーが残った。」


 「もしかしたら、普通の人が相手なら、貴方はこの手段を選択したのかもしれない。」 

 「最初にジョーカーを出す。」

 「これには相当なインパクトを伴うもの。」


 「けれど今回、相手が私である場合に限り。」

 「貴方の中で、この方法でも、若干インパクトの強さに疑念が残った。」


 「何故なら…。」

 「それは私が、トランプの知識に乏しい相手だと知らされたから。」

 「先に話していた通り。私にはトランプでのゲーム経験がない。」

 「貴方はそれを、ゲーム前に事前情報として知らされていた。」


 「トランプの経験がない。つまり、ジョーカーでゲームの勝ち負けが決する場面を。」

 「重要な局面で、ジョーカーが大活躍する場面を、私は経験したことがないと推測できる。」


 「つまり、ジョーカーの有り難み。」

 「ジョーカーの重要性を、完全に理解しているとは言い切れなくなってしまう。」

 「ジョーカーの重要性を経験していない人間が、一枚目にジョーカーが出された事を知った時。」  「果たして、本当に強いインパクトが残せるのだろうか…。」

 「貴方にはそんな若干の疑念が残った。」


 「なら、どうするか。」

 「ジョーカーは念のために取っておく。」

 「使わないというからかい方もある。」

 「ここで私の中で、一枚目のジョーカーの可能性は極めて低くなった。」


 「そして、《最初から全て違うカードを出す》方を選択。それで後からバカにしてやろう。」

 「貴方はきっとそう考えた。」


 「幸い手元には7のカードが4枚揃っていた。」

 「7はカジノを象徴する数字。」

 「ラッキー7。スリー7。」

 「7はカジノで幸運を象徴する重要な数字。」


 「ここで私は、7のカードを最初に出す可能性が極めて高いと判断した。」

 「残ったのはジョーカーと7の絵柄の選択。」

 「絵柄は別に考慮しなくて良かったんだけど、何処まで見抜いたかを伝える上で、私の中では重要な要素だった。」


 「これは持論なんだけど」

 「私はキザな男程、無意識に赤色に手を出しやすいと考えているの。」

 「だから7の中で、出すならハートかダイヤのどちらかに絞っていた。」

 「周りに帝として尊敬される人間が、自己愛に乏しいとは思えなかったからね。」


 「そして、3枚に絞った中で、私は最も自己愛に満ちていると判断できる、ハートの7を選んだ。」

 「ナルシストな男なら、ハートを選ぶ。」

 「ここは少し安直すぎた様ね。」

 

 「よく考えてみれば、ダイヤもまたカジノを象徴する絵柄ですもの。」

 「貴方の中では、自己愛よりもギャンブル愛の方が強かったのね。」

 「私の読みもそこまでは及ばなかった。」

 「だから若干の悔しさは残るわね。」


 「さて、以上が一応私が最初にダウトを宣言し、ハートの7を選んだ理由。」

 「長くなってごめんなさいね。」

 「けど、どうかしら?近からずとも遠からずって所ではなくて?」

 「それなりに筋は通ってたと思うのだけど。」


 ・・・・・。


 部屋の空気が水を打ったように静まり返った。

 これは当然。

 マリエによる並外れた思考形成によるものである。

   

 あの短時間でよくぞそこまで…。

 正解不正解は当然あるだろう。

 もしかしたら、不正解の部分が多いのかもしれない。


 だが驚くべきは、その思考の瞬発力。

 頭の回転の速さである。

 情報を得てから、取捨選択し、決断する。

 そこに至るまでの論理性。

 そこにもきっちりと筋道が付いている。


 味方ながらにこれ程とは…。


 悠とレイナも、最早言葉を失っていた。


 (マリエ)

 「一応、以上が私の結論だけど…。」

 「どうかしら?もしかしてご明察?」


 マリエは扇を開き、微笑む口許を隠した。


 ベルガリスは一度下を向き、ため息をついた。

 そして、顔を上げてニヤリと微笑んだのだ。


 (ベルガリス)

 「ああ。ご明察だ。」

 「気に入ったぜ姉ちゃん。」

 「約束だ。あんたの言うことなら、何でも聞こうじゃねぇか。」


 (悠)

 「マジかよ!マリエさんスゲエ!」

 「あんたやっぱり天才だよ!」

 (レイナ)

 「凄いです!マリエお姉さん!」

 「美人で頭も良くて!もう完璧です!」

 「一生着いていきます~!!」


 悠とレイナは拳を握りしめ、マリエの後ろで小躍りして喜んでいた。


 (アナベー)

 「ワオ!本当ニアメイジングネ…。」

 「アノオ姉サン…。本当ニベルチャンヲ、説キ伏セチャッタヨ…。」

 「コンナコト…。本当ニ前代未聞ネ…。」


 アナベーもただただ驚くばかり。

 マリエの完全勝利の様だ。


 かくして、マリエの活躍により。

 大地の帝に取り入る事には成功した。


 ディープインパクトの3人が、

 大地の帝に求める協力とは果たして…。

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