まじ、ホームシック。
今回はゲーセンのお話です!
イチゴパフェを食べてからというものお互い甘党だということを知って意気投合した。
「また、行きたいですね!」
「いや、近くだしいこうと思えばいつでも行けるぞ。」
「じゃあ、その時はまた宏一郎さんも一緒に!」
希望の眼差しで「ぜひ!」とせがまれては断るわけにもいかまい。
「まぁ、そのうちな。」
「はいっ!」
ゲーセンは喫茶店から少し離れた駅の近くにある。
話を持たせないとな。
「そういえばさ、いそうろ…ん゛ん、藤堂って何で家に来たんだ?」
前から気になっていた質問を何気なく聞いてみると
藤堂はいきなり立ち止まった。
やばい、地雷踏んだか?
「あ、別に言わな」
いいかけた途端。
「…女の子には秘密がたくさんあるのです♪」
ニコッと笑ってまた歩き出した藤堂に俺は違和感しか感じなかった。ただ、これ以上追求するのは止めよう。
これだけは胸のどこか奥でタブーとして閉じ込めておいた方がいいと思った。
「もうすぐ着くぞ。」
そう伝えると藤堂は「わぁ!」とかなんとか言いながら
るんるん歩いてついてきた。
もうさっきの違和感は完全に消えていた。
ゲーセンへ入るや否や真っ先にリズムゲームエリアへと走っていった。
待って、見失っちゃう。
追いつくとそこには太鼓の超人をキラキラさせた目で見つめてる藤堂。
何も言わずに100円を入れてあげると「いいのですか!?」
とさっきの倍、目をキラキラさせながら言う藤堂。
「その代わり対戦な。」
別に代わりと言う訳でもないのだが対戦を申し込むと
「挑むところです!負けませんよ!」
と闘志を燃やしていた。
選曲は一度もやったことのない藤堂に合わせるため好きな曲だと言う幻想即興曲にした。
やりながらチラッと藤堂を見ると画面をしがみつくように観て必死にやっていた。
かんたんにすればよかったかな。(ふつうにしてしまった)
「あっ!」とか「きゃ!」とか「う゛っ!」など
叩ききれなかったときの反応が面白くて手加減するのを忘れていた。結果、俺の完全勝利。
藤堂は黙りこみ俯きながらぷるぷると体を震わせている。
「お、おーい。」
「…せん……。」
「?なんてった?」
「……次は、次は負けません!!」
まさかの負けず嫌いだったという事実とともに次も一緒にやらないといけないことになってしまった。
レースゲームやシューティングゲームいろいろ付き合わされた。
「やりました!やっと勝てました!やった!」
やっと負けれた…。俺もゲームは得意な方ではない。
その俺に負けてしまう藤堂はつまりゲーム音痴。
疲れた…。もう帰りたい。まじ、ホームシック。ママー。
などとふざけているうちに藤堂を見失ってしまった。
周りを見渡してみると藤堂は何かに視線をおくっていた。
その視線をたどってみるとそこに映ったのは同い年ぐらいの女の子たちだった。
楽しそうに、きゃッ、きゃッ、言いながら一緒に撮したのだろうプリクラを覗きあっている女の子たち。
それを見て羨ましそうに、けど切なく笑っている藤堂見ているとこちらまで切なくなってくる。
気づいたら藤堂の手をとってプリ機の中に入っていってしまっていた。
「こ、宏一郎さん?」
不信がられないように今できる精一杯の笑顔で
「今日の記念だ。」
と言うと藤堂は満面の笑みで
「はいっ!」と答えた。
―パシャ――
家に帰る為の帰り道。
空をみるともうきれいな夕焼けになっていた。
桜子ちゃんに素敵な思い出が出来ました!