俺の腹はブラックホールか。
「はじめまして!私、藤堂 桜子と申します!」
意気揚々と自己紹介をしてくれたこのお嬢さんが
俺んちにほーむ、ほーむ…す…ホームスなんちゃらをする居候さんだ。
「あ、どうも。えっと七瀬 宏一郎です。はじめまして。」
一応挨拶をし、家に入るよう促した。
「お邪魔します…。」
リビングへ通し、紅茶があったので適当に淹れて俺流のおもてなしをしようとしていると居候さんと目があった。
「あ、ごめんなさい!別に物珍しさで見ていたわけではないんですっ!」
物珍しさで見てたんかい。と心の中でつっこみをしつつ、
茶菓子と一緒に紅茶を持っていった。
「粗茶ですが…。あ、あと粗菓子ですが。」
あれ?粗菓子ってなんだ。
すると紅茶には手をつけたものの、なかなか茶菓子には手をつけない居候さん。といっても煎餅だけど…。
さすがに紅茶と煎餅は合わないか、かといって他に無いしな。
しかも気まずい…。
何か話した方がいいよな。
「あの、煎餅嫌いでした?」
もっと他の話題にしたかったけど他に思い付かなかった。
「あ!いえっ!そんなわけでは…せ、せんべいって言うんですね。この丸いの…。」
へ?煎餅のことを知らないだと?もしかして外国人か?
「あ、はい、えっと美味しいですよ、パリパリしてて。」
勧めてみると居候さんは煎餅を手に取りパリッと食べた。
「あ…おいしい…。」
口に手を当ててモグモグと食べている姿がウサギみたいだ。
その後、煎餅のおかげで少し緊張がなくなったのでいろいろな味の煎餅を一緒に食べていたらあっという間に午前12時をまわっていた。
「もう、こんな時間か。あの、部屋へ案内します。」
席を立ち、荷物を持ったあげようと一番大きいかばんを持ち上げたら指が折れそうになった。どうやってこれ抱えてきたの?え?俺が軟弱なだけ?
「だ、大丈夫ですか?重いですよ?やっぱり私が持ちましょうか?」
「平気、平気です。こ…んなのへ、へっちゃらなんで…」
ここはやっぱり男として見栄張りました!
二階へと荷物を運び、俺の隣の部屋、元姉が使ってた部屋に案内した。
「隣、俺の部屋なんでなんか困ったことあったら言ってください。」
「あ、すみません、何から何まで…。」
他の部屋の案内を終えて達成感を味わっていると、 急に腹が減った。さっき、あんなに煎餅食べたのに。
俺の腹はブラックホールか。
「そういえば…お腹、空きません?」
一応尋ねてみると
「言われてみれば、空きましたね!」
ニコニコと愛想よく笑って答えた居候さんを見て思い付いた。
「じゃあ、町の紹介がてら、ご飯食べに行きましょうか。」
俺がさっきからグゥ、グゥ、と鳴いている自分の腹のために提案をすると元気よく返事が返ってきた。
「はいっ!」
メガネっ子が大好きです!