めがね
「メガネってさエロいよね」
「はい?」
「だから、メガネってエロいよね」
「メガネはエロくない」
「ああ、ごめんごめん。メガネをかけてるDKはエロいよね」
「DKって何…?」
「男子高校生」
「ああ、うん。そうだね」
「良く考えてみてよ。メガネひとつで男子はかわるんだよ。特にお勧めは定番の黒縁メガネですね」
「…何で黒縁?」
「自分でも、っていうか女子は皆黒縁は好きだと思っているっから。そのこと前提で話は進んでいるから」
「ふーん」
「想像してみてよ。白いワイシャツに黒いズボン。あ、ちなみに腕まくりは必須だから。第二ボタンくらいまで外されて少しだけ鎖骨が見えるかくらいのギリギリ」
「もはや変態」
「だまらっしゃい。それだけでもおいしいのにさらに視線を上にあげるとそこには…」
「…そこには?」
「黒いメガネをかけて眼鏡の奥できらりと光る冷たい瞳」
「変態。今ここで命名する。変態」
「そのままの状態で軽く蔑んだ眼をされたら昇天してもいい。ちょっとため息交じりの声とかで『こっちみんな』とか冷たくののしられたら死んじゃう」
「…なんでこんなのと親友やってこれたんだ」
「それは一人でいるのが嫌だった千絵がとりあえず誰かと居たいから声をかけまくっていたら、同じく一人だった私にたどり着いたからでしょ」
「ああ、うん。あれは人生の汚点だった」
「でも私も助かったんだよねー実は」
「そうなの…?」
「そうそう。一人でさびしかったし、辛かったし…」
「…実は?」
「一人で男子ながめてウハウハしてるのは寂しかったし、この高鳴る気持ちを誰にも話せなかったのも辛かったし…」
「………」
「だから千絵でよかったーって思ってるんだー」
「私は最悪かなー」
「だって、なんだかんだ言っても話は聞いてくれるし付き合ってくれるし。それに…、」
「……」
「千絵、黒縁メガネだし!!」
「…想像はできてたから何も言わなかった」
「私のこと理解してくれてるところもだから安心して!」
「別に心配してないから」
「……」
「…なによ人の顔じっと見て」
「これ言ったら千絵怒るかもだけど、」
「……」
「私ね、」
悪気のない顔で思ったままを口にする。
「黒縁も好きだけど、ツンデレも大好きなんだ!」
お願いだからめがねだけにして。