6話 入学式1
完結までの骨組みは作り終えましたが、肉付けでつっかかっています。亀更新になってしまいそう、いや、なると思います。読んで下さっている皆様、申し訳ありませぬ。
ブラックチェックのズボン、濃紺のブレザー・・・俺は今、桜華学園高等部の制服を着ている。そして目の前には洋館のような純白の校舎(中はどうなっているのかはわからないが、おそらく外観同様に美しい純白で構成されているのだろう)、玄関前に張り出された掲示板に群がる生徒たちがいる。掲示板に近づき内容を確認する。俺は・・・Aクラスか。この学園の中等部と高等部の生徒たちはランク付けされている。Aクラスは頭脳明晰で、運動神経の良い猛者で構成されるエリートクラス(性格が考慮されていないところが不満だ)。Fクラスは全身筋肉のスポーツ馬鹿で構成され、Bクラスはガリ勉もやし、C~Eクラスは足軽たちで構成されている。
「おはよう、奏」
「おはよう、アヤ」
家族以外で一番頻繁に見る顔が人だかりを掻き分けてこちらへと来る。
「お前ここでも男子の制服なのか?」
「うん、お父様がね・・・そっちの方が似合うって。それに、これの方にもう慣れちゃったし」
そう言うと彼女は掲示板に張られたクラス表を眺め始めた。
「あ、私もAクラスだ。またよろしくね!」
また俺をドキッとさせる笑みを浮かべてきた。あの晩以来、こいつは俺に対して笑顔をよく向ける。
「何でお前は最近、俺に露骨なまでのアプローチをするんだ?」
こいつは、俺にベタ惚れしているに違いない。どんな女でもクラクラさせちゃう甘いマスク、細身ながら筋肉のしっかりついた身体、マリア様並みの慈悲深き心。・・・・・・そんな八面玲瓏、品行方正な俺に惚れてしまうのは至極もっともなことだ。ああ、俺はなんて罪な男なのだろう・・・。
「えと・・・アプローチだなんてしてないよ。ただ・・・」
「おはよう!ふたりとも!」
アヤが何かを言いかけるが、KYな親友により、その続きが語られることは無くなった。
「おはようKY」
「おはよう、涼」
「ちょ!朝からひどくない!?」
なんで俺がKYなんだよー!とブイブイ言っているが無視する。無視しつつ、玄関に俺が向かおうとすると、アヤが言ってきた。
「奏、要は?」
まだ来ない要を心配しているのか、尋ねてきた。俺はその質問の答えになるであろう場所を、人差し指で指し示す。
「えっ?」
「うん?」
疑問の声と同時にアヤと涼がその方向を見た。その方向にはひとつの大きな桜と、それを囲むようにある沈丁花たちが咲き誇っていた。回答はその木々に挟まれたスポットで、その光景を見たアヤはまたもや頬に手を当てると、「いいなぁ~」などとほざいた。
「かはぁ~!」
涼は顎が外れたのではないのかというほど、口をあんぐりと開くと固まった。二人が見たのは、見ているとこちらの方が恥ずかしくなってしまいそうなものだった。髪を茶色に戻した(・・・)、だらしなくデヘヘ~という顔をしたTHEメガネと、THEメガネの腕に自身の腕を絡め、果実を惜しみなく押し付ける我が姉。そんなイチャイチャパラダイスな光景である。だから俺は見ないようにして玄関に向かおうとしたってのに・・・アヤのやろう・・・・。
「あの通りだから放置して、教室いこーぜ」
俺の言葉にアヤは、うふふふ~な状態からハッと我に戻ったみたいで、「わ、わかった」と頬を染めながら頷いた。お前はあの光景でいったいどんな妄想をしていたんだ?気持ち悪いやつめ。
「おい涼!行くぞ!」
口から砂糖を吐き出しそうなままでいる涼に声をかける。
「うん?あれ?奏はあれ見てもなんとも思わないのか?」
再起動した涼はちょっと複雑な、イラつくことを言ってきたので横目で一瞥すると、無言のまま玄関へと向かった。
下駄箱で俺たちは新しいスニーカー型の上履きに履き替えると、教室のある4階に向けて階段を上った。廊下も階段も、壁も外観同様に白かった。白い石、おそらく大理石のようなもので作られているのだろう・・・とてもきれいだ。掃除も大変だろうしコストも半端ないだろうなと考えたが、ここがどういう学園なのか思い出して止めた。4階に到着した俺は1-Aのプレートを見つけ、その中に入った。教室には見知った顔と見知らぬ顔が半々いた。エスカレータ組と入試組・・・今年の入試組は優秀なようだ(昨年は7:3でエスカレータ組のほうが多かったらしい)。アヤと涼も俺に続いて入ってきた。二人が来たことで今までお喋りしていた何人かが俺たちの方を見た。
「あれ!?もしかしてあの二人って・・・」
「佳奈しってるの?」
「うん、もしかしたら何だけど・・・」
見知らぬ顔、入試組の女子二人が俺と涼を指差しながら喋っている。指差すんじゃねーよ、こら。俺はそんな女子二人の間を素知らぬ顔で通り過ぎ、黒板に書かれた自分の名前と席順を見た。・・・ほおー、どうやら俺は廊下側から横に2番目黒板から縦に4番目という至って普通な席に決まっているようだ。
「やあ、奏」
俺の目の前に涼が腰掛けた。
「また俺の前の席か、これで4年目突入だな」
「ははは、そうだね」
中1の時から決まって涼は始めは俺の前の席だった。俺は連れの片方、アヤの方を見た。
「ああ~!!やっぱりー!」
と同時に先ほどの女生徒が声を張り上げた。
「ああ?」
俺はうっさい声を出した元凶を睨むようにして見た。すると相手はそんなことお構い無しといった様子で興奮気味にこちらに近寄ってきた。
「ねーねー!君たちってBestの奏と涼だよねー!?」
その言にクラスの男女の半分(たぶん全員入試組)がこちらを一斉に見た。そして「え!?マジで!?」「うそー!?」「すごーい!夢みたーい!」「誰?」などと言って騒ぎ出した。おい、誰とかいったやつ面出せよクソヤロー。
「ねー奏って、変わった苗字だね!」
先ほどの女子がなれなれしく呼び捨てで話しかけてきやがった。
「ああ、だからなんだ?」
「え?・・・えーと」
俺の低く威圧するような声に面食らったそいつは、おろおろし始めた。
「佳奈!いきなり呼び捨てに、しかもなれなれしくするのは失礼じゃない?」
佳奈という名前らしいそいつの隣にいる女子Aが注意する。お前はちゃんと常識があるみたいだな。よし、褒美として俺の名前を名乗ってやろう。
「もう既に知ってると思うが、俺の名前は黒宮 奏、よろしく」
「はわぁ~・・・はっ!あ、アタシの名前は稲葉 恵よ、よろしくね!」
俺の女殺しの顔に中てられた女子A、稲葉恵はよそよそしくそう言うと、佳奈と呼ばれた女子の後ろに隠れた。
「あの、なれなれしくしちゃて悪かったわ。私の名前は植草 佳奈、よろしくー」
少し反省しているのか、しょんぼりした雰囲気だ。反省しているのなら許してやろう。この後、なぜか涼も加わってきて、自己紹介し始めた。俺はそれをうっとおしく感じ、アヤの方へと向かった。男連中に囲まれているあいつは俺と目が合うと、怒った顔をした。
なんだ、お前?なに怒ってんの?もしかして妬いた?そんなことを考えながら近づくと、男連中が俺を一目見た。すると、若干不愉快気な表情をした。お前らも失礼だなー、初対面の人の顔を見るなり顔を不愉快気に歪めるとか。ったく、これだから野生のウホウホ共は・・・。
設定を読んであれ?と思った方は私の変文をよく読んで下さっている証拠ですW




