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1話 卒業式

主人公はなかなかのナルシストです。ご注意を。                  また、この作品にはかなり過激な表現が出ますが、決して差別を助長したり、誹謗中傷を正当化するものではございませんので、誤解なさらない様お願いします。

2006年3月19日  


ここ私立桜華学園では、中等部の卒業式が行われていた。どっぷりと太った、豚ちゃんみたいな面した学園長(見た目に反してかなり優秀な豚ちゃんらしい。この地位にいるのだから、まあ当然か。)が色々御託を並べている。

「これから君たちは中等部を卒業し、高等部へと進学するわけだが・・・・・・」


めんどいので、以下略。


俺こと、”黒宮 奏”(くろみや かなで)はその卒業生の一人なわけだ。正直、この学園を去って行くわけではないので、こんな式に何の意味があるのか・・・理解しがたい。   

つまらん・・・そう思っていたとき。

「ねぇねぇ、奏」

「ん?どうした、アヤ?」

俺の後ろに座っている”水城 彩”(みずき あや)が話しかけてきた。純粋な日本人ではまずいない、金髪の地毛に藍色の瞳、雪のような白い肌をした女生徒だ。(両親がハーフ同士でさらに両家ともに大金持ち)すれ違えば誰もが振り向くであろう美貌。髪はショートより少し長めで、前髪を左側から右のほうに七三か?まあ、そんくらいの比率で分けている。普通の男だったらまずは放っておかないだろう。さらに俺的には背が高く、スラッとしているところがポイント高め。

しかし、こいつは少々おかしな性癖を持っているらしく、女のくせに男子の制服を着ている。(きっと両親のコネで認めさせたのだろう。)

「この式が終わったら、私の家に来ないか?この前負けたリベンジをしたい」

「ほぉ、得意なテニスで俺に下されたのがそんなに悔しかったのか」

「うん、だからリベンジさせて」

こいつの家にはテニスコートが2面あり、さらに離れの館内にバスケットボール用の体育館がある。住居は20畳ほどの部屋が15部屋はあり、とにかく広い。どんだけ金持ちなんだか。父がこの学園のある市の市長をしていて、母は化粧品会社の営業部部長をしている。そんな我が両親の稼ぎすら、あいつの片親の稼ぎの半分に届かない。世の中不公平だ。ファッションモデルとして活躍しているこの俺でも足元すら及ばない。なんか腹立ってきた。

よし、こいつを完膚なきまでに叩きのめすことで憂さ晴らしをしよう。

「お前たち、またか?」

俺の左隣にいる”霧島 涼”が楽しそうに言った。涼はこの学園に入学してからできた友達で、俺が親友3号の称号をつけてやった人物である(1号はアヤ、2号は”宮崎 要”という幼馴染のクールメガネ)。光栄に思えよ。まあ、アヤも幼馴染であり、一番付き合いの長い友人なのだが。

「ああ。叩き潰すから涼も見に来い、愉快だぞー」

「た、叩き潰すって・・・アヤがかわいそうだろ」

涼は俗に言う典型的な正義の味方である。悪漢を倒し、か弱い女の子を救うことを今生の生きがいとするような。俺には眩しすぎる。目が痛い。

「いいよ、いつものことだし」

アヤのやつは俺のひどい言い方には慣れっこのようだ。

「こら!静かにしなさい!」

豚がキレた。


プギィ~!プギィ~!


あー、何つってんだ?豚語話せないからわかんねー

「ふふふ。豚はひどいんじゃない?奏」

・・・・・・

声に出ていたらしい。アヤが口元を押さえ笑っている。その姿はとても美しく、可愛らしくも見えただろう・・・


お前が変態レズじゃなきゃな!

「事実を言ったまでだ」

俺はしれっと言うと顔を横向きから前に戻した。

と、同時に豚ちゃんのスピーチも終了したようである。

「卒業生、在校生起立!」

ダリーけど立つかー。よっこらしょーい。

「礼!・・・着席」

礼をし、座る。何がうれしいのか、アヤはなぜかにこにこしている。

「ねぇ、もし私が勝ったらどうする?」

唐突にそんなことを言ってきやがった。何考えてんだ?

「どうするって言われてもなー」

俺が負けるはずがないので興味ない。いくらアヤが全中の、それもプロに一目置かれる程のテニスプレイヤーだろうが、俺の前ではそんなもの関係ない


・・・・・・


いや、やっぱかなり関係あるが、それでも俺の勝利は揺るがない。何せ俺も全中クラスである(昨年何とか頑張った。8位だったのが悔しいぜ)。俺とあいつのテクニックはほぼ互角、ならあとは体力、パワー、スピードの勝負である。男とレズ・・・男のほうが3つとも勝ってんに決まってんだろ!

「じ、じゃあ私が決めて良いか?」

なんだ、考えてあったのかよ。

「どーぞ、どーぞ」

「その、わ、私と一緒に釣りに行かないか?」

「はっ?釣り?いいけど・・・なんでだ?」

こいつの口から出た予想外の言葉に驚いた。アヤは釣りには興味がないと思っていたんだが。俺の思い違いだったようだ。それにしてもその提案は破格だ。勝ったら俺の憂さ晴らしになり、負けても友人と釣りにいけるのだから、それでも憂さ晴らしになる。釣りは俺の趣味の1つだ。

「よし、のった」

「ほ、本当?」

アヤはなんだか喜んでいるみたいだ。そんなに俺と釣りに行きたいのか。でも残念だったな。わざと負けて釣りに行くより、お前を完膚なきまでに叩きのめした方が憂さ晴らしになる。だから、お前の提案は弾かれたも同然だ。

「霧島 涼」

「はい!」

いつの間にか卒業証書授与が始まっていたらしい。しかも隣の涼までに進んでいた。

危ない危ない。俺の番でせき止めてしまっていたら、恥をかくところだった。

ちっ、レズめ・・・謀りやがったな!

涼が模範となるようなピシッとした姿勢で歩いていく。

「キャー、やっぱり涼先輩ってカッコいい!」

「あーん、涼先輩と1年間同じ校舎にいられないなんてー!」

後ろのほうの2年生女子がなんか喚いている。涼はその性格も然ることながら、見た目も俺とほぼ同格の美形で、かつ笑顔が色々とヤバい奴なのだ。あいつが微笑むと女はこぞって頬を染める。唯一の例外は後ろのレズ。こいつは涼が微笑んでも、ふーんっていう顔をするだけで、たいした反応を示さない。負けなしの涼にはじめて土をつけた女・・・である。

涼がかわいそうだ。

涼はきれいな姿勢のまま、豚ちゃんと接触した。


ブヒッブヒヒッ、ブヒッブヒッ。


・・・・・・なんて言ってるかさっぱりわかんねー!!涼のやつは理解したみたいだ。さすが我が親友3号。正義の味方。肥え太ってしまった哀れな豚ちゃんの言葉を解すなんて。あいつにはきっと後光がさしているのだろう。

「黒宮 奏」

「はい!」

一応涼のまねをする。そうすれば俺の評価はあいつと並んで上々だろう。

「あ、奏先輩だ。」

「奏さまー!」

「静粛に!」

黙れ!名も無き雑魚教師よ。ふっ、さすがファッションモデルの貴公子と呼ばれている俺だ。後ろにいる2年生の女子たちは今や目をハートにして俺を見つめていることだろう。さあ、存分に目に焼き付けるが良い!美の化身である黒宮奏を。

そんなことを妄想していると、無意識のうちに壇上に上がっていたらしい。


「ブヒッ、ブヒヒッブヒッフゴッ!」


うわぁー・・・

「は、はい。ありがとうございます」

俺は適当に相槌を打つと足早に席に戻った。


ー数分後ー 

また2年女子が騒がしくなった。いや、今度は野郎どもも、ウホウホ言ってやがる。何をそんなに興奮してるんだか。

「おい、水城先輩だぜ!」

「うぉー!マジきれいだなー」

「はぁ・・・アヤ様素敵~」

なんなんだ、この男女両方からの熱い眼差しは。お前レズのくせに後輩のウホウホどももお落としてたのか!?

 ・・・まさか、どっちもいけます。

とかいう怪獣じゃないだろうな。そうだったら名誉ある親友1号の称号を剥奪してやる。お前に食われるのは絶対に嫌だ。

「さっきの、約束だよ?」

「ん?・・・ああ」

なんかへんなことを考えていたようだ。戻ってきたアヤにいきなり声をかけられた俺は、気の抜けた返事をしてしまった。ああ、情けない。

「宮崎 要」

「はい」

おっ、俺の親友2号兼優秀なアシスタント、宮崎要ではないか。水島なんたらとかいう女の子がいたからアヤの隣にならなかった残念な奴だ。要は見た目どおりなやつで、生真面目(そうでない部分もある)で、勉強がかなりできる。なにせ学年で一番だからな。

ちなみに2位は怪獣・・・いや、レズ。

で、4位が俺、5位が涼だ。俺が1位でないのが不服だが、この学園のレベルで4位なら上出来だろう。なにせA模擬では五教科平均94点だったからな。そもそも全国平均点くらいのやつがこの学園では底辺なのだ。これで、この学園のレベルの高さがわかっていただけただろう。

 要の容姿の説明をすると、メガネがハマり過ぎた黒髪ショートのイケメンだ(俺は美形やイケメン、美人や可愛い子としか交流は持たない主義なんだよ)。趣味は読書とハッ〇ング。後者のせいで、こいつを生真面目でお利口さんな自慢の幼馴染とは言えなくなってしまった。まったく、どこで道を踏み外したんだか。

めんどいので、豚ちゃんと要のやりとりとその後は省く。

 要が席に戻った後、涼が言った。

「なあ奏、アヤとの試合の観客に要も誘っていいか?」

「当たり前だ。というより、そういうことはアヤに言え」

俺が良いと言ってもアヤが拒否すれば意味無いのである。あいつの家で試合するのだからな。まっ、拒否する可能性はほとんど無いけどな。

 涼がアヤに尋ねている。

「アヤ、要も誘いたいんだけど」

「いいよ。じゃあ涼は要に確認とって、あっちが”行く”って言ったら連れてきて。無理やりはだめだよ?」

「うん、もちろん。ありがとう、アヤ」

あっ涼が微笑んだ。

アヤの隣の女子は頬を染めて俯いてんのに、こいつときたら平然としている。これで何回目の連敗だろうな、3号よ。それにしても不可解だ。やっぱこいつ怪獣だ。

 ん? 

一瞬チラッと怪獣と目が合ったと思ったら、あろうことかヤツは涼の真似をして俺に微笑んできやがった。

・・・・・・まずい。ターゲットとしてロックオンされた。食われるなんてイヤだー。

「卒業生起立!卒業生が退場します。皆様は暖かい拍手をお願いします」

 やっと終わりか。あー、長かった。 


こうして俺の中等部最後の1日は終わった。

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