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第80話 王子のコーデチェック



 越野(こしの)がオレを見る。


 ん?


 なんで君がいるの? と、いう顔をしている。


 オレがいちゃまずいの?


 越野、これから蘭鳳院(らんほういん)と一緒に、オレがいちゃまずいことするの?


 それっていったい……


 蘭鳳院が言う。


 「一文字(いちもんじ)君とは、ここで偶然会ったの。今、会ったばかり」


 偶然?


 オレは、おまえを守る騎士で。ヒーローで。その、ずっと。


 君のことを守っていたんだぞ。


 「あ、そうなんだ」


越野が、白い歯をオレに見せる。

 

 「勇希(ユウキ)君、私のスカートの丈が気になるって」


 蘭鳳院が笑顔見せる。越野には、自然な笑顔だな。

 

 「へえ?」


越野がオレと蘭鳳院のスカートを見比べる。


 「確かに、みんな気にしちゃうよね。思ったより、全然短い」


 気にする?


 みんなジロジロ見てるじゃないか。気にするとか、もうそういう状況じゃないぞ、おい。わかってるのか?


 それに、気にするって……


オレが気になったのは、そういう危険な視線から蘭鳳院の身を守るって言うことで……なんだかまるで、オレもそういう目で蘭鳳院を見ているとか、そんな風に思っているのか?


 ありえないよ!


オレは、男の坂道を上るヒーローだよ!


真の男、男の中の男だよ!


 最後の硬派だよ!


 男の坂道を上る途中では、女子には目もくれないんだ。


 おまえらが考えてるような目線で、女子を見たりは決してしないんだ。


 ただ、目の前の女子が危ない目に遭っていたら、それを助ける。


黙って助ける。何も求めず、感謝すらしなくて良い。


それが男の道。


 それが男坂。

 


 ◇



 越野、蘭鳳院の危険な服、コーデを、仔細に検分している。


 上から下まで、下から上まで。


 越野、真剣な表情で、うんうんうなずいている。


 なんなんだ。


 オレは、昨日の蘭鳳院の私服、そんなに正面からじろじろ見れなかったんだけど。


 見られてる蘭鳳院は……


 なんだか、うれしそう。すごく!


 やっぱり、……その、肌丸出しコーデは、越野のため!?


 蘭鳳院、幼馴染の前だと、開放的になるのか?



 「どうかな、これ」


蘭鳳院が言う。


 「すごく、いいよ」


と、越野。


 「そう?」


 蘭鳳院、いい笑顔。本当に。頬に朱を浮かべている。


 あっ!


 蘭鳳院が、スカートを、つまんでみせる。


 「これも似合っている?」


 うわっ


おい、なにやってるんだ。見えちゃうよ! 本当に!


 うわああっ!


 越野は、笑顔。


 「似合うよ。すごくいい」


 オレは頭がぐらぐらした。


 越野、さわやかで礼儀正しい奴だと思ってたけど。


 とんでもない!


 高校生の本分を、完全に逸脱してやがる!

 

 オレの身体、震える。頭から血が引いた。


 オレの目の前で、蘭鳳院と越野、熱心にコーデチェック。



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