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第133話 隣の美少女は魔剣少女と背中合わせで着替えします




 「そんなにジロジロ見ないで」


 目の前の蘭鳳院(らんほういん)、はっきりとオレを見据えて。


 オレは慌ててうつむく。


 「もう。私だって、恥ずかしいよ。こんな姿、ジロジロ見られたら」


 「あ、え」


 あの、蘭鳳院(らんほういん)、なにか勘違いしてない? どうも歯車が噛み合わないというか……オレはその、お前を助けるための覚悟を、今、必死に決めていたんだ。そりゃ、呪いを受け止め戦うとか、やっぱりちょっと心の準備とかいるじゃない。でも、安心してよ。オレはもう決めたから。これからお前に手を差し伸べてやるから。ヒーローとして……


 蘭鳳院、自分のバッグを開ける。シャツを取り出す。


 「お昼ご飯の前に、ショップで買い物したの。気に入ったシャツがあったから、何枚か買っておいてよかった。木の陰で着替えるから。勇希(ユウキ)、木の反対側に立って、誰が来ないか見張っててくれない?」


 オレはおとなしく、木を挟んで、蘭鳳院(らんほういん)の反対側に立つ。


 オレの後ろで、蘭鳳院(らんほういん)が着替えている。濡れた白のフリルブラウスを脱いで。ブラジャーも外すのかな。それともそのままかな。


 またまた、カーッと、オレの体、顔、熱くなる。今、オレどんな顔してるんだろう。


 とにかく、その、よかった。そういうことだな。オレはデニムジャケットを脱ぐ必要はなかった。女子バレはしなくて済んだ。オレは相変わらず蘭鳳院(らんほういん)の前では男子だ。ヒーロー男子の道、これからも続けていけばよい。でも、オレは今はっきりと、目の前の女子のために全てを投げうとうとした。どんな犠牲を払ってでも戦おうとした。オレは確実にヒーローとしてレベルアップしたに違いない。



 ハハハ



 試練はクリアした。男の坂道をまた1つ上った。悠人(ゆうと)、見ていてくれたよね。


 蘭鳳院(らんほういん)。胸が透けて恥ずかしかったのを無事に解決してーー


 あ。


 えーと。蘭鳳院(らんほういん)の胸が透けて恥ずかしい姿。オレ、かなりしっかり見ちゃった。いや、別に、見ようとして見たわけじゃないけど。単純にいって、じーっと観てた。あれこれの心の準備しなくちゃいけなかったから、仕方なかったんだけど。ただ、しばらくじーっと濡れて透けた胸を見てたのは間違いない。デニムジャケットを脱いで着せてあげようとしないで。


 蘭鳳院(らんほういん)のボリューム感のある胸。真っ白なブラジャー。



 ドキュッ、



 男子として、恥ずかしい姿の女子を、ただ観てただけ……結構まずいのかな。


 蘭鳳院(らんほういん)はオレのことをヒーローだと思う?思うわけないか。あちゃー。でもどうすりゃ。



 「着替え終わったよ。さ、行こ」


 蘭鳳院(らんほういん)。着替えた。黒のノースリーブのシャツ。ちょっとスポーティに見える。丸出しの肩と腕。雨上がりの空気の中、キラキラと。濡れた髪は束ねたまま。ブラジャーはどうしたんだろう。外したのだろうか。まだつけてるんだろうか。まぁ、なんであれ黒のシャツだから透けたりはしないだろう。よかった。



 オレたちは依然として山の中。黙って歩く。とにかく草の海を抜け出す。


 やっと、元の観光ルートの道に戻る。


 そして、下りていく。もうだいぶ日が傾いている。今日の校外実習もこれで終わりだ。やれやれ。


 バスのところで、集合。みんなと合流だ。


 急に、びしょ濡れでデニムジャケット羽織って濡れて蒸れているのが気になった。でも、脱ぐわけにはいかない。このままバスに乗って帰るんだ。やれやれ。


 みんなどうしたんだろう。土砂降り集中豪雨喰らって。あっちこっちで濡れて透ける騒動が発生したのだろうか。濡れて透けて困っている女子に、すかさず自分の上着を脱いで着せてあげた男子はいたのかしらん。


 オレは、ヒーローとして、守るべきことを守った。


 そうだよね……



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