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第1話 よくあるラノベのような展開

新作連載です!

久々の異世界ファンタジーです!

なろうあるある的な展開もありますが、皆さん楽しんでいってくださいね( *´꒳`*)

 ここは地球という星から何億光年も離れたとある星。惑星アルナ。

 ラノベや漫画なんかで出てくる、よくある剣と魔法の世界だ。


 この星では人間達が住む【下界】と神々が住む【天界】に分けれており、人間達の約9割はこの天界に住まう神から特殊な力を与えられ、それを生活に役立てながら日常を送っている。


 そして、俺は異文化が大好きで、特に地球という星の"漫画"や"アニメ""ゲーム"が大好きな、その神の1柱……なんだが。

 まぁ、絶賛瀕死だ。


「ぐっ……はぁ……はぁ……」


 冷たい廊下を壁に持たれ、ふらつきながら歩く。


「ったく……やられたよ……今回ばっかりは……」


 右手で抑える腹部から多量の血が流れ落ち、漆黒の着物はじわりとその色をさらに黒くしてくいく。

 傷は深い。

 左肩から右の横腹までガッツリ切り裂かれている。


「……」


 背後からコツコツと足音が聞こえる。

 俺を追ってきたのだろう。トドメを刺すために。


「全く……馬鹿野郎が……」


  一振の剣を持つ人影がゆらりと近付いてくる。

 剣からは血が滴り落ち、妖しく光る刃に目を細める。

 たまに人間のガキから聞かれることがあった。


 "神は死ぬのか"


 神とは"悠久の時を生きる絶対的存在"。

 だが、神だって死ぬ時は死ぬ。


「神殺しは大罪だぜ……?」


『……』


「だんまりかよ」


 "全能の力"

 この言葉が持つ熱量は人を狂わせる。

 それが例え神であったとしても。


「ふっ……しゃぁねぇよな。神だって力が欲しい時もあるさ……俺の力……正しいことに使ってくれよ?」


 ニヤリと笑う人影。


「…………なんて言うかぶぅぅあああか!!!!(ばーーーーーか!!!!)」


 俺の言葉を聞き、人影は目を大きく見開き1歩後ずさる。


「俺は独占欲が強くてな?こいつは俺だけの力なんだよ。誰にもくれてやるつもりはねえ」


 俺はイタズラに笑みを浮かべ追ってきた人影を見る。


【空間支配の権能:空間転移】


「へっ……あばよ……」


「っ!!」


 人影を置き去りに転移した。


 上手いこと転移はできたが……。

 ダメだ……意識が……。

 てか、ここどこだ……?


 無意識に転移先に選んでしまったが……誰か……いないかな……。


 俺の視界の端には慌てた様子の白く長い髭を生やした神が居た。


「悪いな……」


「エドラス!!!」


 そこで俺の意識は消失した。


 悲痛な叫びは夕暮れの空に消え、平和な天界に波乱を巻き起こしたのだった。


 ◇◇◇◇◇


【下界】


 〔オギャー!!オギャー!!オギャー!!〕


 とある王国のとある領地のとある大きな館では赤子の元気な産声が響き渡る。


「奥様!産まれましたよ!元気な男の子です!」


 助産師は抱き上げた赤子を母親に手渡す。


「なんて愛らしい……」


 ほう。この女性が母親か。美しい銀髪に赤い瞳、綺麗な人だ。


「あれ?泣かなくなったわ……」


「ど、どうしたのでしょう……」


 やべっ。今はただの赤ん坊だった。


 〔オ、オギャー!!オギャー!!〕


 ん?

 あれ?

 なんで俺意識があるんだ?産まれたばっかの赤ん坊だろ?

 天界での記憶も残ってる。


 〔オギャー!!オギャー!!……〕


「ま、また泣かなくなったわ……大丈夫かしら……」


 やべ。


 〔オギャー!!〕


 冷静に考えろ。

 転生?記憶を残したまま?

 どうやって?

 転生関連は生命を司る神の権能のはずだ。だが、その権能は俺も使えるが……制約が多くて使った覚えがない……

 となると、こんな芸当が出来るやつは限られてくる……。


 冷静に大泣きしながら思考を巡らせていると、頭に激しい痛みが走る。


 くっ……。急に頭痛が……。脳に負担がかかってるのか。

 それもそうか、普通なら物心すらついていないんだ。


 そんなことを考えていると部屋の外からドタドタと走る音が聞こえ、部屋の扉が勢いよく開いた。


「コーデリア!!産まれたのか!!」


 入ってきたのは黒髪の男、おそらく俺の父親だろう。そして、後ろにはローブを着た壮年の男性がいた。


「ルーピン。そんなに大声を出すとこの子が驚いてしまうわ」


「そ、そうか。すまん。抱かせてくれるか?」


 父親の名前はルーピンというらしい。

 ルーピンはゆっくり俺を抱きかかえる。中々に慣れた手つきだ。俺には兄弟がいるのだろうか。


「可愛いなぁ」


 ニコニコの笑顔を向けられるが男に抱かれる趣味は無い。早くコーデリアに戻してくれ。


「そうだ!鑑定師を連れてきたぞ!名前とスキルを確認しよう!」


 下界では産まれてすぐに名前と授かったスキルの確認をすると聞く。


 これで俺がどういう状況に置かれているのか詳しく知ることが出来るな。


 まず、この世界の名付けについて説明しておこう。

 はっきり言うとこの世界に名付けの概念はない。鑑定師が赤子のステータスを確認すると、その魂に刻まれた真の名を知ることができる。そして、その名前をそのまま使うのだ。


 つまり、俺の場合だと……。


「おほんっ!では、お坊ちゃまのステータスを確認します」


『ステータスオープン』


 鑑定師が手のひらをかざすと、俺の胸あたりから光が溢れ、ホログラムのようにステータスが表示される。


「この子の名前は……」


 鑑定師は目を大きく見開いた。


「エドラス……。エドラスでございます!」


 そうだよな。魂に刻まれた名前、神とて例外では無い。転生したとしても魂は同じという訳だ。


「エド……ラス……」


 両親は固まってしまった。

 この反応……そりゃ驚くよな。


「キャー!!凄いわ!!まさか、うちの子に神と同じ名前の子が産まれるだなんて!!」


「今日はなんて素晴らしい日なんだ!!」


 両親は大喜びだな。

 下界の人間にとって、神と同じ名を持つという事は『神の使徒』や『救済をもたらす者』として、共通して強力なスキルや神聖な力を宿しているのだ。


 だが、おかしい。


 何がおかしいかって?

 この反応を見るに、恐らく両親……いや、下界の人間達は神エドラスが死んだことを知らない。

 普通なら死んだ瞬間に俺を祀る神殿は光の粒子となり消え、天からのお告げとして神が死んだことを告げられる。

 そして人間達は喪に服すのだ。


 だが、そんな空気もない。

 エドラスと聞けば嫌でも思い浮かべるはずなのに。


 俺の記憶も残ってる上に、死んだ事実が隠されている。一体どういう……。


「あうっ……」


 また激しい頭痛だ。思考が制限されてしまう。くそっ、もどかしい。


「あら、ごめんなさい。ちょっとはしゃぎすぎたようね……」


 コーデリアが俺の頭を優しく撫でる。


「で、では、スキルの確認を」


 スキルというものについて説明しよう。

 下界の人間達は神からの祝福として、特殊能力、つまり『スキル』が1人1つ与えられる。


 神が司る『権能』。

 それは、神によって司る力は違う。

 火、水、雷、風、土の五大元素から身体強化や物質生成まで多種多様な権能が幅広く存在する。

 その権能の一端を人間用に改良した『スキル』として授けるのだ。まぁ、言ってしまえば権能の下位互換だな。


 俺は今からどんなスキルを授かったのか確認するのだ。


 鑑定師はゴクリと喉を鳴らす。

 神と同じ名を持つ者なら大層なスキルが出てくると期待しているのだろう。

 両親も目を輝かせている。


 正直俺もどんなスキルが出現するのか楽しみだ。

 誰の神の系統であれ、生きていけるのなら感謝すべきだな。大きくなったら神殿に寄付でもしてやろう。


『スキルオープン』


 さて、誰のスキルだ?


「……」


「か、鑑定師……?」


 鑑定師のじいさんが固まってしまった。

 そんなにやばいスキルだったのか?


「この子のスキルは……」


 いやー、困ったなぁ。"それなり"に生きていこうと思ってたのになぁ。

 天界で読んだ"日本"の"ラノベ"みたいに俺TUEEEE無双系主人公になっちまうぜ。


「ありません」


「ばぶ?」

「「は?」」


 今なんて?

 スキルが……ない?


「ちょ、ちょっと待ってくれ、なんの冗談だ」


「冗談ではありません。何度も鑑定していますが……残念ながらこの子にスキルは……」


「そんな……」


 おいおいまじかよ!

 ただ平凡に生きていこうと思ってたのに、平凡に生きることすら出来ないじゃないか!


 下界では神とスキルが全てだ。スキルがない人間は"神に見捨てられた者"として蔑まれている。人権なんてあってないようなものだぞ……。


「まさか、スキルなし……。神に見放されたのか……?」


「やめてルーピン。"スキルが無い子供は神の手違い"だと最高神ゼリオス様が説明して下さったじゃない。神に見放された訳じゃないわ」


「だが……」


 そう、コーデリアの言う通りだ。

 下界では極稀にスキルを持たない赤子が産まれてくる。それは決して神々がその赤子を見捨てたのではなく、単なる手違いでしかないのだ。

 だが、最高神がどれだけ説明しようとも一度差別の意識が染み付いては簡単には覆らないのが世の常だ。


「成長してスキルが発現したりはしないのか?」


「60年間鑑定師をしていますが……1度も聞いたことはありません」


 深刻な空気だ。

 神の名を持っているだけあって相当期待していたのだろうな。いたたまれない。

 そんな事を思っていると、鑑定師のじいさんが何かと焦った様子でルーピンに話しかける。


「し、しかし、どうなさるのですか?ルーピン様」


 様付け。ルーピンってそんな偉い人なのか……?


「どうするもこうするもない。この子は我がルビウス家に産まれた三男だ。他の子と変わらず愛そう」


「そうね。当然よ」


「ですが!持たざる者として産まれた子供がどのような立ち位置かお分かりのはず!それではルビウス公爵家の権威というものが……」


「ガイル。我々の権威はお前が決めるものじゃ無い。口を慎め」


 こりゃ驚いた。部屋の様子や両親の立ち振る舞いからして貴族だろうとは思っていたが、まさか公爵家とは……。

 ルビウス公爵家か、天界にいる時はろくに下界に降りなかったからなにもわからないないが、どっかで聞いたことのある名前だな……。なんだったっけ。


「申し訳ありません。しかし、この子の存在を隠すなど対応しなければ、この子が苦しむことになりますよ」


「隠したっていずれバレる。この子を受け入れて貰えるように最善の努力を尽くすさ」


「よく思わない者も現れますぞ。危険に晒されるのはなによりこの子です」


「ガイルよ。お前の心配もよく分かる。だが、近辺で公爵家以上に安全な場所はないだろう」


「……そうですな」


 ガイルと呼ばれた鑑定師のじいさんは心配そうな顔で俺を覗き込む。

 この人は本気で俺を心配してくれている。相手がどう思っているかなんて目を見ればわかる。良い人だ。


「なんにせよ、今日はエドラスが産まれた記念すべき日だ!盛大に宴会を開こう!!」


 ルーピンは嬉しそうに声を上げた。


「コーデリアはゆっくり休みなさい。準備は全てこちらに任せて」


「ええ、そうさせてもらうわ」


「またな、エドラス」


 俺の頭を優しく撫でて、ルーピンは部屋から出て行った。


「大丈夫よ、エドラス。何があっても、あなたは私達が守るわ……」


 少し心配そうな、それでも決意を固めたような優しい顔をしたコーデリアは俺の額に優しくキスをした。


 この両親の元でなら、スキルが無くても俺も幸せに生きていけそうだ。


 まぁ、スキルがなくたって俺には800年分の知識があるし、昔に"武神ギレウス"から教えてもらった剣術と体術もある。

 なんとかなるさ。


 そして、俺が産まれてから8年の月日が経った。


この世界の細かい設定については、また番外編として解説話を設けます!

ご閲覧頂きありがとうございます。

今後ともKUZAKIと転生神様をよろしくお願いします。

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