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第1話 魔物の巣窟

作品に目を通していただき、ありがとうございます。

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帝国率いる軍艦は3本の白の帆を広げ、謎の船に対して威嚇するように徐々に接近していく。

ガンデッキには黒光りした小口径の砲台が隙間なく規則的に並び、迎撃に備えていた。

大人と子供ほどの大きさの差があり、謎の船に勝ち目はないだろう。

ただもしもの事態を考慮すれば、軍の対応は決して大袈裟ではなかった。


「君たちは包囲されている。侵略の意図がなければ、ただちに投降しなさい」


船員が交渉を持ちかけるも返事はなく、誰もがその瞬間無人だと悟る。


「まさか全員、海の藻屑になって船だけが流れ着いたのか?」

「いや、昨日の波は穏やかだったが……もし報告通りなら、天からの使いかもしれんな。ハハハ」


船員の1人が体を揺らし笑うも、軽口は叩けずにいた。

……にわかに信じがたいが、酔っ払い冒険者の話がもし真実だとすれば。

沈黙に痺れを切らす軍人たちを見かね


「皆様、だいぶお困りの様子。ならば私が調べに参りましょう」


とある青年が訊ねた。

白髪碧眼のローブを身に纏う彼の名はイアン。

サピル・シヌス帝国お抱えの冒険者で、風と水の魔術を極めた、船旅に欠かせない存在であった。


「では。風の精霊シルフ。精霊微笑む刹那、私は一時、鳥となるだろう。レビテイト」


唱えるとイアンは空へふわりと浮かび、謎の船の甲板に降り立った。

手を振りつつ無事だと合図をした彼は、脇目も振らずキャビンへと向かっていき、ドアノブに手を伸ばす。

扉を開くと大きく口を開けた獣が、突如現れたではないか!

魔獣が毛むくじゃらの手でイアンを捕えると


「た、助けてくれぇ!」


悲鳴が虚しく響き、謎の船へと引きずり込まれた。

あまりに唐突な出来事に、その場に居合わせた軍人は取り乱すでも騒ぐでもなく、ただただ目の前の現実を直視した。


「な、なんだ、あの怪物っ!」

「船の中から化物が……何がどうなってるんだ!」

「そんなものは知らん! だが民間人を絶対に近づけるな!」


一瞬の静寂が過ぎ去ると、今まで堪えていた不安や恐怖が一気に噴出する。

しかし軍人としての責務が、彼らを冷静に行動させる。

彼らはただちに港へと引き返すと事の顛末を上官に報告し、生きた心地のしないまま一日を終えたという。

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