第10話 忌み嫌われ疎まれた者集いし樹海
ファンタジー小説「ヴォートゥミラ大陸伝承記〜想念の姫と放逐の箱舟〜」に取り組み、序章と9話の計10話で11,241文字、感想0件、レビュー0件、いいね0件、総合評価0pt、評価者数0人、ブックマーク登録0件、355PV
作品の今後、そして過去に断念した作品とそれらから得た苦い経験について、長々と語ります。
長々読まなくても構わないよう、簡潔に要約すると
・見落とさぬよう前書きで何度も要求したにも関わらず、評価をしないという形で読者諸兄が応えた。
・つまりいつ終わろうが構わないと言ったのと同義と、作者が捉えたと自覚した上で無反応、無評価なり評価、コメント、レビューしてほしい。
・作品を継続してほしいのならば、好意的な反応を示すべし。
だけです。
拙作「ヴォートゥミラ大陸伝承記〜想念の姫と放逐の箱舟〜」の前書きで何度も
「評価されなければ、本作の執筆をやめる」
といったのを反故にします。
読者の反応という作品のモチベーションを繋ぎ止めるものがない以上、継続に思い至ったのは、自分の作品への愛情……というよりは、執念と惰性と形容するのが精確でしょう。
拙くとも書いた小説は自分の思考や趣味などの一部が、作風に組み込まれた、いわば魂の欠片。
ギャグに振り切ったサメ小説でも。
かつての仲間の死を嘆き、燻っていた元英雄クロードヴィッヒ・ハインツと、ヒロインのノーラ・アウフレヒトが出逢い、新たな物語が始まる、シリアスなファンタジーでも。
悪魔の思惑で異世界へ導かれた無職の青年の石動祐が、仲間たちと知略を駆使して元の世界への帰還を目指す、異世界転移ファンタジーでも。
もちろん今取り組む、サピル・シヌス帝国軍の大尉ライリー・グレイが異世界からヴォートゥミラ大陸にやってきた、迷宮広がる謎の船を探索するダークファンタジーでも。
どんな作品にも、大なり小なり思い入れはあるのです。
重荷、負担にならない程度の作業時間(1時間程度)で1話投稿するスタイルであれば、現在は未完のまま完結扱いで放置しているファンタジー小説
「終末世界の英雄譚」
「異世界のジョン・ドウ〜オールド・ハリー卿にかけて」
に関しても、いつかは筆を進めたいと考えました。
「終末世界の英雄譚」は小説家になろうにて、serumisuさんという読者の方に、感想を書いていただけた恩を、作品の完結という形で返したいと考えて。
「異世界のジョン・ドウ〜オールド・ハリー卿にかけて」についてはついぞコメントもされませんでしたが、約19万文字も書き綴り、中途半端で辞めるのもなと考えて。
ただ評価されない不満が、いかに精神に変調をもたらすかは
「異世界のジョン・ドウ〜オールド・ハリー卿にかけて」
で、ストレスが限界に達した際に太股を殴って苛立ちを抑え、執筆作業に取り組んだ経験から、身をもって知りました。
言い訳がましくなりますが、だからこそ相応の覚悟をし、同じ轍を踏まぬよう精神的苦痛を味わう前に
「10話で評価なしなら打ち切る」
と宣言した次第。
・ありとあらゆる無評価、無反応、非難をも受け入れ、常に自己研鑽するのが真の作家
という読者に都合のよい存在になるつもりはありません。
執筆をしても読まれない以上、必要以上に労力を割くべきではない。
文字通り創作に命をかけるのは、金、人気、名声という対価のあるプロが勝手にやればいい。
燃料が切れれば動かない作家という車に、評価等の燃料が供給されないのなら、有限の気力を節約する他ありません。
評価する手間さえ惜しむ人間に、俺が消耗してまで創作活動に勤しみ、暇潰しの娯楽を与えてやる義理がどこにある?
評価にまるで見合わない努力など、する必要がどこにある?
との考えは常に頭の中を巡り、我慢の限界を迎えたら、今まで通り執筆活動は辞めるでしょう。
・評価されなくとも作者に時間とモチベーションさえあれば、作品は完結するので、つまるところ作者の意思が創作において、最も重要な要素。
・けれど時間は有限で一切の評価もされず、世間から冷笑されても挫けない、無限のモチベーションの持ち主の作家など存在しないので、何らかの形で支えてほしい。
前書きで幾度も告げた創作の真理を、読者は肝に命じてください。
評価はしないが作品は続けてほしい、等の我儘は通用しない。
作者の気力がなくなれば、途中だろうが物語は終わりなのだから。
作品を執筆するのが作者の努めである以上、?がらくたは地道に制作に取り掛かる所存。
読者である貴方がたは、継続してほしいと願う創作物に反応を示す等、貴方がたの努めを果たすのを忘れぬように。
私からは以上となります、長文、乱文失礼しました。
「……ガルル」
湾曲した山羊のような角を有する魔狼は三人を取り囲み、地を這う響きで威嚇した。
金色の眼光に宿る殺気に気圧されたジェレミーは、顔を涙で濡らし、情けなく震えていた。
「後生だから命だけは〜!」
「……とんだ足手纏いを連れてきてしまったな。すまない、ローレン少尉」
「致し方ありません、私たちだけで戦いましょう」
肯定を示すように頷き、ライリーは応える。
飛びかかってきた魔狼に
「……フン。貴様ら程度の魔物に、わざわざ魔力を使ってやる意味もないわ」
青年は湾刀を手にし持ち手の保護部分、いわゆる護拳を魔物の首へ勢いよく叩きつけた。
生物の急所を攻撃され、無事でいられるはずもない。
顎が外れたかのように大きく口を開け、一匹が絶命し、群れの激昂は最高潮に達した。
「弱者が群れるのは実力が伴っていない証左。同胞の死を嘆く暇があるなら、さっさとかかってくるがいい」
ライリーは口許を嘲笑を意味するかの如く歪ませ、挑発する。
「グルルァ!!!」
鋭利な犬歯を剥き出しに、一斉に距離を詰めた魔物へ
「風の精霊シルフ。気まぐれなる風、時に天へと登る竜をも生む。トゥルボー!」
唱えた刹那、天へと届かんばかりに暴風が吹き荒れた。
巨木を揺らす一撃を食らえば、人すらも致命傷は免れない。
だが三人は台風の目、目の壁とも呼ばれる、ほぼ無風の竜巻の中央部分に位置しており、一切傷はなかった。
暫くして風が止むと返り討ちにした魔物を眺め、少尉は沈鬱な表情を浮かべた。
「素晴らしいな、少尉の魔法は」
「気にしないでいいよ〜。守ってくれてありがとちゃん、少尉」
「……」
ジェレミーが声を掛けるも、晴れる様子はなかった。
命を守るという大義を掲げながらも、命を奪う。
相反する矛盾の中で、軍人の彼女は生きねばならない。
「祈りを捧げても構わないでしょうか、お二人とも」
「後にしてくれ、と言いたいが。もう男を追うのは無理だろう。好きにするといい」
「おー、鬼の大尉も優しい所はあるんだねぇ」
「黙れ、阿保面男め」
瞳を閉じて精神を集中させた―――瞬間、何かの到来を知らせるように草木がざわめく。
青年が周囲へ目を配ると兎の覆面を被り、縞模様の服に身を包んだ、手斧と縄を両の手に持つ怪人が、ローレンの背後へ迫っていた!
「ギャハハ!」
「危ない、少尉」
けたたましく笑う狂人の一振りが、彼女へ襲いかかる。
しかし間一髪、ライリーのサーベルが食い止めた。
「こ、こっちにも変な奴が……」
ジェレミーの指差す方には鉤爪を装備した、目の据わった男がにじり寄る。
突然の異常者の強襲に、一行の頭に疑問符が浮かぶ中
「悪シキ者ヨ。ココハ忌ミ嫌ワレ、疎マレタ者ガ集ウ樹海。早々二立チ去レ」
狼のマスクに虎柄の毛皮を身に纏う、民族衣装風の出で立ちの男が、独特の訛り口調で警告を発する。
ついに探し求めていた不審人物自ら、彼らの目の前に姿を現すのだった。
「リース伍長とジェレミー衛生隊長のドキドキ♡ワクワク☆魔物図鑑」
殺人鬼 クロプシー
種族·人間
アライメント 中立·中庸
手に鉤爪を装備した、人間の不安、好奇心が生み出した、異世界の口承で語り継がれる狂人。
主に少女を狙って攫い、殺害するといわれる。
人としての自我はとうに失われており、己の殺戮本能に従って、標的を襲う。
何故彼らは船内の迷宮を彷徨うのか。
そもそもどうやって生存に必要な物資を確保しているのか。
不明な点は数え切れず、調査隊の続報を期待されたし。
「チッ、人間型のモンスターかよ。アタシ好みの、ふわふわもこもこ魔物ちゃんはどこにいるの! あ〜、しんどい……」
「にゃはは、露骨にやる気ないね。リースちゃん」
「ま、大尉の命令だから従うけどさ。こんなもんでいいよね、説明は」
「リース伍長とジェレミー衛生隊長のドキドキ♡ワクワク☆魔物図鑑」
殺人鬼 バニーマーダー
種族·人間
アライメント 中立·中庸
首を吊る太縄、そして薪割り用の斧を持つ、人間の不安、好奇心が生み出した、異世界の口承で語り継がれる兎面の狂人。
縞模様の囚人服を纏い、殺害した人間や生物の皮を剥ぎ取って、見せしめのように吊るすのを至上の喜びとする。
精神的に錯乱しているのか対話は不能で、出逢った瞬間どちらかが命を落とすまで、戦闘は終わらないだろう。
殺人鬼クロプシー同様に、どうやって生存しているのかは、一切不明。
人が暮らすには過酷な状況故に、気が触れたのだろうか?
それとも元からおかしな人間が、迷宮に流れ着いたのか?
さながら鶏と卵のどちらが先に産まれたかの命題のようだが、確かなのは彼が猟奇的な殺人鬼という事実だ。
「わぁ、可愛い兎の魔物ちゃん。ふわもこらびゅらびゅ、ふわもこ……って、兎の面を被っただけの男じゃねぇか。紛らわしいんじゃ、ボケェ!」
「おー、勢いあるツッコミ。なかなか冴えてるねぇ」
「アタシの魔物ちゃんへの愛を愚弄するな、この変態殺人鬼!」




