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19.夫side

 ガラガラガラ。


 数週間ぶりの我が家だ。

 やっと帰ってこれた。


 社交界シーズンだからといってコレはないだろう。()()()()()()を余儀なくされた。もっともコレは私だけでは無かった。きっと何かあるのだと思うが、それが何なのかは分からなかった。


 ただ、気になる事が……。


 ガタン。

 馬車が止まった。

 屋敷についたようだ。



 屋敷の扉が開き、何時ものように使用人たちが出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ、旦那様」


 ん?

 アリックスがいない。

 パーティー会場でも見つける事が出来なかったからてっきり屋敷に居るものだとばかり思っていた。違うのか?


「アリックスはどうした?姿がみえないが……まだ王宮から戻っていないのか?」


 何といっても妻は王妃様のお気に入りだ。

 もしかすると未だ王宮に残してきたのかもしれない。



「奥様はいらっしゃいません」


「いつ帰ってくる?」


「お戻りにはならないでしょう。」


「どういう事だ!?何故!?」


 まさか……何かあったのか?!


「……旦那様との婚姻契約通りに屋敷を出て行かれました」


「なんだと!?」


「三年後には別居するお約束だったそうですね」


「そ……そうだったか……?」


「そうです。なので、奥様は三週間前に伯爵家をご出発なさいました」


「……な……な…………」


 何が起こっている!?何故アリックスがいない!?別居だと!!

 混乱する頭で何とか状況を把握する。

 アリックスが屋敷を出て行った……だと……。婚姻契約?なんだそれは?そんなもの書いたか?


「旦那様、混乱している最中に申し訳ございませんが、一度、婚姻契約書と確認される事をお勧めいたします」


「こ、こんいん…けいやく、しょ……う……み……みせろ!!」


 もう何がなんだかさっぱりと分からない。

 何がどうなっているのか全く分からなかった。分かる事はアリックスと結婚する前に婚姻契約書を交わしたという事だけで……。あれ?私達は愛し合ってたのではないのか?そういえばそんなものにサインした気が……だが!あんなものは結婚すれば無効だろう!!?


「どうぞこちらをご覧下さい」


 執事長は懐から封筒を出したまま私に向かって差しだす。

 その封筒を受け取り、封を開けて中の書類に目を通した瞬間、私の中にある何かが崩れ落ちる気がした。


「こ…こんな……ばかな…………」


「旦那様はお疲れでしょう。考えるのは明日にして今日はゆっくりお休み下さい」


 執事長はそう言うと、私に一礼して去って行った。

 気付けば既に他の使用人たちに姿は無かった。恐らくメイド長が立ち去るように命じたのだろう。

 誰もいなくなった玄関。

 私はその場に崩れ落ちた。




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