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11.ファンside

 うぉぉぉぉぉ!!

 凄い!凄すぎる!!


 フェイクス・ピアの新作は最高だ!!


 『女達の争い』と銘打たれた新作本は瞬く間に大売れた。発売後三日で増補版を出してしまうという異例な事態とまでなった。その人気の高さから重版の噂まで飛び交ったほどだ。


 解る。あれは面白い!

 今までのフェイクス・ピアの作風とはかなり異なっているがその完成度は凄まじい! 絶世の美青年、それも若き貴族の恋愛模様。二股どころの騒ぎじゃない。どんな遊び人だ!?と思わせるのに、そんな青年貴族に夢中になる女性達。それがもう凄いこと凄いこと。色んな女性の角度から話が展開されていて、読んでいて飽きることが無いどころか、早く続きが読みたいと心躍っても仕方が無い。これは本当に面白い!! そして何よりも登場人物達の個性だ! 一々のキャラ造形、設定が良い。女性達だけでなく主人公の青年、その彼の友人も本当にいい味を出しているのだ!それだけでも凄いというのに!なんと!今回は待望の第二弾まで同時発売! うぉぉ!!これは是非買いに行かなくては!


 この人気から第三版が出る事が決定したらしいと、書店では噂の絶える事がなかった。


 そしてその噂は本当だった!


 期待度の高さから発売前より話題になり売り出されるとアッと言う間に売れ切れ完売が続出した。出版社では重版を早くせねばならないと、嬉しい悲鳴を上げているらしい。


 第二弾目『女の品格』では主に上流貴族令嬢達が話題になっている。

 主人公の伯爵令嬢が結婚後、夫の浮気現場の証拠を掴んでしまう事から話は始まる!なんと夫とメイドの情事を! 主人公は夫に、これはどういう事か! と浮気夫とメイドに糾弾するのだが……。夫は開き直り、姑は夫の味方。新妻にあろうことか「浮気位なんなの?そんな事で一々目くじらを立てる事ではないでしょう! そもそも妻のお前に魅力が無いから夫が浮気をするのです!」などと言う暴言を浴びせた挙句、夫に「離婚は認めないよ。お前は何かと都合がいいからね」と突きつける。なんと!なんという酷い話なのか!!だがそれがいい!!

 夫と姑に追い詰められていく。

 そこに、夫の友人である青年が助けてくれるのだ!

 しかもその青年は第一弾の青年貴族!そう!あの女の敵!ただし女にモテモテ!

 いや~~、第一弾では女の敵の部分があったけど、この話ではモテる理由が解る。これはモテるわ、うん。

 夫の裏切りと新婚家庭に居場所のない現実に傷付くなか、青年貴族の存在に救われる。そこから話は急展開を迎えるのだ。まさか、あの青年貴族が結婚するなんて!! だが自分も人妻。二人は、結ばれない……。そうは思いながら、二人は密かに逢瀬を続けていて……そしてとうとう。

 いゃぁぁぁぁ!!もう!!ある意味お約束の展開だっていうのに、どうしてこれ程までにドキドキワクワクするのだろう!!! しかも青年貴族が「妻には内緒だ……。そしてこの秘密は生涯二人だけの秘密だよ?」とか言っちゃうんだぞ? なんだそれは!?臭いセリフがよく似合う!これは惚れる!女はぜったいに惚れる!!

 そうして二人の関係は続いていく。


 ……この先の展開がどうなるのかハラハラするところで終わった。え?これで終わり?いやまだあるだろ!と読者の気持ちを高ぶらせながら! 第三段が発売になった。


 第三段は『女の美徳』と銘打ち、内容は読者の期待とは違って第二段の続きではなかった。


 上流貴族に名を連ねる某公爵家の醜聞。

 公爵家は名家ではあるが、貴族主義である為の黒い部分が多々見られその醜聞を面白可笑しくコミカルに書かれていて実に読み甲斐が在った。

 もう本当に!これはこれで面白い!!公爵家もさること、主人公の女主人公はもう、なんて男を見る目の無い娘なのだろうと思わず主人公に悪態吐きたくなってしまうくらい!まぁ、政略結婚の相手だから男の見る目とかはあまり関係ないのかもしれない。この場合、親の見る目がなかったと言うべきだろう。いいや、それよりも家同士の繋がり、メリットを両家が考慮した上での婚姻だ。普段ふんぞり返っている貴族の大変さがこの小説で解る。黒い部分も在るし、社交界は陰謀や策略渦巻く場所での生き地獄は想像を絶する。これフィクションだよな?なんか、実話じゃなかろうか!?と思ってしまうほど、本当に面白かった!! あ!最後のページに「この小説はフィクションです」って書いてある……よかった。安心した。

 しっかし、ここまでリアルな表現、本当によく思い付くなと思うくらいだ。本当に凄い、凄すぎる……。


「ふぁぁ~~……」


 思わず大あくびが。

 もうそろそろ昼か。昨日の夕方から一気に読んでいたらそりゃぁ~寝不足になるよなー……。

 今日は休みだ!と自分に言い訳をして、読み途中の本を手にベッドに戻るのだった。





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