表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーン君の大冒険?  作者: 白雲
第2章 少年期
61/94

61

転移魔法を短距離転移と呼ぶのは、神々が居た時代に使われていたという長距離の転移魔法と区別してのものらしい。

その時代の魔法使いは国や時には大陸すらも越えて移動する事が出来たとか。

転移門と呼ばれる門が今も各地に残っていてその当時転移に使われていたと思われるが、ほとんどは国同士の争いが起きた際に破壊されてしまったため使えない。

僅かに残る使用可能な転移門は大金を払えば今でも使え、稼ぎのいいランクの高い冒険者なんかは割と利用している。



今日は三人並んでイワンの授業を受けている。先日の転移事件があったため特別授業だ。

オズはセオを見て「ひやー!」と変な声を上げて逃げていった。昔のキャシーのようで懐かしく、セオとオズには悪いけどちょっと笑ってしまった。



転移門。そんな便利な物があるなんて初めて知ったと思ったらこの国には使える門は無いらしい。

だから聞いた事が無かったのか。

「この周辺の国々は歴史も浅く、その境界線も国の盛衰や戦によって幾度も書き換えられていますので。使用可能な転移門はほぼ残っていないでしょう」

「んじゃ〜西の帝国なんかには残ってる?」

「ええ。あの国の国内には幾つもの転移門があり、現在も使用出来る筈ですよ」

国を二つ挟んで西にある帝国はとても古くて大きな国だ。大昔はこの国も含めて大陸丸ごと治めていたと習った。

「イワンも使った事あるの?」

「そんなお金があったら酒を買い占めてましたね」

穏やかな笑顔で言われた。

イワンの冒険者時代の事は時折話してくれるが全くイメージが湧かない。



首を傾げるリーンに苦笑しながらイワンが続ける。

「転移門とは異なりますが、ダンジョンにも似たような仕組みがあります」

「「「ダンジョン」」」

三人の瞳が一気に輝いた。

「入口の門は中の亜空間に繋がっていて、ダンジョン内には5階層毎に転移の台座があります」

「転移の台座」

教会の台座みたいに、きっとこれも今の人には作れない物なのだろう。

「ええ。例えば5階層の台座で魔力を登録すると5階層から入口の台座に転移出来、それ以降は入口から5階層の台座に転移出来るようになります。更に10階層でも登録すれば入口で5階層か10階層か行き先を選べます」

「便利だな」

「そうですね。ダンジョンは大きなものだと100階層を超えますので」

「えぇ。そんなに大きいのぉ?」

「それ程大きなものは大陸に一つか二つぐらいですよ。この大陸には二つ。一つは125階層が最下層で攻略済み。もう一つは未だ最下層には到達していません。確か140階層を超えた辺りで攻略が止まっていたかと」

ダンジョンは最下層にいるボスを倒すと攻略済みとなり成長が止まる。逆に言えば最下層のボスを倒すまでは時間と共に成長し続けるのだと言う。

凄い。一生かかっても攻略出来なそうだ。




結局その後はダンジョンについて興味津々の三人からの質問攻めでイワンの授業は終了した。実際にダンジョンに何度も潜った人からの生の話など大興奮以外無い。

長距離転移は転移前と転移後に絶対に人目につかないようにと言い聞かされたが。使ってはいけないとは言わないところがイワンらしい。

人目につかない対策とか急に遠くにいる言い訳とかが用意出来たら、そのうちキャシーにも気軽に会いに行けるかもしれないし将来村を出た後も帰って来れる。

元々の目的もあるし練習は続けよう。



「ダンジョンかぁ〜」

「訳分かんねえな」

「ふふ。そうだね」

聞けば聞く程意味の分からない場所だった。崖にあるダンジョンの入口に入ったら海の中とか、洞窟の階段を降りたら森とか。入る度に復活している罠やいつの間にか設置されている宝箱。神々の遊技場と呼ばれる理由が分かる。


「思ったんだけどぉ、リーンの空間把握ってダンジョンで使えるんじゃない?」

「あ」

壁に囲まれた一定の範囲。条件には合う。

「お前地図書くスキルあったろ」

「そうそう。意識して育ててなかったけどさ、リーンの空間把握と俺の地図作成は育てるべきだねぇ〜」

ダンジョンには是非行ってみたい。また要強化のスキルが増えてしまったが、これは仕方ないだろう。

ウンウン頷きはたと顔を上げる。

「罠を解除する人は?」


イワンの話では、ダンジョン内には罠が多数あるためそれを見つけて解除する専門の人を雇ったりするらしい。ただ赤の他人を雇うとなるとトラブルも起きやすく、酷いと荷物を奪われ逆に罠に嵌められて殺される事もあるとか。

パーティ内に罠の解除、少なくとも見つける事が出来る人がいるのが一番いいと言っていた。



「罠ねぇ。狩猟用の罠なら一通り……」

リーンとセオがじっとケネスを見ている。

「ちょ、なに〜?罠ならセオも」

リーンとセオがじっとケネスを見ている。

「あの、ちょ」

リーンとセオが

「分かったってば!もう。罠の解除勉強しておくよぉ」

そういう事になった。一番器用そうな人が引き受けてくれて良かった。

にこやかなリーンと眉間にシワを寄せた満足そうなセオがハイタッチしている横でケネスのため息が響いた。



後々にケネスはこの時自分が引き受けて良かったと心の底から思う。変に好奇心旺盛なリーンとセオの二人は謎の仕掛けがあったら発動させる。絶対。

首を傾げながら発動させるか無造作に発動させるかの違いしかない。


この日はこのパーティの安全性が格段に上がった日となった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ