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リーン君の大冒険?  作者: 白雲
第1章 幼児期
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6

リーンがマルツ村にやってきて一週間が経った。

家族はまだたまにぎこちないけれど、概ね良好な関係を築けている。特にキャシーとはとても仲良くなった。



この一週間は主に家族と、この家に数人いる使用人達と交流をした。



まずは弟のオズ。小さな赤ん坊でまだハイハイも出来ない。焦げ茶色のフワフワした髪と、リーンと同じ不思議な色味の瞳を持っている。指を差し出すとキュッと小さな小さな手で握ってくれてとても可愛い。

そぉっとフワフワの頭を撫でた。ぽわぽわの感触と共にミルクの甘い匂いがする。赤ちゃんだからまだぎゅってしちゃダメ。大きくなるまで我慢。



オズの髪と瞳は完全にドランと同じ色だが、顔の造り自体はキャシーもオズも母親のミリアにそっくりだ。猫のようなクリクリとしたつり目と、ちょっと小さめの鼻が愛らしい。

ちなみにドランは涼しげな目元とスっと通った鼻筋でなかなかの美男だ。小さな頃からモテモテだった。


ただリーンは眉をへにょりと下げた情けない表情ばかり見ているので、父親を美男だとは認識していない。




次に使用人達。

初日にキャシーと共に見かけたクレアは白髪をきっちりと結い上げ、背筋を伸ばしてキビキビ動くご婦人だ。礼儀や作法に厳しくてキャシーは良くお小言をもらっている。

リーンの中の "おばあさん" のイメージを崩壊させたお人だ。

たまにリーンとキャシーを見てうっと呻き胸を押さえている。……大丈夫だろうか。



そのクレアと、クレアの旦那さんのイワンが使用人達を纏める役割をしているらしい。


イワンは白髪と背筋が伸びているのはクレアと共通するが、性格は温和でいつも微笑んでいる人だ。とても大柄で、リーンと話をする時は片膝をついた上に身を限界まで屈めてニコリと笑ってくれる。

怖がらせるんじゃないかと心配しているようだが、リーンとしては大きなクマが大人しく微笑んでいるイメージでとても好感を持っている。

そしてこちらもやっぱりリーンの中の "おじいさん" とはイメージが合わない。腹筋が割れてるおじいさん……。



後はソーニャという、ミリアより少し年上に見えるふくよかな女性と、ニナという小柄な若い女性が掃除、洗濯、料理の補助までしている。こちらは忙しそうなので、挨拶をしたくらいで交流はあまりしていない。

廊下ですれ違えばお互いにニコニコと挨拶はするので良しとする。



料理は専任のトーマスという男性がいて美味しい食事を作ってくれる。

背はあまり高くはないがムキムキで、もみあげからグルっと顎髭があり目つきの悪い山賊のようなオヤジだ。

リーンは紹介された時に何かの間違いじゃないかと思った。


調理場の近くを通る度に、五歳にしては細いし小さいんじゃないか、飯ちゃんと食ってんのかと絡まれる。その時に必ず何かしらのお菓子をくれるのでリーンは絡まれるとニコニコしてウンウンと頷き話を聞いているが。

一度だけ絡まれてる時にクレアが通りがかりトーマスに説教をし始めた時は、もの凄くショックな顔をしてクレアを困惑させた。



外は、厩番と庭師を兼任しているフレディというひょろっとした気弱そうな男性の担当。

庭師と言ってもきちんとした立派な庭がある訳では無く厩番の趣味が土いじりだっただけだ。たまにミリアと相談して花を植えたり家の周りの木を剪定したりしている。

挨拶した時に、カッコイイ木の枝があったらぜひ譲ってほしいと頼んだら困った顔で頷かれた。


翌日、芸術的なバランスで見事な枝振り、豪奢に花が咲き誇るミモザの枝を受け取って、コレジャナイと思いながら丁寧にお礼を伝えた。五歳児にこれをどうしろと。

なんかこう、探検の時に手に持つようなカッコイイ感じの枝を……。



家の使用人は以上で、後は必要な時に村から手伝いに来るらしい。




そしてリーンは客間からキャシーと一緒の子供部屋に移った。オズはまだ小さいので両親と一緒の部屋。


キャシーは大歓迎で迎えてくれた。

どうやら、村の子供達が兄弟で夜更かしをしたり夜中にこっそり取っておいたパンを食べたりした話をしていて、とても憧れていたらしい。

リーンとしては夜中にパンを食べる魅力はイマイチわからなかったが可愛い妹の希望は叶えたい。



気合いを入れて臨んだがキャシーもリーンも寝たフリをしたままぐっすり眠ってしまい、未だ実行されていない。

綿入りベッドの寝心地が良すぎる。魔のベッドだ。


そして後日、カビたパンが見つかり二人並んでクレアにしこたま怒られた。



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