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リーン君の大冒険?  作者: 白雲
第2章 少年期
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ついに氷属性の付与が成功した。今、リーンの前のテーブルにはひんやり冷たい木の枝が数本並んでいる。



試行錯誤の末ようやくコツを掴んだ。付与のコツは魔法を発動させようとしない事、意識的に魔力に特性を持たせない事、意識的に魔力の操作をしない事、だ。

具体的に言うと付与したい効果を思い浮かべてぼんやりしながら魔力を放出する。それで出来上がる。


そんなバカな。

リーンも辿り着いたこの答えに疑問は感じたが、それで立て続けに成功したので納得した。付与のコツはぼんやり。

出来上がった冷たい枝を鑑定してみる。


『マツの枝(氷)』


「よし」

コクリと頷く。

鑑定も毎日コツコツ頑張っている。順調だ。最近種類が分かるようになったので多少は役に立っている。属性が付いていればそれも分かるらしい。


じゃあ早速付与のスキルレベル上げだ。レベルが上がらないと硬い物や複雑な物への付与が出来ない。枝はたくさん拾ってあるし、お昼まで頑張ろう。

リーンは枝の山から一つ手に取りぼんやりして同時に空間把握のスキルを使う。並列思考のスキルはまだ使えないので、こちらも習得のために色々と試しているのだ。




「……わぁ」

リーン目の前には木の枝で出来た小さなリーンの家がある。多少歪だがなかなか上手く出来ている。が、リーンに作った覚えは無い。そもそも作れない。

じゃあ何故ここにあるのか。付与と空間把握を同時に使ったからだ。やりたかったのはこれじゃない。

家と言っても屋根は付いていない。材料が足りなかったのか空間把握だから外側は分からないという事なのか。

中を覗いてみると流石に家具は無いが柱や階段なんかもちゃんとあるようだ。すごい。


リーンはひとつ瞬いた後で頷き、一抱え程の家を魔法の鞄にそっとしまった。保留。



枝が無くなったのでお昼ご飯までの予定が消えてしまった。仕方ないので部屋の中の物を鑑定しながら考える。

鑑定と言えば教会のスキルを調べる仕組み?も今回の件と似たようなものなのでは。

あれは祈りの間にある石の台座に羊皮紙を置いてその前で祈りを捧げると羊皮紙にスキルが印字される。人がやった事では無いが同じような現象だ。

あ、じゃあ別に変な事じゃないのかも。皆出来るのかな。




「あれは神の時代の御業で、今の人には出来ないの」

ダメだった。

昼食時にミリアに聞いてみた結果だ。

「あの台座は昔、神々がまだ地上にいらっしゃった頃に作られた物を模した物だとか。そうよね?」

「えぇ。神に近しかった古代の人々は魔法やスキルを混ぜ合わせたり、新しく生み出したり出来たようですね。付与スキルなどはその名残りと言われています」

イワンがお茶を持って来てくれて会話に加わる。

……古代の人。


エルフの血を引いていたり古代の人だったり。

うん?エルフ自体あまり知られていないのならそっちに何かあるのかも。

リーンはとりあえず先祖の血に責任を押し付ける事にして、お茶を飲みながら神話に近い頃から現在に続くまでのスキルや魔法の話を聞いた。




昼食時の話で分かった事がある。今まで魔法に関してはアウトな事をごく普通にしていた。

イワンの話ではスキルや魔法を混ぜたりは普通出来ない。火魔法と水魔法が使えても、温かい湯を出したかったらまず水魔法で水を出して火魔法で温めるものらしい。

温かい湯を最初から出すのは無しだ。


付与は目に見えない魔法やスキルの効果を物に付ける事が出来、身代わりで砕けるなどの "効果" は付与出来るが、鑑定結果を印字したりは出来ない。

付与でミニチュアの家を作るのも無しだ。



ウンウン頷き部屋に戻ったら、部屋の前でイワンがニコニコして待っていた。あれ。

「坊ちゃん。で、何のスキルで何を作ったんです?」

バレてた。



「魔法を混ぜる事は出来ませんが、一瞬ずらして発動する事は出来ます。相当な技量が必要ですが。なので坊ちゃんの魔法はあまり問題無いですよ。そもそも複数属性持ちが少ないですし」

周りが勝手に勘違いしてくれます、と言いながら小さな家をしげしげと見つめるイワン。出した時は絶句していたが。

リーンが魔法をごく普通に混ぜて使っていたのは気付いていたらしい。問題は無いがそれが一般的では無い事はそのうち教えようと思っていたという。


常々思っていたが、イワンの観察眼は本当に侮れない。

そうやって注意深く見守ってくれながらも自由にさせてくれる事に改めて感謝の念を抱く。



「瞬間記憶のスキルが使えるようになったら皆で笑ってる場面を記憶して、付与で絵にしたり出来るかな」

リーンの言葉にイワンが顔を上げて笑う。

「それはとてもいい考えですね。出来るようになったら爺にも一つ分けて下さいますか?」

もちろんと頷き二人で笑った。


まだまだ先だけど、村を出るまでに絶対に出来るようになろう。この先ずっと、大人になってもこの暖かい場所を忘れないように。



ほのぼのした後で自分の普通と世間の普通の違いについて色々と聞き、丸ごと保留する事にした。

びよん達みたいな精霊は見た事無いってほんと?え。普通は人型とか動物型なの?



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