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リーン君の大冒険?  作者: 白雲
第1章 幼児期
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今日は午後にメイソン侯爵のお屋敷に行く日。

ただリーンはいつも通りでいいと言われているので特に何か構えるという事もない。出掛ける前にフリフリキラキラに着替えるだけだ。


午前中に公開裁判が行われるらしく、ラウロとジャネットに誘われたが断った。罪人が鞭打ちや縛り首になるのを眺めるのはちょっと。

世間の人々にとっては数少ない娯楽であり出店なども出てお祭り騒ぎなのだが。子供達の興味は引かなかったらしい。



そうして午前中暇な三人はLv-のスキルを練習する為に中庭に出ている。

予想通りキャシーのスキルに便乗と言うか全面的にお世話になっている状態だと聞いた時は、お兄ちゃんとしてそれはどうなんだとは思ったが。オマケが貰えるのはLv1未満のスキル限定みたいだし。頑張って習得してキャシーにありがとうと言う事にする。

あと嫌われると影響を受けないという話にセオが驚いていた。嫌われていると思っていたらしい。嫌ってなどいない。兄のお世話をしてくれる人だ。



さて、何から手をつけよう。

「とりあえず〜俺とセオは魔力なんとかしよぉ」

「なんとかってなんだ」

「んあー……気合いでなんとか」

「きあい」

「…………」


大丈夫。こんな事もあろうかと大きなクマと武人を連れて来ている。部屋に居た。

「それでは私が属性を武器に纏わせるコツと魔力操作のコツをお教えしましょうか」

チラリと仁王立ちするウォードに視線を送り(ふざけた事すんなよと目で語ってから)セオとケネスの所に歩いて来た。


自動的にリーンとウォードがペアになる。



「よろしくお願いします」

じっと見上げる。

「…………」

「…………」

じっと見上げる。

「…………」

「…………」

じっと見上げる。

「…………」

「…………」

じっと見あ

「お前何覚えたいんだ」

「えーと。料理」

「却下」

「じゃあ、回復魔法」

「俺が怪我作りゃいいか?」

「やっぱりやめ」

頭をブンブン横に振る。なんか怖い事言ってきた。

じゃあ、どうしよう。料理担当と言われたから料理と答えたけどダメらしい。回復はもう言わない。後は……


「後はよく分からない」

「お前魔法特化だったよな」

うんうん頷く。

すると不機嫌そうな顔が間近に来たと思ったらヒョイと抱き上げられ肩車されていた。首疲れるとボヤく声も聞こえる。

急に高くなって怖かったのでグワシッと思いっきり両手でウォードの頭を鷲掴んだが気にしてないようだ。そしてそのまま会話が続く。


「俺は魔法あんま分かんねーぞ」

「そうなの?後はへいれつしこう?とか空間はあく」

「おぉ頭良さそうだな」

くつくつと笑うのに合わせてリーンも揺れる。ちょっと楽しい。

「ちっジジイの視線がうるせーな。中入るか」

ジジイ?誰だろう。キョロキョロしてる間に宿の中に移動していた。



「空間把握なら丁度いいだろ。壁とか天井床を眺めながら、自分が建物のどこにいるのか考えろ」

そう言ってリーンを乗せたまま宿の中を適当に歩き出す。

頭に小動物じみた幼児を装備したとんでもない強面に、すれ違う人が五度見ぐらいしていた。幼児が楽しそうなので事件ではないと認識されたのが救いだが、多分リーンが悲鳴を上げた瞬間に衛兵が呼ばれる。



「しっかしお前変な奴だよな」

「へん」

言われた通りにあちこちに視線を向けながら宿の造りを考えていたら、またくつくつと笑う振動と共に言われた。

「お前俺の事もうちの倅の事も怖がんねーだろ」

「だって、怖くない」

「それだよなぁ。さっき持ち上げた時も無抵抗だったし。お前簡単に拐われんじゃねーか」

「悪い人にはていこうする」

「どこで判断すんだよ」

ちょっと呆れたような声。失礼な。ちゃんとわかる。

「外でニコニコお菓子くれる人はダメ」

「その基準どうなんだ」

通りすがりの子供好きが全部敵になる。まあ、正しいっちゃ正しいので放置されているんだろうが。

「あと、目」

「目?」

「うん。優しそうでもニコニコしてても、ボクの事が嫌いだったり、何かいじわるしたい人は目が……違う」



大きな手がリーンの脇腹を掴み持ち上げられる。鷲掴みしていた頭を超えてクルリと向いてる方向が変わり、ウォードの顔の前で向き合う形になった。足がブラーンとなる。


「なるほどなぁ。意外とちゃんと見てんだなお前」

獰猛さを全開にしたような顔で楽しそうに笑う。それをきょとりと見つめる幼児。周りからどう見られるかは不明だが、目撃者が居なかったのは幸いだった。

「あ」

「あ?」

「宿のこうぞう、分かった。一階の半分と、二階はぼんやりしてる」

「マジかよ。お前の妹がやべーのかお前がやべーのか」

「やべー?」

「いや、いい。戻るか」

再びリーンを頭に装備して歩き出す。




そうして戻った中庭で、雷を纏わせた短剣を持つ息子と何か水色で半透明のよく分からないものを召喚した農家の息子を見た。こいつら全員やべーんだな、と納得して頷く。


後、イワンには別室でしこたま怒られた。なんでだ。



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