孤児院へ寄付(2)
「石鹸作りたいやつ、ここに集まってきてくれ」
この世界で石鹸は貴重で高価だ。そのため頻繁に使うことができない。大抵は水だけで体を清め、風呂は終わりっ!という生活をしている。
だが、旧日本人の俺からしたら、石鹸て簡単に作れるよなってこと。
「屋台で出た廃油や貝殻、灰を貯めといてくれたか?」
俺は少し年長の子が何か箱で運んできたので話しかけた。その子は無言で頷いた。
屋台を運営している孤児達は廃油や貝の殻などは腐るほどもっている。そのため、廃油石鹸なら、灰と廃油、貝の殻で無料で作れるのだ。
廃油石鹸は体を洗うには適していないが、洗濯や手洗いに使い放題の石鹸があれば格段によくなるだろう。体用には未使用の油をたまに使って作ればいい。
俺は先程の少年と、ある程度大きい子供に手伝ってもらうことにした。
「少年、まず、灰を水に入れて混ぜて、上澄みだけすくってこちらの容器に入れてくれ」
「少年じゃない。ロイだ」
「わかった、ロイ。よろしくな!」
「おう、任せろ!」
「さて、火の魔法が使える司教様がいると聞いてきたのだが、どこだろう」
「私だ」
広場の端で見ていた男が手を挙げた。
想像していたよりもずっと若かったため驚いた。
"え。サンジュリアンの育ての親ってことだから、親世代だよな………どうみても20代前半にしか見えないのだが………"
俺はそんなことを考えつつも、
「普通に高温で貝を焼いてもいいのだが、火の魔法が使えれば一瞬だからな。この貝が灰になるように焼いてくれ」
「わかった…………これでいいか?」
「完璧だ」
「あとは、簡単だ。上澄みと貝灰を混ぜて、その後廃油と混ぜれば、固まってくる。それを型に流して一日待てばいいさ」
「わぁー!」
子供達は自分の好きな型を持ち寄って集まっていたため、我先に入れてもらおうと集まってこようとした。
「この液体は危ないから一人ずつゆっくりな」
俺は後はエドモンに引き継ぎ、先程の司教に話しかけた。
「先程はありがとうございました」
人の良さそうな顔をした司教がにこやかに笑って答えてくれた。
「いえいえ。こちらこそ、秘伝の石鹸の作り方を教えてもらってありがたい」
俺は実家が石鹸メーカーだったことにしていた。何故かこの世界、石鹸は高価だし作り方も秘密なのだ。
「ところで………あなたが」
司教がおそらくロイを助けたときの話をしようとしているのだろう。
俺は
「部屋の中で話しましょうか」
と声をかけた。




