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お忍びデート(4)

剣を鞘に収めていた俺に、ヒロインと思われる女性が話しかけてきた。


「助けて頂きありがとうございます!」


「今度から気を付けろ。脇道は昼間でも危ない」


「は、はい!」


「じゃあな」


俺は早々に立ち去ろうとディアナ嬢の方へと歩き出したが、


「お待ち下さい。私はドレスデン男爵が娘、サファイア・ドレスデンと申します。助けて頂いたお礼をさせてください。お名前を教えて頂けないでしょうか」

と、再び話しだした。


だれ恋ではサンジュリアンに身分を明かさず名前を名乗っただけだったはずが、突如身分を明かしたヒロインに俺は内心焦った。


「俺に構うな。声がしたから仕方なく助けたに過ぎない」


俺はそう答えながら、ディアナ嬢の手をとろうとしたが、今度はサンジュリアンが話しかけてきた。


「お待ちください。あなたはもしかして…」


俺は静かにサンジュリアンの方を振り返り、


「支援感謝する。だが、あんたも俺に構うな」


俺は語気を強めこれ以上話すことは許さないといった口調で言った。


「っ!」


サンジュリアンは俺だと確信した目をしたが、それ以上は話しかけてこなかった。


俺は再度ディアナ嬢の方を向き彼女の手を優しくとって、


「怖い思いをさせたな、行こう」と歩き出した。


だが、ヒロインが今度はディアナ嬢に話しかけてきた。


「あなたにもとばっちりでごめんなさい。でも、守ってくださる素敵な男性を連れていて羨ましいわ。あなたの名前も教えて貰えないかしら?」


ディアナ嬢は俺の顔を少し見た後、


「大丈夫。少し驚いただけだから」とだけ答えた。


俺はディアナ嬢を引っ張るように連れていき、市場から少し離れたところに待たせていた馬車に乗り込んだ。

一息ついていると、ディアナ嬢が口を開いた。


「ドッケンバード伯爵子息がいらっしゃいましたね」


「そうだな。あいつにはバレた」


「私も彼とは知り合いですし、バレてもしょうがないですね。でも彼なら平気では?」

そんなに口の軽い男でもないですし、そんなに警戒なさらなくとも、と言ってきたが、俺が交流を拒んだ理由はヒロインがいたからだ。ディアナ嬢に説明出来ない。


「………どうせ話すこともないし、問題ない」


それだけ言うと俺は馬車の外を眺めた。


"ヒロインとサンジュリアンは一応出逢ったし、この後話しているだろうから問題ないだろう"


俺は外を見ながらサンジュリアンルートを思い出していた。


サンジュリアンルートは、学園前からのエピソードがあった。サンジュリアンは、出身である孤児院によく手土産を持って行くため、市場に来ていた。その際、よく街に行っていたヒロインと出逢い交流を深めていった。ただ、学園に入学するまでお互い貴族だと知らなかったため、友人の域を出ない付き合いだったが、学園入学後は同じ貴族と知り、サンジュリアンルートを選択すれば恋に発展させることは一番簡単なルートだった。

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