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お忍びデート(3)

他にも焼き鳥やスープなど色々試していたが、ふと露店の店先に氷のかけらをそのままペンダントトップにしたようなペンダントがあった。

それはコバルトブルーで海のような優しい色合いなため、流氷がある海の港ナティアの土産物としても使えるな、と考えて見ていたら


「ガラスの破片で作ってるからそんなに高くないよ。彼女にどうだい?」

と話しかけられた。


俺はディアナ嬢が安価なペンダントを普段つけることは出来ないだろうから、ナティアの土産物サンプルとして買っていくことにした。


「じいさん、貰おう」


「まいどー」


じいさんはディアナ嬢に渡すと思ったらしく、簡素だけれども包んでくれた。


俺はそのままポケットに入れた。


ディアナ嬢が何か言いたげな様子だったため、


「どうした?」


と聞いてみた。


「い、いえ。あの……そのペンダント、どうなさるのですか?」


「ああ、まぁ、ナティアの土産に出来たらと思ってな」


「そ、そうですか」


ディアナ嬢は微かな声で「ナティアさん……」と呟いていたが俺には聞こえなかった。




そろそろ薄暗くなってきたため帰ろうかと思っていたところ、


「やめてください!」


と女性の声が聞こえた。


振り返ると、ペンダント屋の横の路地で揉めている人影があった。どうやら柄の悪いナンパのようだ。


騎士候補生の剣を腰に差しているし、助けないわけにはいかないか…と少し考え、


「ディア、側を離れないように」と伝え、声がした方へ向かった。


「なー、お茶でもしない?ここで会ったのも運命だよね」


「私は家に帰るところなので離してください」


「じゃ、もう暗くなるし送ってくよ、家どこー?」

 

女性の方は腕を掴まれ動けないでおり、かなり怯えていた。


俺は

「おい。強引なナンパは実を結ばないぞ」

と声をかけながら近づき、女性の腕を掴んでいた男の腕を掴んだ。


「あぁ?なんだ?じゃますんじゃねぇ!」


と反論してきたため、俺はそのまま掴んだ腕を捻りあげた。


「ぎゃあ!」

男が悲鳴を上げると、路地裏から別の男が数名出てきた。


「おい、兄貴に何してくれてんだよ!」


女性二人いて男が数名のこの状態は分が悪い。俺は剣を抜き、ディアナ嬢ともう一人の女性を先に大通りへ逃がそうとしたとき、騎士団長の伯爵家嫡男サンジュリアン・ドッケンバードが現れた。


「俺も力を貸そう」


そう言いながら、彼は男たちに剣を構えていた。


流石に抜き身の剣を見て臆したのか、はじめの男が


「また今度遊んでやるよ」と言いながら男たちを引き連れ逃げていった。




俺はサンジュリアンが現れたことで嫌な予感がした。


"やばい。これ、サンジュリアンとヒロインの出逢いシーンでは……"


俺は助けた女性を恐る恐る確認した。

よくよく見ると、平民服を着ているがフワフワのピンク色の髪の毛でだれ恋でよく見たヒロインの顔をしていた。


"やっちまったー………"



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