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思い出す

「殿下、大丈夫ですか?」


謁見の間から出てきた俺に対して、気遣わしげに声をかけてきた。


彼は俺の顔色を読む。

彼が誰かって?

俺の護衛騎士で、エヴァン・ド・クリスタリア。


まだ俺の母上が生きていた頃、母の側に遣えていた彼を俺が気に入り、むりやり俺の護衛騎士にしたらしい。

あまり覚えていないが……。


そんな長い付き合いだからか、それとも彼だからか、隠していても顔色を読まれる。


今も、特段顔色を変えているつもりはなかったが、心配された。

なぜだ。


「問題ない。」


それだけ答えると

俺は自室へと急いだ。




自室に籠ると、俺は昼間感じた違和感について考えていた。


みすぼらしい、そう思った街。


再び考えたとき、ふと、昼間の街並みに違う風景が重なって見えた。


「お兄ちゃん、こんな丘あるんだね、とっても綺麗!」


そんな声が聞こえてきた。


なんだ?


「あのゲームの中に出てくる風景に似てて素敵っ!連れてきてくれてありがとう!」


そう言いながら、とびきりの笑顔で少女が笑っていた。



その瞬間、俺は感じていた違和感の正体に気がついた。


俺の中にもう一つの記憶が存在すると。







俺は、前世日本という今とは違う国に住んでいた。

そこには身分もなく皆が平等に……というわけではないが、まぁ、それなりに平和な国だ。


そこで俺はシステムエンジニアとして働き、妹の入院費を稼ぐため頑張っていた。


妹は、癌におかされており、ほぼ外出ができていなかった。

そのため、よく病室で乙女ゲームをしていることが多かった。


そして、今、俺が生きている世界がその乙女ゲームだ。


確か「あなたは誰と恋をする?~下克上ラヴァ~」だ。


ヒロインは平民出の男爵令嬢で

王子様、公爵令息、騎士団長の嫡男、宰相の息子、魔法師団長の嫡男とそれはそれは身分不相応な者たちと学園で恋に落ちるというものだった。


まぁ、それは乙女ゲームなのだから仕方ないが、問題はその攻略対象の一人が今の俺ということだ。


「あなたは誰と恋をする?~下克上ラヴァ~」略して、だれ恋、の攻略対象の王子は二人いる。

一人は俺である第一王子、もう一人は第二王子だ。


第一王子ルートは幻のルートとも言われており、なかなか行けないと妹は言っていた。


「なんで、攻略本にも行き方書いてないのかなぁ。この第一腹黒王子と恋したいのにぃ~」とよく妹は言っていた。


そう、この第一王子、なぜか恋しようとする相手を陥れる悪役なのだ。


「この第一王子、漆黒の闇夜のような黒髪で、瞳は薄紫、顔の造形はギリシャ神話の美の女神に愛された美青年のよう!はぉ~、なんで、愛を囁いてくれないのぉ~」


とよく叫んでいた。


第一王子は大抵ヒーローを今の地位から引きずり下ろすために暗躍したり、ヒロインに手を出そうとしたりする。


が、ヒロインがなんやかんやヒーローを手助けし難を逃れ、学園最後の卒業パーティーで王位継承権剥奪、平民落ちか、第二王子ルートの場合は処刑されたりする。


なぜ攻略対象なのにこんなエンド!?という破滅エンドばかりみていた妹は、


「なんか、この第一王子ルートあるのか怪しいよね。わざわざ王子を悪役にしなくてもいいのに」

と嘆いていた。


確かに、とは思うが

きっと製作者のいたずら心で作られた

キャラクターなのだろう。

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