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お忍びデート(1)

俺は黒の平民服を身に纏い、髪型はボサボサに、肌色は魔法で良く日焼けした小麦色に変えた。腰には騎士候補生の剣を携えることで、騎士のような佇まいでも問題ないようにした。やはり、どんなに平民服を着ても、良く鍛練している姿形は目を引く。それに加え、自分で言うのもなんだが、顔が恐ろしく整っているから目を引いてしまう。あまり微笑まないようにしよう。


魔法で別人に変えることも出来るが、それは稀少魔法に当たるため今実行するわけにはいかない。


支度が整ったため、学園の正門に向かいその付近に停められている馬車に乗り込んだ。

馬車の中には既に着替え終わったディアナ嬢が待っていた。


「待たせてしまったな」


「まぁ!一瞬どなたか分かりませんでしたわ!」

ディアナ嬢は興奮気味に言い、より間近で見たいのか椅子から立ち上がりそうな勢いだった。


「落ち着いて、ディアナ嬢。バレるわけにはいかないので、普段とは正反対な装いにしてみたが、どうだろうか?」 


「えぇ!とても素敵です!いつもが漆黒の王子様なら、今日は漆黒の騎士様って感じです!」

ディアナ嬢がいつもよりくだけた口調で返してきた。

どうやら、騎士の方が身近に感じるらしい。


「私はいかがでしょうか?」


彼女はハイウエストの小花模様のワンピースを着ており、髪型も三つ編みにして左側に垂らしている。とても可愛らしく品のある装いになっていた。


「とても可愛らしいよ」


「ありがとうございます!実は、平民服を着ても平民のように見えないと侍女に言われ、心配でした」


「それは否定しない……まぁ、仕方ないだろう。あと、呼び名だがレイと呼んでくれ。さきほどは呼んで貰えなくて寂しかったからな」


ディアナ嬢はふくれた顔をし、

「それは殿下が先にディアナ嬢と呼んだからですわ!」

と言ってきた。


俺は目を見張り、

「それでは同じ気持ちだったのかもな。どうも人目がある場所だとうまくいかなくてね」

と言い、声をあげて笑った。


それにはディアナ嬢もビックリしたようで固まっていた。


「今日は騎士候補生のレイだ。無愛想にし粗野に振る舞うのでビックリしないように」


「わ、わかりましたわ。私も砕けた口調にするよう心がけます」


「では、ロデルナの市場に行こう」

話していたらあっという間で、いつの間にか馬車は出発し、ロデルナの広場に到着していた。


馬車を降りたところで、俺はディアナ嬢に手を差し出した。


「どうされました?」

と聞き返されたが、スッと手を掴み、繋いだまま市場の方へ歩きだした。


ディアナ嬢を見ると、顔を真っ赤にし体はぎこちない動きをしていたが、そのうち意を決したように手を握り返してきて嬉しそうにしていた。



"騎士の格好だし、ちょっと強引なくらいでもいいよな"

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