ただいま!
「ふー、やっと戻ってきたぞ。お腹が空いたが、金もないしまずはギルドだな」
行きと同じように門番のおじさんに冒険証を提示して、街に入る。
夕暮れ時ということで、買い物に出てきた人たちでごった返している。
「後でおばばさんにもお礼を言いに行かないとな~」
歩くことしばらく、冒険者ギルドに到着し、2つある受付のうちクラリスさんが居る方に並ぶ。仕事を終えて、続々と冒険者たちが戻ってきているため、そこそこ混んでいる。しばしの間、ボケーっとしていると、声を掛けられる。
「次の方、前へどうぞ…っと、ロイ君じゃない!無事だったのね!偉い偉い!」
わりと大きめの声だったということと、人気受付嬢ということも相まって、辺りのいかついお兄様方からぎろりと睨まれる。俺の年齢が12歳ということがなければ、きっと絡まれたりしてたかもな。幸い俺を見て、なんだガキかとすぐに視線は散ったようだ。褒められるのは嬉しいが、できれば個室で二人きりの時にお願いしたいものだ。
「どうも。依頼の達成報告に来ました。ライト草12本と、ゴブリン一体を討伐しました。魔石とこのナイフも買取お願いします。」
「ええ!?ゴブリンと遭遇したの!?たしかにデライト草原にもいるとは言ったけど、数は少ないし、初日で遭遇するなんてツイてないわね…それよりも!あなたはルーキーもいいとこなんだから、出遭ったら逃げろっていったでしょ、まったく!!」
少し顔を赤くして、プリプリと本気で怒ってくれている。他人で付き合いも浅い俺のために…なんて優しい人なんだ。好き。
「悪かったよ、気がついた時には後ろにいて、戦わざるをえなかったんだ。」
逃げよう思えば逃げられたから、少し後ろめたい気もするな…。
「…今回は見逃すけど、次はちゃんと装備を整えてからにしなさいよ、せめて!」
そういいながら、慣れた手つきでライト草や他の物を確かめてゆく。
「あらすごい、ライト草は丁寧に処理してあるわね。これなら75Gで買い取るわ。ゴブリンの魔石は300G、ナイフは100Gってところね。合計1300Gになるわ。査定に納得がいったなら、ギルドで買い取りとさせていただきます。それと依頼達成の記録をするから、プレートを出してちょうだい。」
「…あぁ、それでいい、頼む。また明日も来るからよろしく頼む。」
「はい、お疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね。」
ギルドを出て、受け取ったお金を握りしめる。くそっ、それにしても1300Gかぁ、ゴブリンも倒したし、ライト草も高めに買い取ってもらったのに稼ぎとしては安いよなぁ。これじゃあ、いつになってもスラムから抜け出せねぇ。
やっぱり、クラリスさんには悪いが、魔物狩りをメインにする必要があるな。あの人は知らないだろうし、知ってほしくもないが、スラムで長く生き続けるのは楽じゃねぇんだよな。ぼんやりとそんなことを考えて独りごちたのだった。
さておばばさんに礼を言いに行こうかな。途中お礼の品として、気の串に刺さった焼き鳥を5本ほど買って(計100G)、店に向かう。自分の分はお礼の後に買おう。
店について、中に向かって声を掛ける。
「おばばさーん、いますかー?」
すると少しだけ嫌そうな顔をした老婆が奥から出てくる。
「やかましいねぇ、この声はやっぱりあんたかい。いいかい?わざわざ外から叫ばずに、黙って中に入って、買いたいものを私に渡すだけでいいんだ。いちいち呼び出すんじゃないよ、まったく!」
「そんなに怒るとお肌に悪いぞ?これ今日のお礼、夕飯の足しにでもしてくれ。おかげで、採取は上手くいったわ。買い物にはもう少し稼げたら来るよ。」
そう言って、これ以上どやされないように店を出ようとすると
「…待ちな。失礼なガキかと思ったら、なかなかどうして礼儀をわきまえてるじゃないか。ちょっとだけあんたに興味が出てきたよ。これ持っていきな。」
そう言って乱暴にポーションらしきものが入ったビンを投げてくる。危ないな、割れたらどうするんだ。それにこれ、高い奴じゃ…?
「いいのか?」
「それはもしもの時に取っておきな。どうせ今のお前は使えても初期の治癒魔法くらいだろ?それは中級ポーション、ある程度の傷なら治せるはずだ。」
「助かる。俺に投資しとくのは正解だ、リターンもでか…へぶっ!!」
「ひよっこが生意気言ってんじゃないよ。さぁ用が済んだら帰んな!」
あんのBBA、思いっきり引っぱたきやがって…
ま、用は済んだし、やっと夕飯だ!今までと違って、久方ぶりのまともな飯だ、腹が鳴るぜ。にしても何喰うかなぁ、やっぱ肉だよな…