冒険ってワクワクする
「さてと…たしかライト草が生えているのは東門から出た先にあるデライト平原だったな。まずは市場に寄って、ライト草がどんなもんか確かめないとな」
冒険者ギルドがある中心街には、様々なものが売られている市場がある。
初めて手にした借り物の剣を手に、逸る気持ちを抑えながら、ロイは歩き出すのであった。
「たしか薬草を扱ってるのはこの店だったな。こんちわーっ」
こぢんまりとしたお店から出てきたのは、白髪頭にトンガリ帽をのっけたばあちゃん。訝しげにこちらを見てくる。BBAのジト目はノーサンキュー。
「ガキンチョがうちに何の用だい?」
「ライト草を見せてくれ。これから採りに行くから、実物を見てみたいんだ」
「なんだい、客じゃないなら出ていきな。と言いたいところだが、冒険者のお陰で仕入れが出来てるからねぇ。仕方ない、ほらこれがそうだよ。」
「おー、これがそうなんだ!ちなみに採り方にコツとかある?」
「良い質問だねぇ。これはもう根を落としてあるが、採ってくる際は必ず根っこごと採ってくることだ。でないと劣化が激しくて、ギルドの買値も落ちるだろうさ」
「良いこと聞いた~根っこごとだな?よし分かった、行ってくる!!ありがとう、ばば…あさん!」
「今確実にばばあって言いかけたね?ちょっとこっち来な」
そうして東門に着いた。冒険者になった大きな理由がここに一つある。身分証のないものは、門の出入りが出来ないのだ。だから、外で金を稼ぐことも出来なかった。そして冒険者プレートは、もちろん身分証にもなる。
「身分証を出せ。…よし通れ」
思った以上にスムーズに事が進み、ドキドキしていたのがあほらしくなった。
もっとこう、初心者か?悪いことは言わねぇ、一人で草原に行くのは止めとけ。とか言われるかなとか思ったのに。まあ人通りも多いし仕方ないか。
そして街道を進むとデライト平原が見えてきた。そして街道から少し右に外れると、あたりにちらほらと草木が生えている。さらに進めばだんだんとその密度も増してくる。
「よーし、この辺で探してみるか。その前に一度ステータスを確認しておこう。」
この世界では誰もが、自分のステータスを見ることが出来る。他人のステータスを見るには鑑定というスキルが必要だ。またレベルという概念があり、これは全ての物事に影響を及ぼす。レベルが相手より上回れば、鑑定で盗み見することも成功しやすくなる。ロイのステータスはこんな感じだ。
【名 前】 ロイ
【職 業】 なし
【体 力】 15/20
【魔 力】 12/12
【攻撃力】 7
【防御力】 5
【魔攻力】 5
【魔防力】 5
【素早さ】 5
【知 力】 1
【称 号】 なし
【スキル】 頑強 悪食
こんな感じだ。体力が減ってるのは栄養が足りてないから。ちなみに頑強は物防・魔防にプラス補正がかかる。悪食は、おなかを壊しにくくなるといったところだ。冒険者なのに職業がなしなのは、あくまでステータスとしての話だ、剣士とかのことね。聞いた話だが、レベルが上がれば自然と就くべき職業が頭に浮かぶらしい。
知力は言わずもがなって感じかね。
とりあえず魔物を倒さないことには、レベルは変わらないということだ。筋トレとかでもステータスは上がるが、やっぱりレベルによる上昇は著しいみたい。