おめ!冒険者登録
「ギルドにようこそ、少年。今日は何の御用かな?」
考え事している間にギルドに到着。生年月日を聞きに来てから2年が経ったわけだが、受付の優しく美人なおねーさんは変わらずにそこにいた。好き。
ふふふ、今日の俺は2年前と違い、臭くも汚くもないはずだ!あの時と違い雨でよーく洗ったし、髪も(ギザギザの石で無理やり)オサレに整えたからね。
ここで俺の自己紹介をしておこうかな。髪は暗めの赤髪で身長は160センチほど、体重は知らんがそこそこの栄養失調だ。おなかすいたよママン。顔は鏡なんてないから水溜まりで見た感じになるが、イケメンよりだと思ってる。違っても大丈夫、心は間違いなく、イケメンだからね。まるで太陽の様さ。さて
「冒険者登録を頼む」
「貴方は…早いものだわ、あれからもう2年経ったのね。生きててよかったわ」
「おぉ!覚えてるの?俺のこと」
「えぇ、この町であなたみたいな小さい子が一人でギルドに来ることはあまりないし、特に10歳かそこらで登録に来た命知らずな子は貴方が初めてだったわ」
「そうなんだね、なんかちょっと恥ずかしいっす」
「褒めたかしら今…さて、前に話した時も止めたけど本当にやるのね?別に冒険者なんてその歳からやらなくても、違った仕事があると思うけど・・・」
「いや過去に面接失敗してるし(クソしてんちょーめ)、何より夢のためには金が要るんだ。皿洗いとかじゃダメなんだ。」
「そう…ならもう止めないわ。じゃ、ここに名前を書いて、針を使って血をこの魔法具の上に一滴垂らしてちょうだい。」
「はーい」
そう、この世界には魔法があるし、魔法具とかいうものがあるのだ。ということは、必然的に魔法使いもいるし、剣士やモンク、聖騎士に聖女はたまたテイマーとなんでもござれだ。
そして特筆すべきは、魔物がいる。ついでに言えば獣人もいるし、エルフもいる。色々いる。エルフは嫁に欲しい。
まぁだからこそギルド、正式には冒険者ギルドなんてものがあるんだけどな。魔物危ないし。
「できたわ。では改めまして、私はクラリス。ロイ君、冒険者ギルドにようこそ!これからよろしくね。」
「2年待つのは長かったなあ、感慨深いや。クラリスさんか、よろしく!」
「はい、これがあなたの登録証よ。色は白、初心者の証Fランクプレート。ここから昇格するとブロンズ(D.E)、シルバー(B.C)、ゴールド(S.A)と色が変わっていくわ。ちなみにその上にプラチナ、ブラックと続くけど、まあこの辺はもう英雄の類いね」
「ほぇー、ちなみにこの街で活動してるトップの冒険者のランクは何?」
「そうねぇ、ここは比較的周りの魔物も弱いほうだから、ボナンザさんのシルバー級Cランクが最高かしら」
「Cランクか…ありがとう、ひとまずCランクを目標に頑張ってみるよ」
「目標も大切だけど、一番は死なないことよ。よく言うでしょ、命大事に。ってね」
「うん、そうする。俺には金も装備も何もないからね。彼女もいないし(チラッ)」
「…Fランクのうちは、鉄の剣だけはギルドから貸し出してるから、最初はそれを使うといいわよ。まぁ、ないよりマシ程度の剣だけど」
「華麗なスルー…そ、それはいいこと聞いた。ぜひ借りたいっす。」
ギルドでは人を集めるために、初心者にはわりと手厚い待遇をとっている。登録料無料、武器貸し出し無料、受付嬢によるバックアップなどだ。でないと、俺みたいなほとんど文無しは登録すらできないし、人が増えないとギルドも商売あがったりだからね。
「では、貸し出しの記録をするからプレートを出して?…これでよし、どうぞ、これがその剣ね。基本的に、壊したりしたら次は貸せない決まりだから、これでまずは装備を整えるお金を稼ぐことね。」
「分かった。早速依頼を受けたいんだが、最初だから紹介してくれないか?」
「ん~、最初はやっぱり基本の薬草採りかしらね…」
そうして見せられたのは1枚の依頼表。『ライト草の採取 最低10本 1本あたり買取50G 買取上限なし』ちなみにこの街の宿屋だと、平均500Gらしいからよほどたくさん採らないと、この依頼で生きてゆくのは無理そうだ。
「討伐系の依頼はないの?そーいうのに憧れるお年頃なんだけど」
「初心者向けとなるとゴブリンやホーンラビットになるんだけど、結局この辺の線引きって曖昧なのよね。分かるでしょ?薬草が生えているところは森や草原、そこには魔物もいる。だから弱い魔物は、常設の討伐依頼としてあって、受けた依頼とは別に討伐数に応じて報酬も加算されるわ。」
「にゃるへそ、結局薬草採りにも危険は付き物なんだね」
「そういうこと、だから決して油断しないことね。最初のうちは、出会ったら逃げることをお勧めするわ。というか逃げなさい。」
「ち、ちなみに今後の参考までにその2種類の討伐証や、売れる部位を聞いとこうかな?あくまで後学のためにね」
「怪しいわね…はぁ。規則だから教えるけど、本当に気をつけなさいよ?ゴブリンは右耳、ホーンラビットは角が討伐証となるわ。売れるものはまぁゴブリンだと魔石と持ってたらナイフとかくらいかな?ラビットの方は角も毛皮もお肉も売れるわよ、高くはないけどね」
「詳しく教えてくれてありがとう、それじゃあ行ってこようかな!」
「どういたしまして。あなたみたいな小さな冒険者さんに死なれたら、悲しくなるわ。決して無理しないようにね!」