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キン肉マン

作者: 三田元

 何をしようかと悩んでいるうちに日が落ちてまた次の日がやってくる。

体がなまるといけないからこの時間からでもジムに行き体を絞る。

とにかく体を動かし汗をかく。そんなことでも最近は快感を感じるようになった。

ボディービルダーはきっとこの快感が中毒になっているに違いない。

そんなことを帰り道に思う。


家についてから課題を仕上げ、明日の準備に取り掛かる。

とにかく気だるい。起きているような寝ているような感覚。

「パトリックス」のように本当の自分自身はどこかに眠っているのではないか

という妄想をしつつ、夜食を作る。

ふと外を見ると、ジムから出てきたボディービルダーたちが

「終わった後のこの筋肉の疲労感がたまんないよ」なんて言っている。

やっぱり。テレビをつけると天気予報が流れている。「明日は快晴でしょう」。


 その明日である。清々しいくらい晴れている。

筋肉に塗ったローションのテカリが眩しいから、曇っていてほしい。

とにかく筋肉マンが身の回りにはたくさんいるから。

キン肉マンってのは比喩のことで、

ホンモノのキン肉マンのことではない。

家を出て10分の大学に行く。僕の友人のキン肉マンAは、

プロテインの雑誌を読みながら机に座っている。

「スーパーマンになれそうかい?」

「まあ、ラーメンマンは倒せるくらいかな」

そんなたわいもない会話を挨拶がわりに僕はキン肉マンAの隣に座る。

こいつもとにかくテカっている。


 授業はマジのアニメの筋肉マンについての授業。

今日の授業課題は「ラーメンマンの額には肉と書いてある。マルかバツか」

「ロビンマスクが生まれたのは産業革命が起こったイギリスである」

などというどこか小馬鹿にした内容である。

昨日のうちに済ませておいたから間違いないはず。

ちなみに答えは、「バツ」「マル」の順番である。

隣のキン肉マンAは両方とも間違えていた。

キン肉マンなんだから仲間の情報くらい把握しないのか。

そう小突きたくなるが「ラーメンマンは額に中で、ロビンマスクはイギリス出身だよ」

と伝えて見る。「そうか」というキン肉マンAは脳みそまでっと筋肉でできている。

知識を詰め込む柔軟な頭ではないのだ。プロテインしか取り込むことはできない。

とにかく脳筋ばかりの学校にも細マッチョタイプのキン肉マンBという

頭のいいキン肉マンもいる。

ちょうど今ドアから入ってきているやつだ。

キン肉マンBは遅刻しながらもその肉体美を見せつけるように僕の隣の席に座った。


とにかく、僕たちはキン肉マンになるために毎日勉強しているのだが、

なかなかその道は遠いらしい。



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― 新着の感想 ―
[一言] シルバーマン先生のパーフェクト正義超人教室
[良い点] 懐かしいネタです。 まだ連載中だけど。
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